先週日曜日からブリュッセル、ベルリンと周り、木曜日にまたフェルネーヴォルテールに戻ってきました。来週月曜日からいよいよ私の日本の大学の学生たちが研修ツアーにやってくるので忙しくなります。

今日は土曜日。快晴で、朝は11度しかなく、寒くてカーディガンを羽織りました。朝ごはんの後フェルネーの朝市に出かけて晩御飯のおかずなど買い、運動不足なので小さな街の中を歩きました。夏の間うるさいほど朝から晩まで鳴いていたクロツグミはいつのまにかひっそりと鳴かなくなりました。あんなに子育てに忙しかったスズメ達もすっかり落ち着き、親に向かって必死に大きな口を開けていた雛たちも、まるで何年も前から大人だったみたいに餌をついばんでいます。といっても、いったいどれが大人で子供か見分けもつきませんが。

ヴォルテールが村人のために作らせた泉には変わらずきれいな水がたたえられています。

でも、泉の前にあったカフェは閉じてしまいました。フェルネー(ジュネーブ)と日本を数週間から2か月ごとに行ったり来たりしていると、それぞれの国の季節の変化が確実に感じられます。お店が閉まったり、新しく開いたり、という変化も。

先日日本に帰って何年も通っていた根津の「オアイオ靴店」が閉店しているのを見た時はとても悲しく思いました。ほんの数か月行かなかった間に、静かに店は閉じてしまいました。その辺り一帯にあった小さなお店がいくつも閉店していたので、どうもマンションか何かが建つようでした。それにしても、なぜ「オハイオ」というアメリカの州の名前が靴屋さんに付いていたのか、ついに聞かずじまいでした。聞いておけばよかった。

さて、フェルネーの街を、北のジュラ山に向かって坂道を登っていきました。この辺りの道はもう何度も、何度も通っていて、この道のこの辺りで南のジュネーブの方向も見るとモンブランが見える、ということも知っています。晴れた日でモンブランがくっきり見える日は「ラッキーデー」と決めています。今日は本当にきれいに、浮かんで見えました。ラッキー!

坂道を登りながら、1800年代の中盤にカジノがほんの1週間だけ開いた、村では場違いに豪華な建物、その隣の、2001年までやっていたというレストランだった、今は賃貸アパートになっている建物を見て、ヴォルテールが住んでいたシャトーに向かいました。

レストランだった建物には今も門がそのまま残っており、そこに「Menu」の文字盤がかろうじて一部残っています。201611月までこの近くに1年ちょっと住んでいたのでとても懐かしいのです。

小さな村はずれには牧場が広がっています。その生垣に、赤い実が成っていました。「うわぁ、おいしそう!」と思わず一人で小さく叫んでしまったくらい、おいしそうな実でした。見ている内に、おいしそう、いや絶対においしいに違いない、という根拠不明の自信が出てきて、これは食べるしかない、と一つつまんで口に入れてみました。

予想に反して、甘くも酸っぱくもなく、しかし苦くも辛くもなく、食べようと思えば食べられる、無味無臭な実でした。昔の飢えの時代ならみんな食べたのではないでしょうか。毒にならない限り口に入れたでしょうから。

もう秋なのだなあ、と思うのは、いろいろな実が成っているからです。

   

シャトーの庭にはイチジクもたくさん成っていました。

固い赤い実はバラの実、「ローズヒップ」です。お湯に入れて「ローズヒップティー」として飲んだりしますね。これは酸っぱい味がします。

職場の近くには栗の実もまだ柔らかいイガに包まれて揺れていました。

昼過ぎに気温は21度くらいになり、晴天で日差しが強く、半袖でも汗が出てくるほど暑くなりました。湿度が低いせいか、気温が低くても直射日光が非常に強く感じられます。帽子をかぶってきて良かった、と思いました。皆さん、サングラスをして真夏の格好をして歩いていらっしゃいます。

来週は最高気温が31度くらいまで上がるとの予報です。しかも快晴続き。これは暑くなりそうです。しばらくは、秋なのに真夏のような日が続くのでしょう。

それでも日本よりはマシ、と思うウサギでした。