下池貴志【初段 昇段審査論文】空手道修行で得たもの
下池貴志
社会人になってから、ほとんど運動らしい運動もせずに過ごしてきた。
「いつかは武道を学びたい」という気持ちはあったが「いつか」のままで20年近くが過ぎてしまった。
仕事の担当が変わり時間に余裕が出来たことをきっかけに思い切って体験入門をさせていただいた。
39歳の時である。
土佐宗家に立ち方から一つ一つ丁寧に教えていただいたことを今でも覚えている。
「これほど丁寧に教えてくださる先生がいらっしゃるのなら続けられる」そう思い、その日に入会のお願いをさせていただいた。
稽古で思い切り声を出す、体を動かすことが楽しかった。
しかし、はじめの頃は基本稽古の途中に休憩をもらいながらでないと続けられない。
更に、仕事帰りの稽古では「疲れていて行きたくないな」と思うこともあったが、終わった後は「行ってよかった」と思えた。
それは基本的なことから丁寧に教えてくださる先生方、先輩方にご指導をいただけていたことと、社会人になってから空手を始めた、同世代の人たちがいたことが大きな要因だと思う。
一緒に稽古をしている仲間であるが、同世代の社会人ということで、負けたくないと思える身近な目標だったからである。
一緒に頑張っている仲間がいるということは本当に大きい。
稽古を続けている中で、ふとした瞬間に「今なんかうまくできた」と感じられることがある。
もう一度同じようにやろうとしても、うまくいかないのであるが、このふとした瞬間の感覚を非常に嬉しく思う。
稽古を続けていれば、少しずつでも上達していける。きつい稽古だが、それを上回る楽しさを感じることができる。
私が空手道修行で得たもの。それは以下の2つである。
「一生続けたいと思える趣味ができたこと」
「空手を通じて仕事関係以外の仲間が増えたこと」
この度、初段審査に挑戦させていただくこととなった。
入会時の目標の一つである。ここまで到達させていただいたことについて、先生方、先輩方に改めてお礼を申し上げたい。
今後も体が動く限り、武徳会で空手を続けていきたいと思う。