=== 再会 (Revoir) 10 最終回 ===
僕が大学を卒業するころから、妹がルヴォアでバイトするようになりました。
もちろん、大分に帰省する度に、ルヴォアのカレーは欠かさず食べに行ってました。
結婚するときには、嫁も連れていきました。マスターは喜んでくれました。
大学3年以降は、大分に帰省するのは、3年~5年に一度ぐらいでした。
誰かの結婚式か、誰かの葬式がないと帰っていませんでした。
時は流れ、数年前に大分に帰省したときに、いつものようにルヴォアのカレーを食べに行ったんですが、、。
「あれ? 閉まってる。看板もない。」
駐車場には草が生えていて、もうずいぶん使われていないのはわかりました。
「ありゃ、閉まっちゃったのか、、マスター体調悪そうだったからな、、。そうか~~。もうルヴォアのカレー、食えないんや、、。」
・・・
その1年後ぐらいに、父親の葬式で大分に帰ったとき、妹と話しました。
元:「ルヴォア閉まってるな。」
妹:「うん、だいぶ前から。」
元:「マスター、どうしてるんやろ、、。」
妹:「それが音信不通なんよ。」
元:「マスターに会いたいな。もう一回ルヴォアに行ってみるか?」
店はそのままでした。駐車場の草はぼうぼうに茂ってます。
元:「近所の人に聞いてみよう。」
向かいの仏壇屋に入りました。
元:「すみません。向かいのルヴォアが、ずっと閉まってるんですけど、マスターどうしたか知りませんか?」
仏壇屋のおばちゃん:「ああ、ルヴォアのマスター、腎臓が悪くなって、〇〇の方の病院に入院してるって聞いてるわ。どこの病院かはっきりしらんけど。」
元:「そうですか、ありがとうございます。」
・・・
元:「〇〇の方の病院で、腎臓を見てくれるところを探そう。」
該当する病院は、2、3箇所しかなく。
1箇所目:
元:「もしもし、そちらに、〇〇さん、入院してませんか?」
病院の人:「居ませんよ。」
元:「そうですか。」
2箇所目:
元:「もしもし、そちらに、〇〇さん、入院してませんか?」
病院の人:「ああ、〇〇さんね、居ますよ。」
元:「そうですか! お見舞いに行きたいんですけど、何時頃ならいいですか?」
病院の人:「〇〇さんは、○時から△時まで透析してますので、その後なら大丈夫です。」
元:「わかりました。ありがとうございます。」
・・・
元:「マスター、透析してるんやって。」
妹:「そうなんや。」
元:「△時以降ならいいって言ってるから、あとで行ってみよう。」
妹:「うん。」
言われた時間にお見舞いに行きました。
元:「〇〇さんのお見舞いに来ました。」
受付:「〇号室です。」
元:「ありがとうございます。」
・・・
元:「あ、ここや。」
大部屋(4人部屋だったかな)でした。
妹:「あそこみたい。」
端っこのベッドにマスターらしき人が横になってます。
元:「マスター!!」
マスター:「ん? 誰や?」
元:「マスター、僕ですよ。」
マスター:「誰や? 目が見えなくてな。」
元:「元と〇〇です。」
マスター:「おお!元か!!」
元:「はい。お久しぶりです。」
6年ぶりぐらいの『再会』です。
マスター:「すまんのう。糖尿が悪くなって、腎臓もだめになって、白内障もひどくなって、このありさまじゃ。もうほとんど見えん。」
元:「ご家族は?」
マスター:「今は、一人やな、、。色々あってなあ、、、、。」
・・・
マスターから聞いた話は、あまりここで書くような話じゃないので割愛しますが、結局、今は透析してくれる病院だけがマスターの居場所だということでした。
・・・
元:「ルヴォアのカレー食べたいですよ。」
マスター:「もう無理やなあ、、。でも、よく来てくれた。嬉しかったぞ。」
元&妹:「いえいえ。じゃあ、お大事にしてください。」
・・・
妹と二人で病院を後にしました。帰りの車では、お互いに言葉もなく。
・・・
僕の人生最高のカレーはもう食べられません。
マスターにレシピをもらって、自分で作れるようにしておけばよかった、と悔やまれます。
・・・
マスター、、、、
もう長くはないでしょう。
ひろし、、、
どこに居るのやら。
ゆかりちゃん、、、、
いいお母さんになってるやろな。
.
.
.
みわちゃん、、、、、、、、
「好きだ」って言えばよかった。
(T_T)
(あの時マスターは僕がみわちゃんを好きだったことを知ってて、チャンスをくれたのかも、、、、。)
...
夏が来るたびに思い出します。
ルヴォアはもうありません。でも、ルヴォアで過ごしたあの夏の日々は、僕の青春でした。
みんな、、、、、、、
いつか生まれ変わって『再会』しような、、、。
--- おわり ---
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