へちまとろん

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YouTubeチャンネル「ゾゾゾの裏面」に先週9/20に公開された「捨てられた心霊写真」という動画がおぞましすぎて話題になっている。怖いし謎が多くずっと頭から離れないのである。そして視聴者はおのおの考察して心のもやもやを晴らそうと頑張っている。当の私もその一人で、ぜひとも私の考察を聞いて欲しくブログを書いた。と言っても「事実がこういう流れなら比較的すっきりする」と私が考えたものなので、「これが真実!」と言えるものではない。そもそも動画見ただけでそれがわかったら金□一かコ○ンやん。だから一人のアマチュアホラー小説家がこんなこと考えたんだなぁと少しでも楽しんでいただけたらと思う。

 

↓さきに動画を見てもらった方が内容がわかりやすいです。

 

【おさらい】
 さっそく簡単に動画の内容を確認しよう。
①心霊スポットに写真が落ちていて、それを持って帰った人は○んでしまうという実話怪談が「家賃の安い部屋」という「ゾゾゾ」の兄弟チャンネルに送られてくる。
②メンバーが心霊スポットに赴き写真を拾う。
③写真の裏に書いてある住所に行き一軒家を確認する。
④登記簿より一軒家の持ち主を確認し、持ち主と連絡をとる。
⑤家の持ち主に写真が住所の写したものと確認。家に入る許可と家の鍵を得る。
⑥家に入り、写真と同じ場所ということを確認。
⑦後日、持ち主に鍵を返却する前に遺影の顔を確認しに再度家に入る。

 ちなみに動画でも触れられていたが、①の投稿者の住所、②の心霊スポットの場所、③の写真の家の場所、④の持ち主の住所はすべて違う都道府県だそうだ。

 次に登場人物の行動を時系列に並べてみる。
A、持ち主の両親が他界。持ち主弟が独り暮らしになる。
B、持ち主弟が家を売ろうと、資料として家の中の写真を撮る。
C、心霊スポットに写真がまかれる。
C’、持ち主弟が他界。(約5年前)
D、心霊スポットで写真が見つかる。
E、「家賃の安い部屋」に投稿があり、調査され動画になる。

CとC’の前後が微妙なところだから、あえてこのような表記にした。私としてはこの順番が正しいのではないかと思う。

 

 

 そもそも、動画でも疑問に上がっていたが、あの写真は本当に売買の目的で撮られたものだろうか。その目的にしてはあまり片付いていない部屋を取るのは不自然である。では何を目的にしたのか。あの家の霊視、除霊をしてもらうための写真、とは考えられないだろうか。持ち主弟はどういうきっかけか、「良くないもの」をあの家に入れてしまったのだ。動画の異様さから、また家の内部の異様さから分かるだろう。家は神棚や仏壇はあるが機能していないし、角大師のお札は真ん中に大きな穴が開いていた。家に入った「良くないもの」が持ち主弟にそうさせたのだろうか。
 

 

 写真の裏に住所と名前を書く理由を私なりに考えてみた。住所は、写真の場所を指すので自然と言えば自然だ。ただし持ち主弟が書いたものではないだろう。自分の家なら書くとしたら「自宅」かな。そしてこれまでに出てきてない「高垣」の名前。名前を書く理由は「撮った人」「写真に写っている人」あたりだが、この場合持ち主弟が撮ったことや誰も人物が写っていない(足は写っているけど)ことからどちらでもない。

 だが、もし上で書いたように霊視を目的に取られたものなら、霊能力者の覚え書きとも考えられる。私が想像したのは「持ち主弟が高垣氏に家のことを相談し、高垣氏が知り合いの霊媒師に仲介した」という流れだ。霊媒師は依頼資料を管理するため、写真に住所と仲介してきた高垣氏の名前を書いたと想像できる。
 

 そして霊媒師は写真を霊視した。結果は・・・・・・動画で分かる。失敗したのである。霊媒師はその時まだ存在した神社に助けを求めた。しかし思いは届かず、その場に写真を放り出し逃げ出したのか・・・・・・。
 

