時がたつのは早いものです。昨年9月にジュネーブを訪れてからあっという間に半年が経ってしまいました。

 

今年も秋の研修を開催するならば、そろそろ準備を開始しなければなりません。仕事の合間を縫ってジュネーブにやってきました。2月の中旬と言えば、昔なら一面雪だったはずですが、飛行機がジュネーブ空港に降下を始めて窓から下を見ても、どこにも雪は残っていません。この先1週間の天気予報をチェックしても雪の予報はなく、もうすっかり春、という印象です。地球、大丈夫か?

ジュネーブの日の出は7:45くらいなので朝は暗いです。日の入りは18:00くらいで、日本より日が長く感じます。

 

空港は結構混んでいて、中央駅(コルナバン駅)もすごい人出です。咳をしているのにマスクをしていない人が多いのが気になりました。咳が出るならマスクをすればよいのになあ、と思いますが、ヨーロッパの人たちは新型コロナによるパンデミックの後もマスクをしない習慣は変わらないようです。

 

到着したのは休日で、友人のCさんがご自宅でのお茶に招待してくれました。ジュネーブに友人がいるというのはありがたいことです。Cさんは、昨日娘さんが買ってきたというブルーベリーのムースケーキと紅茶でもてなしてくれました。クリームチーズのムースとスポンジが、大変おいしゅうございました!

 

食べ終わると、「うさぎ、甘いものの後は辛いものでしょ?」と言って、今度は何種類かのチーズとハムを出してくれました。「甘いものの後は辛いもの」というのはどうやら世界共通らしいです。「いやいや、お忙しいでしょうから失礼するわ」と一度は言ったものの、チーズとハムが目の前に出てくるともう頭の中で芝居の「場の転換」みたいなものが起こり、胃が辛いものを受け入れる態勢に入りました。しかしそうなると、紅茶というわけにもいかず(いや、いってもいいんですが)、アルメニア産のコニャック「ARARAT(アララット)」でチーズとハムを楽しみました。アララットはアルメニアの名産だそうで、Cさんがウクライナに帰国した数年前に何本か買ってきたものの中の一本なのだそうです。コニャックを飲むのは初めてです。「アルコール度数は高いの?」と聞いたら、Cさん、「いやー、そうでもないかな」と言ったのですが、後で調べたら40度もありましたよ!!私はアルコールに強いから良いようなものの、弱い人だったらぶっ倒れていたかも。

 

始めてのコニャックはコーヒーの香りづけがしてあって飲みやすく、チーズによく合いました。またひとつ、新しい経験が増えました。お酒だけど。

 

Cさんの家で会いたかったのは、猫のシモーヌちゃんです。シモーヌは奇跡の猫で、前Cさん家族が飼っていた「ユミ」という猫がガンで死んでしまってCさんが絶望の淵に沈んでいたある朝、隣の家からCさんの寝室まで入ってきて(窓から入ったらしい)、Cさんのお腹から胸に上がり、Cさんの顔を覗き込んで「ミャ―」とCさんを起こしたのだそうです。まだ子猫で、Cさんは猫ちゃんを隣の家に連れて行ったのですが、なんど連れ帰ってもまたCさんのところに来るので、お隣さんが「この猫はあなたのお家を気に入ったみたいなのでもらってね」と言って、シモーヌちゃんはCさんちの猫になりました。Cさん自身がガンで将来に不安を抱いていた時にユミがガンで死に、Cさんは「猫には不思議な力がある。ユミはきっと私のガンを自分で天国に持っていってくれたんだと思う。そしてシモーヌに、私のところに行くように言ってくれたと思うの」と言いました。私も本当にそう思います。それくらい、シモーヌはCさんの生活を明るいものにし、Cさんの体もだいぶ良くなりました。しかし、その一方でシモーヌは放し飼いにされていたドーベルマンに襲われて腰の骨が砕けてしまい、一時は命が危険になったりしました。今も、元気なように見えますが腰の部分から突然出血したりして、Cさんは心配しています。

 

お暇しようとすると、Cさんが「これ、うさぎに」と言って、美しいカレンダーをくれました。「Bug art(虫のアート)」と書いてあり、蝶やトンボなどの虫と植物が描かれていて、水墨画のような絵もあり、東洋風のデザインです。私は日本でツマグロヒョウモンという小型のアゲハチョウを幼虫から育てて蝶にして離したりするので、きれいな虫が好きなのです。私の日本の殺風景なマンションの壁が華やぐことでしょう。ありがたくいただいてホテルに戻りました。

 

明日から忙しくなります。でも、健康に恵まれていることに感謝して学生たちに良い経験をさせられるよう準備を進めます。うさぎ