geezenstacの森 -23ページ目

geezenstacの森

音楽に映画たまに美術、そして読書三昧のブログです

 ミュンヒンガーの「四季」

 

曲目/

ヴィヴァルディ/四季 作品8、1-4
1.第1番 「春」 No.1 : SPRING (10:54)(Alegro - Largo - Alegro)

2.第2番 「夏」 No.2 : SUMMER (10:59)(Alegro non molto - Adagio - Presto)
3.第3番 「秋」 No.3 : AUTUMN (12:10)(Alegro Adagio molto - Alegro)
4.第4番 「冬」 No.4 : WINTER (9:45)(Alegro non molto - Largo - Alegro)

 

指揮/カール・ミュンヒンガー(指揮)
演奏/シュトゥットガルト室内管弦楽団

ヴァイオリン/ウェルナー・クロツィンガー

 

録音/1958/05 ヴィクトリア・ホール、スイス

 

英デッカ SPA201

 

 
 昨日取り上げた、カール・ミュンヒンガーの四季をゲットしていましたので取り上げることにしました。この録音について調べてみると、ミュンヒンガーとシュトゥットガルト室内管弦楽団が、ヴィヴアルディの「四季」を最初にモノラルLP として録音したのは1951年でした。(米国でL P が登場したのは1950年春。) ヴァイオリン独奏はラインホルト・バルヒェットが受け持っていましたが、このアルバムは初め輸入盤として1952年ごろにはわが国にも少量がはいっていたようです。ffrr というロンドンのすぐれた録音で注目されましたが、このころはまだ録音特性がバラバラで標準のRIAAではなかったようです。
 
 日本プレスとしてこのLP が発売されたのは1958年(昭和33年) 6 月で、番号はLB - 13でした。そのころのベスト・セラーのーっとなったことは言うまでもありません。イ・ムジチの四季もまだ、このころはモノラルしか出ていませんでした。多分認識としてはこの頃はそれ以前にも「四季」はSP レコードとしていくつかあったようですが、この曲がわが国をはじめ、欧米でにわかに愛聴されるようになったのは、やはりミュンヒンガーのこのモノラルL P の出現が大きく貢献したことは間違いないところでしょう。
 

 この1958年はすでにステレオ録音はソースとしては登場していました。デッカも1954年ごろから試験録音をしていましたのでミュンヒンガーも直ちに「四季」を再録音しました。この録音は、1958年5 月にスイスのジュネーヴにあるヴイクトリア・ホールで収録され、わが国では1959年の2月28 日にSLB - 1 という番号で発売されています。この1958年というのはデッカにとっては転機でヨーロッパや米RIAAのステレオ・レコードの規格としてが45/45方式を採用したのを期に、自社で開発したV/L方式を断念し、西独テルデック社に45/45方式のステレオ・カッターを注文してカッティングを開始しています。そして、この番号からも解るように、これはキングレコードのロンドン・ステレオ盤の第1号でした。しかも前出のモノラル盤からわずか約9ヵ月後の発売で、ヴァイオリン独奏は、ウェルナー・クロツィンガーに変りました。

 

 ところで、ミュンヒンガーはシュ卜ゥットガルト室内管弦楽団とともに、"四季" の録音を英デッ力に3種残しています。
 1. 1951年モノラル録音 Vn ソロ バルヒエット
 2. 1958年ステレオ録音 〃  クロツィンガー
 3. 1972年  〃    〃  クルカ
このアルバムは、2の1958年録音のもので、翌1959年2月、ロンドン・ステレオの第1回のその第 1号(SLB-1)としてキングレコードより国内発売されました。勿論、日本での "四季" の最初のステレオ・レコードでもありました。ちなみにアーヨのステレオによるイ・ムジチ盤は1959年4-5月の録音でしたから発売はその後でしょう。

 

image

 

 手元にあるのは英デッカ盤で、レコード番号こそはSPA201ですが、原盤はZAL4035-4Wというスタンプがあります。つまりはマスターテープから4回目のスタンパーで製作されたものという事で、オリジナルのマスターに近い音がするという事です。この最後のWはHarry Fisherというエンジニアがマスターを製作していることが分かっています。