 

 果たしてあの写真はなんなのか。いくつかある写真の中の2枚が姉である持ち主に渡っている。1枚は足が写っている。わざわざあのような写真を姉に渡すのは何らかのメッセージがあってのことだと思う。

 しかし持ち主は何も聞いていない。聞いたのは「家を売ること」と「お経が聞こえる」。

 持ち主は実家とは疎遠だったようだ。家を売ることにも特に反対はしなかったようだし、家族の遺影も売りに出している実家に放置している。形にとらわれない方なのかもしれないが、もしかしたら生前の両親と弟とは縁が薄かったのかもしれない。

 だが弟は写真を残した。これは最後に姉に助けを求めたのではないか。弟は高垣氏から除霊が失敗したことを聞いた。もしかしたら高垣氏自身居なくなったのかもしれない。

 一縷の望みをオカルト好きの姉に託したのかもしれない。彼女なら、何か分かるかもと。しかし元々疎遠で関わりのなかった姉に直接助けを求めるのははばかられた。内容が内容だ。いかにオカルト好きとは言え身近にそんなことがあると言われたら、不審がるだろう。現にお経の話を聞いても、姉は聞き流しているようだ。弟は悩んだ末に、写真を売却するための資料と偽って見せた。1枚は足が写っている。そしてもう1枚は・・・・・・想像だが、その家に住んでいたものにしか分からない不自然さがあったのだ。つまりどちらも映り込んでいる写真だった。

 だが実家から心が離れていた姉はそれに気づかず、他の写真と一緒にしまい込んでしまった。
 

 

 心霊写真はそれだけで危険だ。撮ってしまった人がお祓いに持って行くなんていう話は怪談としてはお決まりの行動だ。その写真が散らばった、神社はもうない。そしてそこは心霊スポットとされた。心霊写真がそこを汚染したのだ。
 

 

 以上が、私の「散らばった写真」に関する考察である。
 

  次に最後に出てくる写真、遺影に関する考察をしたい。メンバー全員で家に入ったとき、遺影を見たのは落合さんと長尾君の二人だけだった。2人は3枚の遺影を「父親」「母親」「弟」と判断した。

 しかし、次に皆口さんと山本君が鍵の返却直前に遺影を確認したとき、家族写真に写っている弟とは別人だったという。

 もちろんメンバーは3人とは面識がない。「父親らしき男性」「母親らしき女性」そして「だいたい予想しうる弟の年齢に近そうな男性」の写真を見たというのが正確なところだ。だがその家に住んでいて他界した人物の写真と考えるのはごく当然で、むしろなんで弟ではないことが不自然だ。

 私は3枚目の遺影の男性が誰なのか、はさして重要なことではないと思う。両親に未婚の兄弟が居て、早くになくなったのかもしれない。写真は撮ったときのまま老けない。弟と同じくらいに亡くなった人が居たと言うことは、悲しいがおかしなことではない。そう、問題はそんなところにはない。なぜ、弟の遺影がないのかということだ。
 

 持ち主が現在の住居に持って帰ったとは考えられない。それならせめて両親の遺影も持って帰るだろう。
 

 ではどうなったか・・・・・・これから書く内容は、これまで以上にホラー的な考えだ。正直何を言ってるんだと思う人が大半だろう。でも心情的に私はこれが一番しっくりくるのである。
 

 振り返って欲しいのは最初に家を見たときの内田君たちの反応である。「人が住んでいるのか住んでいないのか分からない」そして、家の中に入ったときのメンバーの反応。蜘蛛の巣が張っていたものの、中は生活感があり、他の心霊スポットと比べて綺麗だった。ゾゾゾの他の動画を見ている方なら分かるだろう。住まなくなった家はすぐに廃れるのである。もしかして不動産屋がメンテナンスしているのかと思ったが、それなら蜘蛛の巣はないはずだし、そもそも台所用品なんて細々したものは処分しているだろう。

