限界小説研究会BLOG -2ページ目
2011-01-10 01:51:33

映画『ロード・オブ・ザ・リング』三部作が切り捨てたもの

テーマ:(Un)Limited Review
※岡和田晃によるこの原稿はサイト「21世紀、SF評論」に加筆のうえ収録されたため、削除させていただきました。
2010-12-14 21:51:57

サブカルチャー戦争 「セカイ系」から「世界内戦」へ』刊行記念トークショー

テーマ:告知
12月18日に青山ブックセンターで以下のイベントを行います。


「世界内戦とロスト・ジェネレーション」

9・11と、リーマンショックによって、グローバリズムの破綻が顕著になってきている。様々な国の内部で分裂が生じ、日本国内でも「格差」や「ロスジェネ」が問題となっている。
そのような「世界内戦」状況下において、『東のエデン論』を書いた笠井潔と、「物質の蜂起」を説いた気鋭のレーニン研究者・白井聡、『新左翼とロスジェネ』で学生叛乱の精神の現代的な形を模索した『蟹工船』ブームの立役者鈴木英生。三人にくわえて、司会として実際にロスジェネ的生活を送っている藤田直哉が参加し、「世界内戦」の現実において総ロスジェネ化とも言うべき事態にどう対処すべきか、「新左翼」と「ロスジェネ」が激論を交わす。
限界小説研究会論集『サブカルチャー戦争 「セカイ系」から「世界内戦」へ』刊行記念トークショー。


笠井潔×白井聡×鈴木英生
司会:藤田直哉
日時:2010年12月18日(土)18:30~20:00(開場18:00~)
会場:青山ブックセンター本店内・カルチャーサロン青山
定員:100名様
入場料:500円
参加方法:2010年11月26日(金)10:00より
http://www.aoyamabc.co.jp/10/10_201010/1218.html



多分熱いディスカッションになると思います。是非御越しください!
2010-12-06 09:04:09

「至道流星と情報戦」の補足情報

テーマ:(Un)Limited Review
「至道流星と情報戦」の補足情報
蔓葉信博


 2010年7月14日、日本振興銀行の前会長の木村剛が逮捕された。警視庁から車で運ばれる木村剛の疲れた顔を覚えている方も多いことだろう。
 9月7日に、尖閣諸島沖にて中国漁船の衝突事件が発生。隣国の強行ぶりがあらためて国内外に報道されることとなる。
 9月10日、日本振興銀行は民事再生法を申請し、経営破綻した。一時は「維新」とまでうたわれていた事業の破綻に、21世紀の新しいビジネスモデルの厳しさがうかがいしれよう。
 11月4日、海上保安庁が撮影したと思しい尖閣諸島沖での中国漁船衝突映像がYouTubeに投稿される。メディアを通して伝えられる情報に強い関心が集まったときであった。

 これらの出来事は、まるでその事実を事前に知っていたかのように『羽月莉音の帝国』のなかでの出来事と呼応している。
『羽月莉音の帝国4』には、おそらく彼が設立した日本振興銀行をモデルにしたとおぼしい「日本商業銀行」が登場し、革命部の面々がその事業内容に切り込んでいくことになる。
 続く『羽月莉音の帝国5』では、衣料販売会社の証券化というかたちで中国進出をもくろむ革命部は、中国の実体に直面することになるのであった。

 だが、そうした現実の出来事との呼応以上に、至道流星の「真の醍醐味」というべき世界を牛耳る黒幕との真剣勝負が4巻以降で描かれることになる。
 第4巻では、日本の黒幕といわれた人物が、その姿をあらわす。「一日一善」のCMでも有名な「彼」である。ちなみにあとがきにはもうひとり、モデルがいるらしい。興味のある方は検索されたし。
 そして第5巻では、さらにとんでもない人物が敵役として召還される。『雷撃☆SSガール』からはじまる「雷撃」シリーズからして、ロックフェラー財団やロシア政府と陰に陽に闘争を続けてきたわけだが、「帝国」シリーズでもその破天荒ぶりはとどまるところを知らない模様だ。
 その破天荒ぶりについては、ぜひ「帝国」シリーズを手にとって確認いただきたいが、ひとつここでは4巻で行われた「情報操作」というものについて少し解説しておきたい。
 4巻では、革命部の事業活動が、マスメディアから非難の集中砲火を受けることになる。傍目から見ても明らかなその情報操作は、ある伝手から日本の黒幕と称される人物の指示によることが発覚する。
 本来の目的はその黒幕に見抜かれていなかったため、革命部は目的を達することに成功するのだが、その一方で革命部は思いがけない危機的状況をまねいてしまうことになるのだった。その鬼気迫る状況については、本書を当たっていただきたいが、この論で注目したいのは情報操作に使われるその情報についてである。

