翁長知事は米政府・国連と直接交渉せよ | 『月刊日本』編集部ブログ

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 9月21日、沖縄の翁長雄志知事はスイスで開かれた国連人権理事会で、沖縄の人々は自己決定権や人権を蔑ろにされていると述べ、辺野古新基地建設をあらゆる手段を使って止めると主張しました。これに対して、菅官房長官は24日の記者会見で、「人権や基本的自由の保護促進などを主な任務とする人権理事会で、沖縄の米軍基地をめぐる問題が扱われたことには強い違和感を持っている」と不快感を示した。

 しかし、沖縄では米軍基地問題は人権や尊厳の問題として認識されています。日本政府がいかに違和感を覚えようとも、沖縄の人たちがそのように認識することを止めることはできません。自分たちと同じ認識を持たなければ違和感を覚えると言うのであれば、それこそ基本的自由の侵害だと言えるでしょう。

 ここでは、弊誌2月号に掲載した、哲学者・山崎行太郎氏のインタビュー記事「翁長知事は米政府・国連と直接交渉せよ」を紹介したいと思います。ポイントは、翁長知事がアメリカや国連と直接交渉することが、結果的に日本のためになるということです。(YN)


『月刊日本』2月号
「翁長知事は米政府・国連と直接交渉せよ」より

翁長知事は米政府・国連と直接交渉せよ
―― 安倍総理や菅官房長官は上京していた翁長沖縄県知事との面会に応じませんでした。
山崎 安倍政権は冷たく接すれば翁長知事が頭を下げてくると思っているようですが、これにより沖縄の独立志向はさらに強くなる恐れがあります。沖縄からすれば、「沖縄を切り捨てる」という安倍総理の意志表示のように見えたはずです。
 安倍政権が会談に応じないのであれば、翁長知事は今後、アメリカ政府や国連と直接交渉を始めると思います。実際、翁長知事は当選直後、普天間問題について「私の当選で県民の考え方は違うと出た。それを日米両政府や国連に届ける」と述べています。安倍総理の面会拒否は、翁長知事に「国際世論に訴えていいよ」というGOサインを出したも同然です。
 私は、翁長知事はどんどん国際世論に訴えていくべきだと考えています。それは沖縄は独立すべきだと考えているからではありません。私は琉球独立論には明確に反対の立場です。また、沖縄に同情しているからでもありません。そうではなく、翁長知事のそうした行動が、日本国家にとってプラスになると考えているからです。
 安倍総理は普天間基地問題がどれほど重大な問題であるかに全く気づいていません。今後、安倍総理が翁長知事と会談することがあったとしても、彼は辺野古移設を中止しないでしょう。
 しかし、安倍政権が辺野古移設を強行すれば、沖縄は本当に独立してしまいます。そうなれば、日本の防衛力は大幅に低下します。現在我々が議論しているような防衛論は、前提から崩れてしまいます。また、「尖閣諸島は日本固有の領土である」という議論も、何の意味もなくなってしまいます。尖閣諸島は沖縄固有の領土ではあるかもしれませんが、日本固有の領土ではないからです。
 さらに言えば、沖縄が独立した場合、彼らが親日国家になるとは言い切れません。彼らは中国や東南アジアと友好関係を結び、日本と敵対する恐れもあります。
 こうした事態を回避するためには、普天間基地を県外移設するしかありません。翁長知事がアメリカや国連に対して、日本国内には少数民族問題があり、沖縄は差別されていると訴えれば、沖縄基地問題が国際的に盛り上がる可能性があります。そうなれば、いくら日本政府が「沖縄は日本の国内問題である」と言ったところで、国際社会は納得しないでしょう。それはウクライナ問題やチベット・ウイグル問題、あるいは慰安婦問題を見れば明らかです。
 国際社会から批判されるようになれば、安倍総理はオタオタし、必死で沖縄問題に対処するようになるはずです。また、アメリカも動かざるを得なくなると思います。
 つまり、翁長知事が国際世論に訴えれば、安倍政権は基地問題に真剣に対処するようになり、そうなれば沖縄の独立の気運も鎮まるので、結果的に日本国家のためになるということです。
 沖縄は日本の安全保障上、極めて重要な地域であり、日本の生命線です。我々は沖縄を絶対に手放してはなりません。翁長知事には日本国家を守るためにも、安倍政権を厳しく追及してもらいたいと思います。







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