 クロツィンガーは当時のシュトゥットガルト室内管弦楽団のコンサート・マスターであり、前回のバルヘットに優るとも劣らない流麗なソロを聴かせています。注目したいことは、このソロのステレオ音場での定位(位置)がやや左寄りにあるところです。これは実際の演奏会での第1ヴァイオリンの卜ップの位置で弾いていることを意味しています。当時のデッカはもう3本マイクでのデッカツリーでの録音を使っていたのでしょうか。どうも、最近の「四季」の録音では、ソロ・ヴァイオリンは中央に定位しているものが多いようで実際の演奏を聴くのとでは違和感がありますからねぇ。

 

 録音は最初にFFSSを最初に標榜したレコードです。それまではFFRRでしたからねぇ。スイス・ロマンド管弦楽団の使うホールで録音しているということは残響も含めて最良のバランスを狙ったのでしょう。演奏自体は全体に遅めのテンポで、「春」の冒頭からしてイ・ムジチの演奏とずいぶん違いかっちりとしたリズムでまさにドイツ的「春」です。一音一音しっかりと置いて刻んでいきながらヴィブラートはしっかりとかけています。テンポの遅さもあってフレッシュ感は全くありませんが、不思議なもので古臭いとか鈍重だと感じさせないところ枷この演奏の妙味でしょう。

 つづく「夏」も聞いた感じではギラギラ輝く太陽のイメージとはほど遠いのですが粘りのあるフレージングでじっとり蒸し暑い日本の夏を感じさせます。多分このテンポで今演奏されたら聴衆はびっくりするのではないでしょうかねぇ。この「四季」にはソネットがついていますが、その夏は次のようになっています。

 

‘かんかんと照りつける太陽の絶え間ない暑さで人と羊の群れはぐったりとしている。松の木も燃えるように熱い。カッコウの声が聞こえる。そしてキジバトの囀りが聞こえる。北風がそよ風を突然脇へ追い払う。やって来る嵐が怖くて慄く。”

 

 これは夏の第1楽章のものですが、まさにこの状況を描写音楽風に演奏しているのがこのミュンヒンガーなのでしょう。第3楽章などはヴァイオリンの一瞬一瞬の“間”に続いての絶え間ない音の連続が荒れる嵐を表現しているように聴こえます。

 

 また「秋」などは今の演奏だと特にすっきりメロディアスに演奏しうっとりさせてくれるものが多いのですが、ミュンヒンガーだと「春」と一切変わらず妥協無くあくまでヴァイオリン協奏曲として演奏しています。ここの第1楽章のソネットは

 

“夏の季節が終わり、嵐の心配もなくなった。小作農たちが収穫が無事に終わり大騒ぎ。ブドウ酒が惜しげなく注がれる。彼らは、ほっとして眠りに落ちる。”

 

 ってなもんてせ空かせ、多分ミュンヒンガーは葡萄酒をビールに置き換えて演奏しているように感じさせます。クロツィンガーのヴァイオリンは指揮者の要望にそい、オーケストラの一部となって「巧い」「美しい」ということも感じさせず「四季」の骨格として機能しているように思われます。特に第3楽章は極端な遅さの中で旋律線を浮かび上がらせながらこの遅いテンポで「秋」の狩の様子を表現しています。

 

 この演奏でチェンバロは秋の第2楽章以外はあまり目立ちません。「冬」の第1楽章でも通奏低音としての役割に徹しています。まだ、この時代は自由闊達な即興演奏は考えられなかったのでしょうなぁ。よく単独で演奏される「冬」の第2楽章のラールゴもクロツィンガーは名旋律を緊張感を途切れさせずゆったりとしたテンポで聴かせてくれるのは見事です。技巧と音色勝負の今のヴァイオリニストでは無理な芸当でしょう。

 

 

