アメリカ国民の大半がTPP反対だ | 『月刊日本』編集部ブログ

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安倍政権は近いうちにほぼ間違いなくTPPに参加します。安倍総理は「聖域なき関税撤廃ならTPPに参加しない」ということに拘っていましたが、TPPに聖域があるのはTPP交渉が始まったときから明らかです。本当に聖域がないのであれば、そもそも交渉をする必要もありません。全ての関税を撤廃すればいいだけですから、すでにTPPは始動していたはずです。

 

それにも関わらず「聖域なき関税撤廃」を問題にするというのは、外交の素人であるか、国内向けのアナウンスであるか、どちらかです。安倍政権の場合は恐らく後者でしょう。

 

TPPでは農業ばかりが取り上げられていますが、問題はそれだけでなく、食品や医療、保険などにも大きな影響を与えます。

 

ここでは弊誌2012年3月号に掲載された、前農林水産大臣・山田正彦氏と立教大学教授・郭洋春氏の対談を複数回に分けて再掲したいと思います。昨年に行われた対談ですが、内容は現在でも全く古くなっていません。(YN)




『月刊日本』2012年3月号より


 TPPは農業だけの問題ではない。食品や医療、保険、果ては自動車の安全基準まで、それは国民生活に直結する問題である。TPPに参加すると日本は一体どうなるのか。それには米国とのFTAに批准した、お隣の国・韓国の現状が参考になる。本稿では、前農林水産大臣の山田正彦議員と、アジア経済の専門家である郭洋春・立教大学教授に、韓国経済の実情も踏まえてTPPについて多面的に語っていただいた。

 

アメリカ国民の大半がTPP反対だ

―― 1月8日、山田議員は「TPPを考える国民会議」米国調査団の団長として訪米し、アメリカ政府関係者や業界団体らとTPPについて情報交換をされた。アメリカではTPPについてどのように考えられているのか。

 

山田 まず、はっきりと申し上げておく必要があるが、民主党政府はTPPに参加するとは表明していない。あたかも日本がTPPに参加することが決定事項であるかのごとく国内や海外で報道されているが、それは間違っている。

 

 野田総理も国会で、交渉参加を前提としない事前協議であると述べている。しかも、国会議員の365人がTPP反対の国会請願を出している。おそらく日本がTPPを批准することはない。私はアメリカの政府関係者に対してもそのように述べてきた。

 

 さて、私は訪米するまで、アメリカは国を挙げてTPPに賛成しているかと思っていた。しかし、現地に行き、それが間違いであることがわかった。アメリカではTPP以前に、FTAなどの自由貿易そのものに対する不信感が強くなっているのだ。

 

 2010年9月に行われたNBCニュースと『ウォールストリートジャーナル』の世論調査によれば、69%のアメリカ人が「米国と他国のFTAは米国の雇用を犠牲にしている」と答えた。その一方で、FTAがアメリカに利益を与えてきたと答えたのは、たったの17%であった。

 

 このような世論の反応はあまりにも当然のことだ。というのも、彼らには自由貿易協定について苦い経験があるからだ。

 

 アメリカにとっては、自由貿易協定はTPPやFTAが初めてではない。カナダとメキシコとの間で結ばれ、1994年に発効されたNAFTAがその始まりである。

 

 しかし、NAFTAはアメリカ国民にとって何一つプラスにならなかった。NAFTAは、アメリカがカナダやメキシコから富を収奪する仕組みであると考えられているが、NAFTAで利益を得たのは多国籍企業などの大企業だけだ。アメリカ国内の企業が賃金の安い労働者を求めて工場をメキシコに移すといったことが頻発し、アメリカ国内で100万人の雇用が失われたと言われている。

 

 米韓FTAやTPPによってアメリカ国民の雇用が奪われるのではないか、一部の大企業が儲かるだけではないのか――こうした不信感がアメリカの一般国民の間で広がっている。ウォール街占拠運動もその表れであろう。

 

 オバマ大統領もそうした世論の動向に気づいている。オバマ大統領は年頭教書演説で、TPPについて直接言及していない。TPPが次の大統領選で有利に働かないとわかっているからだ。

 

 反対しているのは世論だけでない。アメリカ議会の中にも反対派はいる。リード農水委員長は、TPPはアメリカの農業にとって有利と言われているにも関わらず、反対派である。ピーターズ下院議員は14名のTPP反対の署名を集めて大統領に申請書を出している。上院でも30名の署名を集めている方がいた。

 

 要するに、アメリカでTPPに賛成しているのは、大企業と、その意向をくんだ政治家たちだけなのだ。それは日本で経団連がTPPを強く推進しているのと同様である。

 

 TPPの危険性については、先に結ばれた米韓FTAを見ればよくわかる。実際、アメリカのマランティス次席通商代表やカトラー通商代表補に対して、TPP交渉においてアメリカは日本に何を求めるのかと尋ねると、米韓FTAを見てください、日本に求めるものがそこに書かれている、と言われた。

 

 また、アメリカ国務省からは、米韓FTA以上のハイレベルなものを求めると言われた。

 

 このように、TPPの是非について判断するためには、日本国民は米韓FTAがどのようなものであるかということをしっかりと認識する必要がある。(続く)




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