 ではどういうことか。そう、弟が自分が死んだと気づかず住んでいるのだ。今なお。気づかない、というより受け入れられないのかもしれない。またそうしているのは家に憑いている「良くないもの」の影響もあるだろう。弟は今もあの家に住んで、生活している。だから遺影は必要ないのでなくしたのだ。
 

 と、以上の考察が当たっているのなら、あの家には少なくとも2体憑いていることになる。一つは持ち主の弟。もう一つは弟が生前入れてしまった「良くないもの」。あの家に入ったメンバーに影響はないだろうか。一番私が心配しているのが長尾君だ。彼は動画終盤で遠回しに人を疑うようなことを強い言葉で言っている。これはいつもの長尾君からはあまり考えられないことだ。彼は思慮深く、慎重で、不要なことは口にしない。霊は弱ったり迷ったりする人の心に憑くらしい。

 ・・・・・・まあ、彼もいろいろあったし、女性問題的に。(ね、長尾君ならこんな無遠慮なこと言わないでしょ?笑)もしまだ気持ちが弱っているようなら、気を付けていただきたいものだ。

さて以上で考察は終わりです。長文お付き合いいただきありがとうございました。

よく考えたらモバイル扇風機持ってない

こんにちは、空気です。

9/6の第八回文学フリマ大阪の会場や

ツイッターで皆さんに選んでいただきました

妖怪×ワードで

各々漫画・小説を創作するという企画を行いました。

 

小説は「鉄鼠×モバイル扇風機」です。

↓カクヨムに投稿しています。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054932516878/episodes/1177354054932518061

 

 

 

漫画は別の記事で発表します。お楽しみに。

 

空気です。

映画を見に行けない昨今、どうせなら2019年度に映画館に見に行った怖い映画を振り返りたいと思います。といっても元々映画をたくさん見る人ではないので、有名どころばかりです。
私が昨年度見に行った映画は

「イット THE END」

「犬鳴村」

「貞子」

「屍人荘の殺人」

「スケアリーストーリーズ 怖い本」

「チャイルドプレイ」

「ブライトバーン」

「ミッドサマー」
(50音順)

今回は私の注目する点で部門に分け、その中で1位を決めていく感じで。私の中の1位なのでそのあたりはよろしくお願いします。
 

化け物部門
1位「スケアリーストーリーズ 怖い本」
 いじめられっ子が幽霊屋敷で見つけた手書きの本を持ち帰ったことから恐怖が始まる。その本に書かれた怖い話に出てくる化け物がとても良い。心のどこかに隠れている「恐怖」を引きずり出してくる。予告編にも出てきている白いマシュマロお化けみたいなやつは動いているシーンを見たときかなりときめいた。「ああ、そうだよ!こういうやつだよ! こういうのが良いんだよ」と。恨みがましい目線や、恐ろしい形相ではなく、得体の知れないものに真綿で首を絞められるような恐怖。一発であいつが好きになりました。ちなみに「イットTHE END」もモンスター的にとても良かったです。ペニーワイズはもちろんフォーチュンクッキーから出てきた蜘蛛みたいなやつらも好き。

キッズ部門
1位「ブライトバーン」
怖い映画に結構頻繁に出てくる「怖い子供」。それがメンイと言っても過言ではない映画がこちらです。この大人と子供の狭間に揺れ動く感じがたまらんのです。それが完全に悪い方向に行ってしまったので1位です。最高です。私は関連作品の「スーパーマン」を知らないのですが、それでも十分楽しめました。なんて言ってもブランドンの厨二病っぷりとこじらせっぷり、そして無駄な行動力が大変青春していて良い。勿論ベクトルはぶっとんだ方向に向かっているが。大体のホラー作品は子供たちの活躍の場を持っていて、特に「スケアリーストーリーズ」のステラは友達になれそうなくらい共感しているが、ブランドンが危なっかしすぎて1位です。