 このレコードも下部に広告が掲載されています。サンプラー的なものとしては2ケタ台にさすがイギリスというべきブリテンのものとオペラのデッカという事でイタリアオペラものがラインナップされています。子のチョイス基準はちょっとわかりませんが、ルジェ―ロ・リッチのメンデルスゾーンやセルのヘンデルもの、そしてモントゥーのエルガーがシリーズに組み込まれています。果たしてこれらのアルバムはイギリスではあまり売れなかったので投入されたのでしょうかねぇ。

 

 

この他で取り上げているSPAシリーズの記事です。

 

 

 

 

ミュンヒンガー2回目の取り上げた録音

 

 

ミュンヒンガー3回目の録音

 

THE WORLD OF BAROQUE

ミュンヒンガー/シュトットガルト室内管弦楽団

 

曲目/

 

 

 英デッカが1968年から発売を開始したSPAシリーズという 、それまでのエクリプス、 エース・オブ・ダイヤモンドに続く第3の廉価盤シリーズでした。ただし 、最初は多分にプロモーション 的な要素が強く、今回 取り上げる ザ ワールド・オブ・バロックも レギュラー盤で発売されているレコードの宣伝という意味合いを多分に含んでいます。そのため、裏面のジャケットの下にはこれらの曲が登場するバロックのレコードがコマーシャル的に取り上げられています。

 

 ただ面白いのはこのレコードはカール ミュンヒンガー とシュトゥガルト室内管弦楽団の演奏が収められていますが 。必ずしも彼らのレコードが紹介されているわけではありません。ここが面白いところです。

 

 そして、もうこの時代には マリナーとアカデミー室内管弦楽団の演奏がかなり話題になっていました。そういう意味では ミュンヒンガー は忘れ去られかけていたといった方がいいでしょう。 彼自身も室内オーケストラから普通のオーケストラの指揮者にチェンジしている頃でした。

 
 

 
  下がレコードジャケット 下面に紹介されているレコードの数々です。 ZRG で始まる番号は 傍系のアーゴ レーベルからの発売です。しかし、マリナーの録音の中にはSXL番号で発売されているものもあります。一体どういう区分で発売されていたんでしょう、不思議です。 またこの頃 デッカには レイモンド・レッパードやヘンリー ・ルイスという指揮者 も登場しています。 これは意外でした。 また ターンナバウトが盛んに取り上げたでルイ・デ・フロメントという指揮者 もデッカ の録音の中に登場します。当時のターンナバウト盤はデッカがプレスして発売されていましたからまんざら関係がないわけではありませんけどね。 多分これらの録音は日本では紹介されていなかったのではないでしょうか。
 

 

 話をSPAシリーズに戻しますと、このシリーズはその初期の目的であるサンプラーという意味合いからしてクラシックの専用レーベルではありませんでした。ちなみに英国盤wikiには次のように書かれています。

 

1968年に発売されたこのシリーズは、クラシック、ポップ、フォーク、ジャズ、ブルース、ワールドミュージック、ショーチューン、コメディ、スポークン・ワードなど、レーベルの幅広いジャンルの作品を網羅していました。これらの作品には、コンピレーション、リイシュー、サンプラー、そしてBBCラジオ番組「Your Hundred Best Tunes」をベースにしたコレクションなどが含まれています。『ザ・ワールド・オブ…』は、デッカのカタログをスーパーマーケットなどの小売店に持ち込み、新規購入者に「ちょっと買ってみる」ことを促しました。1975年までに、このシリーズは「レコード会社が企画したシリーズの中でおそらく最も売れたシリーズの一つ」と評されました。-----1973年までに、「ワールド・オブ…」は英国の低価格帯アルバム市場の18~20%を占め、MFP(推定28%)に次ぐシェアとなりました。[7] 1975年には、アルバムの小売価格は1.29ポンドでした。1986年までに、販売価格は2.12ポンドに上昇しました。

 

