年に何回か海外出張をしている私ですが、たまに、預けたスーツケースが到着した空港で出てこないことがあります。経験のある方はわかると思いますが、スーツケースが行方不明になると結構大変です。スーツケースに固有の番号が付いているので追跡可能なはずですが、しばしば、とんでもないところに送られてしまい、スーツケースだけ世界旅行することもあります。

 今回、私の後で日本を離れた同僚のスーツケースは目的地のベルリンで受け取ることができませんでした。同僚は羽田から全日空でフランクフルトに飛び、そこからはドイツの誇るルフトハンザ航空でベルリンに到着したのですが、荷物はベルリンに届きませんでした。

さあ、それからが大変です。バゲッジクレームに行くとそこには長い行列が。担当しているのは、なんというか、いかにもぼーっとしたおばちゃま一人。話が要領を得ず、同僚が言うには話していてとてもフラストレーションを感じたとのこと。その女性は、なぜか「スーツケースのカギを預かる」と言って同僚は渡さざるを得なかったそうです。

さて、その同僚はベルリンには一泊もせず、朝到着して一日ベルリンで仕事をして夕方の便でチューリッヒ経由でジュネーブに移動しました。その旅程はもちろんルフトハンザはわかっていたはずです。しかし、スーツケースはジュネーブには届きませんでした。

「荷物がどこにあるかは携帯にショートメッセージで知らせるから」と言われましたが、そこに届いたウェブサイトのアドレスを見ても「配達開始」と書いてあるだけ。翌日わかったのは、ベルリンに遅れて届いたスーツケースは、なぜかもう一度フランクフルトに戻され、あろうことかフランスの首都パリに送られました。そしてパリからジュネーブまではエールフランスに託されたのです。ところが、パリのシャルル・ドゴール空港ではエールフランス航空名物のストライキが行われており、飛行機は飛んでいませんでした。おいおい、いったい何をしてくれるんだよ!と言いたいのですが言う相手はどこにもいません。

同僚がベルリンに到着したのは4月17日、その日の内に同僚はジュネーブに移動してホテルにチェックインしましたが荷物は届かず、翌18日の夜中、ショートメッセージで「23時35分に○○宅配便に渡された」と言ってきました。しかしそれがどこの空港(パリかジュネーブか)、その後どうなるのかは一切書いてありません。同僚は21日には次の目的地に向けてホテルをチェックアウトしますので、どうしても20日までには荷物を手にしないといけません。

それからドイツのルフトハンザに電話して「いったいスーツケースはどこにあるのか」と聞きましたが、「あなたのところに届いている情報がすべて。たぶんジュネーブの空港に荷物はあると思う」とのことでした。しかし19日も荷物は届かず、結局届いたのは20日のお昼でした。

そして想像したとおり、ベルリンで預けたカギは付いてこなかったので、せっかく届いたスーツケースも開けることができません。いたしかたなく、ホテルの中の修理業者にお願いして、カギを壊してもらって開けました。今回の出張のために買ったばかりのスーツケースはもはや使えません。

毎日何千便という飛行機が世界中で飛んでいるので、荷物が無くなることは珍しいことではありません。しかし、一流航空会社と信じているルフトハンザ航空の今回の対応には心底がっかりでした。しかもルフトハンザ航空のウェブの中に「持ち主が名乗り出なかったスーツケースのオークションをしています!」などというページを見つけて驚きを通り越してあきれました。私も他人事ではないので、いつ同様の目に遭うか知れません。1泊分くらいの着替えやお化粧品などを手持ちバッグに入れて運ぶくらいの知恵はありますが、今回のように3日も出てこないとなるとどうしてよいやら。今回は結局出てきて取り戻せましたが、悪くするとそのままオークションで誰かの手に渡っていたかもしれません。

今回、ジュネーブの私の職場の親切なイタリア人の秘書さんがスーツケースの追跡を手伝ってくれたのですが、彼女に「スーツケースが見つかったわ。手伝ってくれて本当にありがとう」と伝えると、「私もアフリカ旅行をしたときに荷物が出てこなくてひどい目に遭ったので、気持ちがよくわかるわ。私はサハラ砂漠観光に行ったので、砂漠の旅行に必要なものをいろいろ入れていたのに、全く使えず、本当に嫌な思い出になってしまったの。もう思い出したくもないくらいよ。最終的に見つかってよかったわね」と言ってくれました。

いやはや、自分の力ではどうしようもないスーツケースの行方。運を天に任せる以外ないようです…。

スーツケースが重すぎて右腕が使えなくなったウサギ