 ここでの情報とは、一般にはマスメディアを通して伝えられる情報のことを指している。民衆個々の判断であったものが、マスメディアによる情報収集の過程で別の意図によってねじ曲げられて伝えられる可能性をはらんでいる。4巻では、その黒幕のために革命部の世論調査の結果はねじ曲げられたものになってしまった。
 その一方で、面白いことに革命部の目的というものは、どこのメディアも介在していない当人同士にしかわからない情報である。そのために黒幕は世論操作を成功させたにも関わらず、革命部の目的については知りうることができず、阻止できなかったのだ。
 情報ソースをしばしば一次資料と二次資料とでわけることがあるのだが、この場合でいえば、革命部の目的は、当人しか知らない一次資料であり、メディアを介在する情報は二次資料とでもいうべきだろう。そして、その分類では明らかに一次資料が優位なのである(ただし、この違いは本来的には戦術と戦略であるのだが、それについてはここでは深く述べない)。だが、われわれが得る情報の多くは「二次資料」なのだ。二次資料は常に何かのメディアを介在する。

 メディアリテラシーという言葉が一般に膾炙したのは、インターネットを中心としたIT技術の進歩による情報の増大に対し、われわれが正しい情報を読み取るすべを身につける必要性が高まったためであろう。
 だが、リテラシーを学ぶことの隆盛に筆者は若干の疑問を感じている。われわれが日頃接する情報が多くなったという現状を抜きにして、そもそもメディアからわれわれは正しく情報を選り分けることができていたのだろうか。あるメディアから伝えられた情報から正しいものを選り分けるための根拠を、われわれはどこから得ているのであろうか。その問いに答えるために、まずはメディアというものを簡単に整理しておこう。

 一般的にメディアといえば、マスコミ四媒体であるテレビ、ラジオ、新聞、雑誌であるほか、インターネットや書籍や音楽、映画、ケータイ、郵便なども含めることもある。批評的な観点からみれば、言葉や記号も、意味内容を伝えるためのメディアである。
 そもそもメディアとは、ラテン語の「中央 メディウス」から来ており、そこからあるものからあるものへの「中間となる媒介」を指すようになった。広告業界ではしばしば、そうした媒体を「乗り物 ヴィークル」というのも、伝えるべき情報を媒体に載せているからである。その意図を汲み取れば、情報の発信源が、情報を乗せることのできるものはなんでもメディアとして考えることが可能なのである。

 だから、われわれはメディアを論じるとき、情報の発信者、仲介する媒体者、情報の受信者、この3つの違いに注意を払わなければならない。情報は、情報の発信者、仲介する媒体者、情報の受信者の3つによって歪められる可能性があるということだ。情報が歪められるにしても、情報の発信者が情報を歪めて発信している場合、情報の媒介者が歪めて伝えてしまっている場合、受信者が歪めて理解している場合の3つの場合が考えられる。そしてそれぞれの段階で歪められる場合がありえる以上、結果として8通りの歪められる場合が考えられる。
 もちろんこの数字は形式的なものでしかなく、複数の発信者、媒体者、受信者が考えられ、その場合にはそれぞれの次の段階で情報が訂正される可能性もある。いずれにしろ情報を正しく伝えようということの困難さ自体は否定できないはずである。それはいってみれば、数百人規模に複数のルートを経由する伝言ゲームなのだ。そして、基本的に伝言ゲームのなかで、回答者がその伝言の言葉を直接確認することはルール違反である。
 つまり、われわれはすべての情報を一次資料として得ることは、事実上不可能だ。多くの情報を真偽のつかぬまま、読みとり判断せねばならない。だからこそ、策が求められるのである。そのことについて筆者はこの12月に刊行された『サブカルチャー戦争』においておおまかなアウトラインを論じている。対象としているのは『雷撃☆SSガール』・『神と世界と絶望人間』、「羽月莉音の帝国」シリーズ3巻までである。

 いちおう述べておくと、「情報戦」という言葉を小論の題として採用しているが、筆者は日本社会や世界情勢で行われ、後々になり世間を驚かせた数々の情報戦の内実に深い知見があるわけではない。ただ、日々情報を扱う仕事をしている身として、つまり二次資料を日々扱う人間として、いうべきことをまとめているつもりである。
 この原稿を書いているさなかにも機密情報を公開するウィキリークスの話題が各種メディアに溢れている。何が正しい情報で、何が間違った情報か。そうした情報をいかに読み、判断するべきか。筆者の原稿がその一助になれば幸いである。
 最後ではあるが、『羽月莉音の帝国5』でも、面白いかたちで情報操作に対する向き合い方が紹介されている。ぜひ確認いただきたい。

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