 当時は1ポンドが450円ほどでしたから直輸入で購入しても免税とディスカウントで送料込みでも1枚7~800円ほどでした。という事で、当時は積極的にイギリスから個人輸入をしました。ちなみにSPAー1として発売されたのは「The World of Mantovani」というアルバムで、イギリスのチャートの6位にランクされたという憂い気を示しました。

 

 さて、冒頭はミュンヒンガーの最初のステレオ録音となる1958年の「四季」です。ウェルナー・クロツィンガーがソロヴァイオリンを務めたこの「四季」は、ドイツ的な重厚な演奏でブームのイ・ムジチの四季とは一線を画していました。こんな演奏です。テンポも遅く、どっしりとした構えの中で音楽が進んでいきます。最初はちょっとかったるさを覚えますが聴き進むに従って構成力のしっかりした演奏で、音の良さも相まって引き込まれていきます。

 

 

 実は、小生はこのレコードを聴くまでミュンヒンガーの「四季」は全く聴いたことがありませんでした。この時までに知っていたのは、イ・ムジチの演奏とコロムビアのダイヤモンド1000シリーズに投入されていたクレバースがソロを務めるオランダ室内管弦楽団の演奏だけでした。

 

 2曲目のブランデンブルク協奏曲第2番、録音は1959年、ステレオ録音ながら音質はモノラル時代の良質な録音の感じで明晰に各パートが聴かれ、手を加えていない生っぽさがいいです。ミュンヒンガーの指揮はドイツ的と言いましょうか、急速なテンポは取らず、一音ずつに気合いが入っていてキリっと締まり、おのずと整然としたリズム感が強調される、シェルバウムのtpは録音が明瞭では、一発勝負的な録音のスリルを感じさせ、これもtpの魅力でしょう、アンドレの木管楽器を吹くような柔らかさとは違い、あくまでtpらしい輝きと良い意味での粗野な味わいもいい。いずれにせよこれだけ吹ける人はめったにいなかったでしょう。その第1楽章です。

 

 

 ミュンヒンガーの音楽づくりの特徴は、ゴリゴリのドイツ的音楽作り。縦の線を合わせ、どっしり音楽を響かせる。それが「四季」でもパッヘルベルでも同じ姿勢。確かにピリオド演奏隆盛期に聴くと古臭く重たい演奏に感じたものが不思議、時を経て今聴くと「新鮮」に感じる。温故知新なのか、スーパードライばりの切れ味鋭い演奏ばかりで耳が痛がっていたのか、この麦芽のコクがあるハイネケンのようなミュンヒンガーの演奏にほっとする。

 

 

 

 

 B面はガブリエル、コレルリ、ペルゴレージ、と並びます。いずれも未聴の音源で新鮮さを感じました。ガブリエルのソナタは弦楽合奏だけによる演奏で、金管のイメージが強かったガブリエルのイメージが変わりました。

 

 

 コレルリの「クリスマス協奏曲」はちょっと硬派のミュンヒンガーのイメージが代わる演奏です。戦慄せんわ膨らませ気味に演奏し、

 

 

 最後のペルゴレージは、この 1963 年のロンドン録音では、カール・ミュンヒンガー (1915-1990) がシュトゥットガルト室内管弦楽団を指揮して、ト長調協奏曲第 2 番の第 1 楽章を演奏しています。この協奏曲は、今日ではウニコ・ヴィルヘルム・ファン・ヴァッセナール (1692-1766) の作品であることが分かっていますが、この録音当時は、ジョヴァンニ・ペルゴレージ (1710-1736) の作品として一般的に演奏されていました。

 

 

 日本ではカール・ミュンヒンガーの廉価盤は限定盤でウィーンフィルを指揮したものが発売されましたが多分バロックものは発売されなかったのではないでしょうか。そんなことでこのアルバムはミュンヒンガーの入門窓口になりました。

 

