私の所属する日本の大学が、フランスのニース大学と共同コースを持っている関係で、ジュネーブからニースに移動しました。

 ニースはすでに夏のように暑く、コートダジュール(紺碧海岸)の名の通り目の覚めるような美しい海が広がり、海水の気温がどれくらいなのか知りませんが早くも泳いでいる人たちもいました。

 日曜日の午後、半日時間が空いたので日本人ガイドさんに頼んで郊外の村に車で連れて行ってもらいました。この辺りはおいしいワインが作れるところで、ブドウ農家の多くある村の一つ、サン・ジャンネを訪れました。ここで不思議なワイン醸造の風景を見たのです。私のイメージのワインは、日の光の刺さないひんやりした地下などの倉庫に並んだ大きな樽に詰め込まれたワインがゆっくりと眠りながら静かに醸造される、というものです。

 しかしここでは、なんということか、透明な大きくて丸いガラス瓶に詰められた赤、白、ロゼのワインが強い太陽光線の元、明るい光を放って並んでいるのです。

ガイドさんいわく、こうして陽の光にさらして糖分を高めるとか。信じられません。

こんなに暑いのに気温が上がりすぎて腐らないのでしょうか。いったいどんな味になるのか、想像もできません。

 ちょっと飲んでみたい、と思いましたが、あいにく日曜日でどの醸造農家も開いていませんでした。しかし、その後街中に移動して旧市街を見学していたところ、ななな、なんと、日曜日にもかかわらず、バーが開いていて地元の人でにぎわっています。

中を覗くと、ちょうど近くのサッカー場で開かれている試合をみんなで大画面で見ているのでした。

 私たちはカウンターで「近くの農家で作っている例のワインはありますか?」と聞いてみました。すると、「ロゼならある」とのこと。私が狂喜乱舞したのはここに書くまでもありません。ほんのグラス一杯だけ、飲んでみることにしました。バーのムッシュは私がカメラを構えるとなみなみとついで、「いつもより多く入れちゃったよ!」と嬉しそうに言いました。

 飲んでみると、きっと甘いのだろうと思ったワインは、意外にも辛口でした。あー、よく冷えておいしい!

機会があれば村のレストランで食事しながらいただいてみたいワインでした。そうすると、厳しい温度や光の管理の元作っているワインってなぜそんなことが必要なのかわからなくなります。ま、いずれワインに詳しい人に聞いてみましょう。

 ワイン一杯で幸せになる幸せをかみしめるウサギ