ヒトコワ部門
1位「ミッドサマー」
これはもうしょうがない。人間の心の柔らかいところをガンガン責めてくる。一番怖いのは変わりゆくダニーでも、優しい顔をして近づいてくるペレでもなく、もちろんホルガ村の女たちでもなく、アリ・アスター監督です(笑)。この映画がハッピーエンドかバッドエンドか、見る人によって感じ方が違うようです。私はダニーにとってはハッピーエンドなのかなと思いましたが、でもこれはきっと監督の思うつぼなんじゃないかなとメタ的な恐怖を感じています。「犬鳴村」も都市伝説系と思いきや結構ヒトコワも入っている気がしました。雰囲気は違うけど犬鳴村もホルガ村と同様独特の世界観を持っていたような。後は映画というより単体で「貞子」の倉橋雅美ですね(笑)多分彼女がハサミ持っているシーンがあの映画で一番怖かった。

ナイスソング部門
1位「チャイルドプレイ」
こんな部門を作ってしまうくらいあの歌のインパクトはヤバかった。映画見終わった後しばらく口ずさんでいました。見た人は皆そうなんじゃないでしょうか? チャッキーのヤンデレ具合がよく分かるナイスソングです。他に追随するものがいません。「貞子」のあれも今回は遠慮してもらって2019年度のナイスソング部門は「チャイルドプレイ」「バディソング」が1位と言うことで。YouTubeとかでも聞けると思うので知らない人は是非聞いてみてください。

キャラ好き部門
1位「屍人荘の殺人」
明智君が本当に良かった。眼鏡を掛けた中村倫也、最高です。いや、男前なのは知ってるけど眼鏡好きの私の心をかっさらっていったんですよ。もうこの映画でしか見ることがないんでしょうか? 眼鏡を掛けた中村倫也。切なすぎます。勿論明智君のキャラクターもとても良い。ダメ探偵に見えて実はちゃんと推理していたり、格好つけすぎて空回りしているけどかっこいい。小説でも好きだったけど眼鏡を掛けた中村倫也が演じていることでより好きになりました。ぶっちぎりの1位です!「イットTHEEND」の眼鏡、リッチーも勿論好きだ。絶妙に空気が読めないところも嫌いじゃない(わざと空気を読まないこともある?)これ、眼鏡部門に変えた方が良い?

トラウマ部門
1位「イットTHEEND」
多くの人がペニーワイズにトラウマを持っているのと同様、いや、それ以上にルーザーズクラブがトラウマを負っている。それが分かるのが「イット」第二部になる本作。まさかほぼ全員記憶から消している。地元に残っている友達から「やつが帰ってきた」と連絡が来た瞬間に思い出し動揺する。彼らが忘れているのはペニーワイズのことだけではない。子供の時、心に傷を負った傷は忘れても大人になった彼らの心をむしばんでいる。映画を2部構成にしたことでその恐ろしさが際立つ。そういったテーマの作品は多くあるが、本作はそれを丁寧に描いてより共感できるように思える。

以上が2019年度私が見た映画の総評です。が、思い返してみれば見れなかったものも多い。
「アス」「アナベルー死霊博物館ー」「ドクタースリープ」「ペットセメタリー」「シライサン」「パラサイト」「ダイナー」
「パラサイト」はもしかしたらまだやってる映画館があるかもしれないけど、田舎にはないよねぇ。レンタル等に出てきたら是非見て感想を書きたい。

 日本に緊急事態宣言が出て、俺が自宅でやることもなくぼんやりしていると、高校時代の友達Kから連絡があった。ちょうどお前のことを思い出していたと冗談を言ったがあまり乗ってくれず、とりあえず会って話したいと言われた。新型ウィルスが猛威を振るっている今、あまり外出したくなかったが、徒歩で行ける範囲のKの実家に帰省しているとのことだったので散歩がてら、人の少ない道を選んで会いに行った。出迎えてくれたKは記憶よりも肉が半分ほどそげ落ちたように痩せていた。

「高校の時の携帯番号をまだ使っててくれて良かった」

 とKは言いながらコーヒーを出してくれた。

「ああ。お前・・・・・・の家も大分変わったな」

 躊躇しながら家のことを言ってみる。Kも変わったがKの実家も様変わりしている。イラストレーターのKの仕事に合わせて改装したのか、アトリエ風に仕事部屋が広く取られ、居住スペースと完全に仕切られているようだ。Kの両親は早くに亡くなり、この家は空き家になっていたのだが、いつの間にか戻ってきていたらしい。今回連絡があり初めて知った。