 

danse et ballet anciens

中世の舞曲集

曲目/

Danses de Terpsichore: Ballet des coqs    1:40

Danses de Terpsichore: Bransle double    1:03

Danses de Terpsichore: Courante    0:56

Danses de Terpsichore: Bransle de la Royne    0:50

Danses de Terpsichore: Ballet des feux    1:07

Danses de Terpsichore: Philov    1:18

Danses de Terpsichore: Ballets des matelots    0:35

Danses de Terpsichore: Courante    0:41

Danses de Terpsichore: Bransles des villages    2:08

Il primo Libro di Balli: Gagliarda el tu tu    2:07

Il primo Libro di Balli: Caro ortolano, saltarello    1:04

Il primo Libro di Balli: L'Arboscello ballo furlano    0:42

Il primo Libro di Balli: Tedesca n°1, saltarello    1:26

Il primo Libro di Balli: Ballo francese    1:01

Il primo Libro di Balli: Schiarazula marazula    1:49

Il primo Libro di Balli: Ballo millanese    1:07

Il primo Libro di Balli: Tedesca n°2, saltarello    2:33

Danseryes: Pavane La Gaiette    2:00

Danseryes: Suite de Bransles (Enchaînés)    1:41

Danseryes: Tordion    0:41

Danseryes: Bransles de Bourgoigne (Enchaînés)    1:36

Suite de Danses: Pavane Si je m'en vois    1:34

Suite de Danses: Bransles simple    0:55

Suite de Danses: Almande    1:17

Suite de Danses: Gaillarde de la guerre    1:12

Suite de Danses: Suite de bransles    2:47

Danseryes: Schafertanz Ohne fels    1:20

Danseryes: n°achtanz    1:20

Danseryes: Ronde Warum    1:14

Danseryes: Schafertanz    1:43

Danseryes: Ronde    1:11

Danseryes: Basse dance Mein verlangen    1:33

Danseryes: Die Post    1:39

Danses et pièces médiévales (1314): Alle psalitte cum luya    1:01

Danses et pièces médiévales (1314): Ce fut en may    0:53

Danses et pièces médiévales (1314): Saltarello 1    1:20

Danses et pièces médiévales (1314): La Manfredina - La Rotta    2:13

Danses et pièces médiévales (1314): Trotto    0:50

Danses et pièces médiévales (1314): Saltarello 2    1:42

Danses et pièces médiévales (1314): Ductia    1:04

Danses et pièces médiévales (1314): Il lamento di tristano - La Rotta    3:37

 

指揮/クリスティアン・マンドーズ

演奏/ムジカ・アンティカ

Alto Recorder, Recorder [Bass] – Simone Bourguet

Alto Recorder, Recorder [Soprano] – Claude Alberti

Alto Recorder, Recorder [Tenor], Crumhorn [Tenor] – Henry Serindat

Recorder [Bass], Crumhorn, Bagpipes – Jean-Charles Lorgoulloux

Recorder [Sopranino], Alto Recorder, Crumhorn [Alto], Conductor – Christian Mendoze

Percussion – Rosette Rames

Psaltery, Percussion – Jacques Rames

Spinet – Anne-Marie Michel 

 

録音/1984/10/20.21

P:ピエール・ベラニー

仏Disques Pierre Verany – PV 730006

 

 

 中世の舞曲ですから一曲一曲は短いものです。このアルバムの日本盤は出ていないと思われます。ブリューゲルの「農民の結婚式のダンス」をジャケットに使用しています。CDDBのデータを引っ張ると41曲がリストアップされます。ただ、スリーブの裏には、まとめられた6曲で表示されています。

 

 

 下がメンバーになります。

 

左から三人目がクリスティアン・マンドーズです

 

 以前から中世16世紀の舞曲が好きで、レコード時代は好きのものをよく聴いていました。このアルバムもやはりブリューゲルの「農民の踊り」がジャケットに使われています。中世フランスには宮廷のための舞曲がありますが、小生はそれよりもこの農民のための舞曲が好きでした。いかにもドイツ農民の舞曲というものが収録されています。

 

もともとこのタイトルで発売されていました

 

 

 

 で、このアルバムはいかにもフランス農民の舞曲というものがチョイスされています。こういうところが面白いです。これらの楽曲の中で一番好きなのは最後の「34-41曲の「中世の舞曲作品」と題されたものです。34曲目から始まりますが今にも踊り出したくなるリズムです。

