森さん、もういい加減になさい | 『月刊日本』編集部ブログ

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日本の自立と再生をめざす言論誌

 弊誌10月号は昨日23日より店頭販売を開始しております。今月号では、日本がどんどん「アメリカ化」していることを念頭に置き取材・構成を行いました。

 日本大学教授の水野和夫氏は、このままでは日本はアメリカのように格差が拡大し、「身分社会」になると指摘しています。実際、金融資産を保有していない二人以上の世帯の割合は、1990年代になって急増し、2014年時点で30・4%に達しています。1987年には3・3%だったことからすれば、驚くべき急上昇です。また、年収200万円以下の人たちも1千万人を超えています。その一方で、東大生の両親の年収が慶應大学の両親の年収を抜いてトップになっていることを踏まえれば、既に格差は固定化しつつあると言えます。

 水野氏にはその他にも、世界同時株安の原因などについてご見解をうかがいました。大変興味深い内容になっています。

 九州大学准教授の施光恒氏には、話題となっている『英語化は愚民化』(集英社新書)に基づきつつお話をうかがいました。日本では企業や教育分野などで英語化が進んでおり、クールジャパンムーブメント推進会議という政府の有識者会議は、英語を公用語とする「英語特区」を企画し、「公共の場での会話は英語のみに限定する」「販売される書籍・新聞は英語媒体とする」と提案しています。

 施氏は、このような英語化の流れを植民地政策の一環だと批判しています。また、英語化は日本の国力を落とすと懸念を示しています。どれほど英語が上手かろうとも、日本人にとって英語は外国語であり、そうである以上、英語では日本語より深い思考はできません。それ故、英語ばかり使うようになれば思考力が低下するのは避けられません。

 なぜ日本はこのようなアメリカ追従を続けてしまうのでしょうか。京都精華大学専任講師の白井聡氏はこのような状況を「永続敗戦」と名付けています。「永続敗戦」とは、あの戦争に負けたという事実をちゃんと認めていないが故に、ずるずると対米従属が続いていく状況のことです。その中核には「敗戦の否認」があります。つまり、知識としては敗戦したことを知っているが、現実としてはそれを認めていないということです。

 日本人が敗戦を認められないのは、日本の権力の中枢を占めてきたのが、アメリカに免責されることによって地位を守った勢力(とその後継者たち)だからです。本来であれば、敗戦によって国を破滅させた人たちが再び支配者の座に就くなど決してあってはならないことです。そのことを合理化するためには、敗戦の責任ひいては敗戦という事実そのものが曖昧化される必要がありました。つまり、日本はあの戦争に負けていないので、あの戦争を指導していた人たちが引き続き権力の座に留まったとしても何の問題もないということにされたのです。

 日本はこのようにして、支配層が敗戦を否認することによって権力を維持してきたが故に、際限のない対米従属を続けなければならないという「永続敗戦」に陥ってしまったのです。

 また、今月号では再びオリンピックの問題を取り上げました。新国立競技場やエンブレムを巡る迷走を見ていると、今の日本にはとてもオリンピックを担当する能力はないと言わざるを得ません。

 今回の騒動には、森喜朗元総理が深く関わっていると言われています。元自民党参議院議員会長の村上正邦氏は、「森さんは責任をとって、潔く組織委員会の会長を辞めるべき」だと指摘しています。村上氏は森氏を総理に推薦した人物でありますが、「森さん、もういい加減になさい」と厳しく批判しています。

 その他にも読み応えのある記事が満載です。ご一読いただけば幸いです。(YN)






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