いよいよ初級の仕上げだ。「Cool Struttin’」をバックトラックのうえで演奏してみよう。自分が思い描いたように即興演奏するのはまだ難しいと思うが、この段階ではスケールに沿った正しい音を演奏できていればよしとしてもらいたい。また初心者のときは「独創的に演奏したい」という欲求を持つ人も多いが、それよりも「自然に正しいと感じる音を使うこと」に重きを置いてほしい。独創的であることは大事だが、それはスタイルをしっかりと身につけたうえでないと意味がない。言語の学習をするときに、勝手な言葉を作り出さないのと同じである。まずは、一般的な言葉を学んだうえで、その言葉を使って独創的な表現をするのだ。

 

 バックトラックの録音は「Volume 54. Maiden Voyage」を入手して使ってほしい。この本には初級者が覚えるのに適した曲が多く入っている。これから始まる初中級レッスンでもこの本を使うことになるので、引き続き一緒にサックスの学習を続けてもらえる場合には、買っておいても無駄になることがない。