 

 

 中でも39曲目の「サルタレッロ2」と題された曲はまさに舞曲です。総じてこのアルバムに含まれるサルタレッロの曲はどれも楽しい舞曲になっています。

 

 

 下をクリックするとこのアルバムの全体の曲が聴けます。ただし、youTubeの音源は必ずしもアルバム収録順には並んでいませんので悪しからず。

 

 

 

 

 

 

Music From the Film Of 

Tom Cruise

 

曲目/

 

 

 これはイギリスの「Silva Screen」というレーベルから発売された俳優にスポットを当てて制作されたアルバムです。1994年に発売されたもので、ここでは「トム・クルーズ」がセレクトされています。この「Silva Screen」というレーベルは映画音楽に特化したレーベルで現在も存在します。

 

 この1994年時点での発売と言う事は、彼の後の代表作となる「ミッション・インポッシブル」は含まれていません。そういう意味では、この時点の最新作は最後に収録されている「遥かなる大地へ」が最新作といえます。

 

 このアルバムで1番最初に収録されているのは「7月4日に生まれて」という作品です。7月4日というのはアメリカの独立記念日です。まぁ最大のお祭りといってもいいでしょう。この作品でトム・クルーズはゴールデングローブ賞の主演男優賞、またアカデミー主演男優賞のノミネートにもなっていましたから代表作の一つといってもいいでしょう。

 

 

 個人的にこの曲目リストを見て驚いたのは、1983年に公開された「ザ・アウトサイダーズ」と言う作品です。この作品以前にもトム・クルーズは映画に出演していますが、この作品は本のちょい役でしか出ていなかったからです。当時発売されたサントラのジャケットでも、上のほうに小さな写真でしか示されていません。当時は、若者の映画ブラッドパックと呼ばれる人たちが人気集めていました。例えば、エミリオ・エステベスとかロイ・ブロイとかそういう俳優の方が有名だったわけで 、一部にはトム・クルーズもその「ブラット・パック」の1人だと言うことが紹介されていますが、ほとんど目立たない存在でした。本来ならここで取り上げるのは、彼が注目を浴びた「卒業白書」という作品ではないでしょうか。それが選ばれていないのはちょっと残念なところです。

 

 

 我々のイメージで、この当時のトム・クルーズの代表作は「トップガン」だったのではないでしょうか。このアルバムでは2曲が収録されています。最初は「トップガン・アンセム」というハロルド・ファルターマイヤーの曲です。一般ですとケニー・ロギンスの歌った「トップガン」という曲がチョイスされるところでしょうが、小生もこっちの曲の方が印象に残っているのが確かです。またもう1曲の「愛は吐息のように」です。トップガンの愛のテーマという側面があった曲ですが、小生はあまりお気に入りではありませんでした。

 

 

 レインマンは、意表をついた作品ですが、トム・クルーズ自身、幼い頃から学習障害や失読症などの障害を持っていたこともあり、この映画に参加しています。ただ個人的には素晴らしい内容の映画でしたが、音楽だけはいただけませんでした。これはジョン・ウィリアムズが作曲していればもっと素晴らしい作品になっただろうなぁと言う気持ちはあります。ここではハンス・ジマーがエレクトリック・サウンドを取り入れた響きで、どうも映画の内容とマッチしていないなぁと言う印象を持ちました。こんな曲です。

 

 

 14曲目は曲名は「遥かなる大地へ」からエンヤの歌う「ブック・オブ・デイズ」という作品です。エンヤ自体がアイルランド出身と言うこともあり、この映画のルーツと根本的に関わっているということで採用されたのでしょう。もともと言葉に意味を持たないエンヤの曲ですから、この楽曲の挿入は映画の価値を高めていたのではないでしょうか。

 

 