「帰ってきたのは、あの絵を発表して有名になったからか?」

 俺が聞くと一瞬Kの表情が曇った。

「どうしたんだ?」

「うん、実はそのことでお前に聞きたいことがあって」

 Kは自分に入れた、まだ熱そうなコーヒーをごくんと飲んだ。

「お前は、オカルトとか怖い話とか昔から詳しかったよな」

「そうだな、今でもそういう系の雑誌なんか読むよ」

「だったら教えてくれ。アマビエは本当はどういう妖怪なんだ?」

 質問の意味を捉えかねて俺は言葉に詰まった。

「アマビエ・・・・・・それは、お前の方が詳しいんじゃないか?」

 そう、Kはアマビエで有名になったと言っても過言ではない。彼が1年前にネットにあげた1枚の絵が世間の目にとまったのだ。SNSに投稿した半漁人のような、不気味でまがまがしくも美しいイラスト。Kはそれに「夢に出てきた予言の海獣」と短いコメントを入れている。最初は誰も見ていなかった。だが数ヶ月後そのイラストに誰かが「これはアマビエという妖怪ではないか?」と言い出した。その頃から感染が拡大しつつあった新型ウィルスの不安が話題に拍車を掛け、一気に有名になった。妖怪好きなら知っている、そうでなければあまり馴染みのない妖怪だった。だがKのイラストとともに疫病封じ妖怪として拡散され誰もが知る妖怪になった。「Kが描いたアマビエが新型ウィルスに効く」嘘か真か、そんな噂が出回っている。Kのアマビエのイラストには高値がつけられ、創作依頼が1000人を超えたと聞いている。K自身もテレビや雑誌のインタビューで見ない日はない。彼らがKのイラストに注目するのはそのセンスや技術だけではない。Kがイラストを発表したのは新型ウィルスが発表される数週間前で、さらにK自身それをアマビエという妖怪だと知らなかった。そういった内容のインタビューを聞いた人が「本物を見たんだ」と思い、さらにイラストの依頼が殺到した。

 Kは何度もインタビューや取材を受けているはずだ。もはや忘れたくても忘れられないくらいアマビエの情報はKの中に蓄積されているだろう。なのに何故今更そんなことを聞くんだ。

「確かに、俺はアマビエについていろいろ聞いたし、調べたよ。でも怖いんだ」

「どういうことだ? 本当はアマビエなんて見てないとか?」

「違う。それは違うんだ。俺は本当にあの妖怪を見た!」

 Kが声を荒げる。昔の彼からは考えられない姿だ。俺があっけにとられているのを見てKはすぐに申し訳なさそうな表情になった。

「すまない。あれを見てから、何かおかしいんだよ」

「状況が分からん。一から説明してくれないか」

 Kは「わかった」と言いつつも、しばらく逡巡し「ここだけの話にしてくれ」と念を押して話し始めた。

 

 高校を卒業してからKは専門学校でイラストやWebの勉強をし、東京に出た。昔から絵がうまかったし、K自身も自信があったと思う。就職して仕事をしながら自分の絵を描いていたそうだ。だが慣れない仕事に一人暮らし、思うように絵を描く時間も取れず、Kは次第に焦りだした。そんなときに同じ専門学校出の友人が某スマホゲームのキャラクターのデザインを担当したことで名前が売れ始めた。Kの焦燥感は限界を超え、彼は絵を描くために仕事を辞めた。それによって絵を描く時間は増えた。自分を売り込むために営業もした。しかしすぐに仕事がもらえるはずもなく貯金はみるみるうちに減っていき、生活が立ちゆかなくなった。見通しの甘い自分に嫌気がさし、また、体調も崩し、Kは地元に帰ることにした。空き家になっている実家は近くに住む叔父が管理していた。叔父にだけ連絡し、Kはひっそりと実家に帰還した。何をするでもなく数日過ごした。