 最後の曲は同じく「遥かなる大地へ」のエンドタイトルです。ここでもジョン・ウィリアムスがアイリッシュのメロディーを用いながら素晴らしいスコアを書いています。アイルランドの民族楽器を使った楽しい舞曲を含んだこのエンドクレジットは映画を見たものを爽やかな感動で包んだことでしょう。

 

 

 ところで、このアルバム。選曲が良くなかったのかDISCOGSのページでもこのアルバムだけ、登録されていません。ということでは逆に今となっては貴重品です。

★MOVIE Greats★

 

曲目/

 

演奏/オリジナル・サウンドトラック

 

 

 ちょいと調べ物をしようと映画音楽の収納してあるボックスの中を物色しました。ラックの下に押し込んであるのでほぼ一年中収納されています。いや5-6年かもしれません。そんな中にこの一枚がありました。探していたものとは全く違うのですが、購入した記憶が全くありません。

 

 最初見た時はブートレックかと思いましたがよく見ると「MCA」のマークがあります。何も解説はありませんが、デジタルマスタリングはきっちりとされているようで、ちゃんとエンジニアの名前も記載されています。そして、JVCのマークがありますからCDの制作で日本ビクターも一役買っていたようです。多分90年代初めに発売されたCDでしょう。無駄を省いて収録された作品のジャケットとCD番号だけが記載されています。こんな感じです。名作ばかりをコンピュレートしているのがわかります。

 

 

 最初は「ジョーズ」のメインタイトルです。この作品ジョン・ウィリアムズにとっては、スピルバーグの第2作になります。第一作は「続・激突カージャック」でした。この曲、アイルランドの民謡の「マローの道化師」の伴奏部分をヒントに作り上げたものです。この有名な、ズン、ズン、ズン、ずんというテーマ曲はもうこの冒頭を聴いただけで、ジョーズの音楽だと言うことがわかります。それほど有名になった作品です。

 

 

 

 2曲目はETからフライングという曲です。映画は1982年の作品です。この時代ジョン・ウィリアムズは作曲活動一時停止していました。これはボストンポップスの音楽監督に就任したこともあり、そちらの仕事に多く着手していたからです。しかし、82年にこのE.T.を手がけることになりました。

 

 この「E.T」の音楽に関しては、映画では最後の15分間の音楽が切れ目なく演奏されるのですが、映画のフラッシュを見ながらの録音ではどうもうまく合わせることができなかったようです。それでスピルバーグの助言によってフィルムを見ずにスコアのまま演奏すると言う方法が取られました。そしてこの演奏が1番良かったということで、反対にスピルバーグが映画のフィルムを再編集することで音楽に合わせたと言うのです。こういうことでこの名曲が誕生したんでしょうなぁ。

 

 

 3曲目はエディ・マーフィの出世作となった映画です。日本では10オン円程度の配収しかあげられませんでしたが本国では3億ドル以上の大ヒット作でした。この頃まで一番映画にハマっていた頃で、よく映画館に足を運んだものです。「AXEL F」は映画のテーマ曲として使用されました。

 

 

 4曲目はアラン・シルヴェストリの代表作となった「バック・トゥ・ザ・フューチャー」です。

映画としてはヒューイ・ルイスの歌う「パワー・オブ・ラヴ」がヒットしましたが小生はこういうオーケストラ曲の方がお気に入りです。

 

 

 

 「ある日どこかで」は1981年に公開されたSF恋愛映画です。スーパーマン俳優として知られたクリストフー・リーヴの主演した映画です。この音楽ジョン・バリーが作曲しています。小生の好きな映画音楽の作曲家です。同じオーケストラを使ったメロディラインの曲ですが、しっとりとしていて独特の弦の響きが魅力的です。そこに絡むピアノの調べのなんとノスタルジックなことでしょう。

 

 

 このアルバムの中で一番新しいのは1985年の「フレッチ/殺人方程式」でしょう。このテーマ曲は早霧「ビバリーヒルズ・コップ」と同じハロルド・フォルターメイヤーが作曲しています。映画はチェビー・チェイス主演のコメディ映画なのですが、日本ではイマイチ話題となりませんでした。ただ、彼の演奏した1986年の「トップガン」のオープニングシーンの音楽も彼の作品なんです。

 

 

 ラグタイム音楽を復活させた作品ということでは「ザ・スティング」の「ジ・エンター・ティナー」は忘れられません。この曲を聴いてスコット・ジョブリンという作曲家を知りましたし、ジョシア・リフキンというピアニストも知りました。このサントラではマーヴィン・ハムリッシュが演奏しています。

 

 

 8曲目はロック・オペラの「ジーザス・クライスト・スーパースター」の序曲です。この曲もともと老いが音楽とは縁の深いアンドレ・プレヴィン/ロンドン交響楽団が演奏しているというのも味噌です。レコードでも市余裕していますが録音は悪く最後に壮大なハム音のノイズが乗っているのもいただけませんが。演奏のスケールは大きいです。

 

 

 

 

 1970年のアカデミー作曲賞に輝く名作「ある愛の詩」のテーマ曲です。まあ、普通はこのテーマを思い浮かべるのでしょうが、小生はこの映画の中で使われるモーツァルトの「フルート・ソナタ ヘ長調 K.13」の第1楽章やジェファーが仲間と共に演奏するバッハの「チェンバロ協奏曲第3番 ニ長調 BWV1054」の第3楽章の方が気になったことを思い出します。

 

 

 10曲目は1984年の「ザ・リバー」です。アメリカの農業問題を描いた、メルギブ、シシー・スペイセクが夫婦を演じた作品です。ただし、日本公開は2年遅れて1986年に公開されています。ただ、ほとんど話題になっていませんが、ジョン・ウィリアムズはシリアスな素晴らしい音楽を書いています。ただ、この84年にジョン・ウィリアムズはボストン・ポップスを辞任すると表明しています。あまりうまくいってなかったようで、こののち、ウィリアムズはボストン・エスプラネード・オーケストラとの比重を増やしていきます。こちらはフリーの演奏家を集めた全くの別物で、日本に来日しているのもこちらのオーケストラになります。

 

 

 もう一曲、ジョン・バリーの作品が収録されています。ロバート・レッドフォードとメリル・ストリープが主演した映画で1985年の作品です。「野生のエルザ」とは違うアフリカの広大さを描いた作品でロマンスものでもあるので「愛と哀しみの果て」という邦題がついています。

 

 

 このアルバム最後は、もう一度「E.T」から「オーバー・ザ・ムーン」が収録されています。ところで、この作品にはプロデューサーとしてブルース・ボトニックがクレジットされいます。彼はアメリカのオーディオエンジニア兼レコードプロデューサーです。ロック畑のプロデューサーですが映画音楽ではもっぱらジェリー・ゴールドスミスの作品をプロデュースしていましたが、ここで初めてジョン・ウィリアムズと組んでこのアルバムをプロデュースしています。このアルバムの音がやけにいいのはそういう裏事情があります。「ホーム・アローン」ではアーミン・スタイナーがプロデュースし、その後はボストン・ポップスなどの録音を含めてショーン・マーフィが録音エンジニアを勤めていました。

 

 ところでこの曲は映画ではそっくりそのまま使われていない曲です。エンド・クレジットの冒頭で流れる曲でピアノのソロをフューチャーし、ストリングスの長利れるような旋律とチェロが美しいメロディを歌い上げています。

 

 

 ところで、映画音楽は一人の作曲家が全てのスコアを書いているわけではありません。オー消すとレーターという存在があり、ジョン・ウィリアムズの作品では1989年の「オールウェイズ」という作品まではハーバード・スペンサーという人物が実際に譜面に書き起こしていました。その後の「フック」からはジョン・ニューフィールドがその任にあります。このオーケスとレーター、作曲家にほぼ専属で付くようで、ジェリー・ゴールドスミスにはアーサー・モートン、アレクサンダー・コーレッジが、アラン・シルヴェストリにはウィリアム・ロス、ダニー・エルフマンにはボブ・バダミという人物がその任に当たっています。