 Kは何も言わなかったが、おそらく彼は死ぬつもりだったんだろう。ただ決心が付かなかったのか、地元に戻ったことで生きる気力が戻りかけたのか、Kは何をするわけでもなく1ヶ月一人で過ごしたそうだ。そんなときに彼はそれに出会った。

 人のいない朝方、Kは地元の海辺を散歩していたらしい。寒い朝だった。静かでまだ薄暗い。だからそれが現れたとき、幻覚だと思ったそうだ。起きながらにして夢を見ているんだと。それは岩場から顔を出した。白い髪と爬虫類のような目、そしてくちばし。長い爪で岩をひっかくようにして登っていた。見ていると体が岩の上にあわらになった。虹色のつやつやした鱗が宝石のように見えたという。足はない。ひれのようなものを引きずって、ずるずると爪だけで岩を登りはじめた。

 

「それは、確かにアマビエのようだな。それが夢だったのか?」

「いや、夢じゃなかったんだ」

 え? と俺は聞き返した。

 

 それは突然Kに気づき振り返った。目が合う。Kはそこで「しまった」と焦ったそうだ。見てはいけないものを見てしまったと。Kは後ずさり距離を取るときびすを返して実家に走り帰った。実家には叔父が来ていて、白い顔で息せき切って戻ってきた甥に驚いていたそうだが、腫れ物に対するように何も聞かれなかったそうだ。叔父は惣菜をお裾分けしてくれ、朝食に一緒にそれをいただいたそうだ。

 

「夢じゃなかった。もし夢だったら現実との境目が分からない。つまり俺の頭がおかしいことになるんだ」

 きっぱりとした口調に俺は言い返す言葉がなかった。

「・・・・・・じゃあ、あの絵のタイトル『夢に出てきた予言の海獣』っていうのは?」

「夢には出てきたんだよ。その日の夜」

 

 それはすぐに夢だと分かったらしい。Kは夢の中で黒い水面に立っていた。そしてその水の深いところから光が泳いできて水面から顔を出す。

『私はア――というものだ』

 と、それは言った。よく聞こえなかったがKは浅くうなずいた。

『これより先、疫病が――……、私の写し絵を――人々に、見せよ……』

 やはり聞き取りにくい。しかし話は終わったのか、それは再び水に潜った。しばらくゆらゆらと煌めく髪が水中で揺れているのが見えていたが、徐々に暗い水の中に消えていき、真っ暗になった。そこでKは目を覚ました。

 

「まるで神のお告げだな」

 俺は特に意識せずにつぶやいた。しかしKは思いの他その言葉に食いついた。

「そうだろう? 妖怪じゃないんじゃないか? あれは本当に妖怪なのか?」

「どういうことだ?」

「あれを描いてから、俺の人生が変わったんだ。いや、俺そのものが俺じゃなくなった。俺が描いたものを、皆がありがたがる。他の誰でもない、俺だ」

「それは、お前がパイオニアだと皆思っているからだよ」

「それがおかしいんだ。アマビエなんてものは最初からいたんだよ。俺が描く意味がない。でも俺じゃないといけなくなった」

 何が言いたいのか分からない。Kの呼吸は徐々に荒くなり、目は血走ってきた。それでもKは俺に訴え続ける。

「アマビエが存在するなら、最初から人間の前に出てきたら良い。出てきてウィルスなんて吹っ飛ばせば良い。でもしない。俺が描かないといけない。俺が描かないと皆納得しない。逆に俺が描いたものなら皆喜ぶんだ。俺が何を言っても喜ぶんだ。俺が『こんな気持ち悪い妖怪』と言っても『恐怖に打ち勝ち人々を救うために筆を執った』と言われる。インタビューごとに違うことを言っても気にしない。新しいお告げがあったと解釈するやつまで現れる。あれは俺をどうしたいんだ? 俺を使って何がしたいんだ? 俺は、何を描かされているんだ?」

 そう言ってKはバタンと床に倒れた。体が震え、過呼吸を起こしたように口を開いて苦しそうに息をしている。顔は真っ青だ。俺は慌てて救急車を呼んだ。救急車が到着し、Kが担架で運ばれているとKの叔父が現れた。サイレンを聞いて慌てて駆けつけたらしい。俺は経緯を説明し、連絡先を交換し、後をお任せして帰路についた。Kの叔父は普段から彼の不摂生を気にしていたらしく、何度も頭を下げられてしまった。

 俺は家に帰って妖怪図鑑や妖怪関連の雑誌をめくってみた。アマビエの記述はそれほどない。似たような妖怪の話はいくつかあるが、似ているだけで特別これといったものも見つからなかった。ただ俺は気になることがあった。

『神のお告げ』

 自分が言った言葉だが、結構的を射ているのではないだろうか。柳田国男が「妖怪は神が零落したもの」と言っているらしい。妖怪と神は遠いようで意外と近いのかもしれない。そうなるとKが見たアマビエがKに何をさせたかったのか。

 アマビエはKを使って神になろうとしている。

 一度そう考えてしまったらそうとしか考えられなくなってしまった。Kに自分の姿を描かせ、大勢に見せ、アマビエの話が出回った。Kが言ったとおり、誰もがKを先導者だと思っているし、Kの言葉を自分たちを導くものだと信じている。そしてアマビエが守ってくれると信じている。それはすでに妖怪の役割ではない。

 SNSを見るとすでにKが入院した情報は出回っていた。人々はKがアマビエを描くために体調を崩したという美談を作り上げていた。そしてKの回復をアマビエに祈っていた。

 1ヶ月後、Kは復活した。俺には叔父さんから退院時に連絡が来ただけだった。Kはすぐにアマビエを描くのを再開し、世間は沸いた。新型ウィルスも収束し始め、徐々に日常を取り戻しつつある。

 Kは何を考えているのだろうか。一度だけ連絡をしたが返事はない。

 アマビエを妖怪と言う人は今はいない。

 

※小説投稿サイト「カクヨム」にも投稿しています。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054896682850/episodes/1177354054896682892

空気です。ここ数が月なんやかんや忙しかったので、すっかり忘れていました。
ハッピーセットのおもちゃの変更時期を!
何を隠そう私はハッピーセットの絵本、図鑑のコレクターをしています。すごいんですよ、クオリティが。図鑑は小学館だし、絵本はよいクリエイターさんをチョイス。
絵本好きとしては最初の絵本を新井洋行さんにしたあたりが憎いなぁ(笑)と。あと私の敬愛するザ・キャビンカンパニーさんもうれしかったですね。
そして今回、高畠那生さんの「ブロロンどろろん」の絵本と「星と正座」の図鑑。予告の時点で絶対手に入れようと思ってたのに-!と半泣きでマクドに向かったところまだありました!よかった!っていうか最近無くなるの遅いですよね。
今回の絵本作家の高畠那生さんはすごくオススメ!是非読んでほしい。
この方の作品はダイナミックでシュール。これまで読んだ中で特に私が好きなのは
「そらからぼふ~ん」

 

そらから ぼふ~ん そらから ぼふ~ん
1,404円
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主人公が犬と散歩をしていたらそらからデカくておいしそうなホットケーキがぼふ~んと降ってくる。さらにぼふ~んと降ってきて・・・・・・。読んでる間思わずニヤニヤしてしまう。おいしそうだしシュールだし楽しい!

 

「まねきねこだ!!」

 

まねきねこだ! ! まねきねこだ! !
1,650円
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こちらも空から降ってくる系だがめちゃくちゃな数の招き猫だ。招き猫が唐突に町に現れ疾走する姿がすごい!意味がわからないけどその大胆さと勢いがとても良い!

 ほかにもたくさん書いていらっしゃいますし、私が読んでないのも今探したらありました。絵本は子供が読むもの・・・・・・ではなく、大人が子供と一緒に楽しんで読める本と思います。時間があるときにお近くの図書館に足を運んでみては?