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geezenstacの森

音楽に映画たまに美術、そして読書三昧のブログです

決定版 交響曲の名曲・名演奏

 

著者:許光俊

出版:講談社現代新書

 

 

   ベートーヴェンの交響曲の名演奏はやはりフルトヴェングラー? それともヴァント? ではではカラヤンは・・・・・・? 交響曲の歴史をたどりながら、代表的な名曲の古今の演奏を聴き比べ。定番から知られざる名演奏まで、初心者には恰好のガイド、マニアにも読み応え十分の、入門書にして決定版!--データベース---

 

 

目次

はじめに

第一章 ハイドン・モーツァルト――古典派の交響曲
1 交響曲の始まり
2 ハイドン
3 モーツァルト
第二章 ベートーヴェン
第三章 ロマン派の交響曲
1 シューベルト
2 メンデルスゾーン
3 シューマン
4 ベルリオーズ
第四章 ブラームスから国民楽派へ
1 ブラームス
2 ロシアの交響曲
3 ドヴォルザーク
4 スメタナ・リスト
第5章  ブルックナーとマーラー
1 ブルックナー
2 マーラー
第六章 ショスタコーヴィチとプロコフィエフ
1 ショスタコーヴィチ
2 プロコフィエフ
第六章 そして交響曲はいなくなった、のか?

あとがき

 

 まあ、普通の本は前書きから読み始めるのが一般的でしょうが、著者のようにょっと捻くれている人は「あとがき」から読むことをお勧めします。そこにはこの本の注意点が書いてあるからです。この本は「交響曲」について書かれていますが、こと交響曲に限ってはその音楽としてのピークは19世紀のロマン派の時代にピークを迎えていて、21世紀の今日には傑出した交響曲には出会えていません。以前、ドイツグラモフォンが「100 GREATSYMPHONIES」というボックスセットを発売しましたが45枚目のショスタコーヴィチが境目ぐらいで、あとは多分1回聴いたら終わりぐらいの作曲家の作品群でした。その交響曲について書いてある本なのでかすったプロコフィエフ以降は内容的にも尻窄みの本です。

 

 また、著者は単行本として出版しているわけではなく、あくまで新書本の一冊としての位置づけですから、その書き手の主義主張に大きく委ねられています。「許光俊」という著者に興味があるなら読むもよし、興味がないならやめた方がいい部類の本ということになります。著者は後書きではっきりと書いています。曰く、

 “小澤征爾を聴いて涙を流すほど感動した人は本書を読んで不快に感じるでしょうがそれはもう別世界を生きているのだと思っていただくしかありません。”

“本書には私がよくないと思う演奏(家)についてははっきりとそう書いてあります。む何かを高く評価するということは、何かを高く評価しないことと表裏一体の関係です。褒めてばかりの人は誠実ではありません。”

 

 とまぁ、こういうスタンスで時代時代の交響曲を捉え、演奏者についてを批評しています。そして、何よりもクラシックの歴史の中で一時代の1950年代から2000年前後までの演奏しか取り上げていません。2025年に出版された本ながら最近の演奏は取り上げていません。つまりは小生たちの世代の人間をターゲットにした本です。しかし、格好だけはパソコンらフォステクスの小型スピーカーに繋いで、はたまたはスマホにイヤホンで聞いているネット配信中心の聴き方をしている読者をターゲットにしているという矛盾した内容になっています。


 一例を挙げれば、著者が「人生で一番音楽に感動した」と語るミュンヘンでの演奏会において、「身体を動かしてリズムを取ろうとしていた」近くの日本女性に対して「激しい軽蔑と憎悪、それどころか殺意まで覚えた(中略)。音楽には人に殺意まで抱かせる力がある」と告白している部分でしょう。なんだ、これ。「殺意」なんて物騒な単語をこんなに安易に使っていいものなの? 本気で殺したいと思ったの? もし嘘偽りなく本心だと言うなら、社会的に見て相当にヤバいでしょ。沸き上がった怒りを誇張気味に表したただけと釈明するなら、その言葉の選び方は不適切極まりないでしょう。ドレスコードを守ってコンサートを聞いているのはなにか自分を特権階級の人間だと思っているかのような書き方です。著者の本職は大学教員ということですが、いずれにしても、完全にアウトでしょう。校正者の品位が疑われます。

 著者はくだんの日本女性を「鈍感で愚かな人間は本当にどうしようもない」と異常なまでに蔑んでいるが、果たしてそのような人がクラシックの会場にいてはいけないのだろうか。誰だって最初は初心者なんだし、そりゃ場違いであったとしても、物見遊山くらいの感覚で訪れる無知無学の人が時にいたっておかしくないでしょう。それが自分が心を揺さぶられた演奏会で、たまたま自分のそばにそういう人(現地の人ではなく日本人だったから一層気に食わなかったのではないかと推察はしますが・・・)が座っていたからといって、「殺意」まで覚えて、それを恥も外聞もなく活字にするのは理解できません。
 

 それにつけても音楽評論家なら、金子建志氏のようにベートーヴェンについてならベーレンライター版楽譜の使用によるテンポの変化、ベートーベンのメトロノーム指示の問題等、近年のピリオド楽器による演奏傾向や解釈の違いを上げて欲しいし、シューマンでも交響曲第4番には現行版と初稿版の二種類の演奏があることにも触れる必要があるでしょう。また、ベルリオーズの幻想交響曲ならコルネットの使用の有無なども触れる必要があるでしょう。本当に意義のある交響曲の名曲名演なら、いせん「レコード芸術」がムックで発売した「究極のオーケストラ長名曲徹底解剖66」と題された本の中で取り上げられていた曲ぐらいの内容であって欲しいものです。

 

 この内容では本のタイトルに完全に負けています。どこが決定版なんでしょう。誇大タイトルと言っても過言ではありません。

カラヤンや小澤、ショルティ、セルなどの指揮が好きな人は、買わない・読まない方がいいと思います。私も後悔した一人でした・・・

(良い点)往年の大指揮者やチェリビダッケあたりの指揮が好きな方は読んでも害はないでしょう。

 

 

 

 

 

妻の誕生祝いの上村牧場とイベント

 

 妻の誕生日と休みが重なったので昼は焼肉に出かけようということになりました。妻は今年65歳になるということで、ようやく年金がもらえます。その手続きのため、午前中は最寄りの年金事務所へ出かけました。このタイミングですと最初の支給日は12月になるそうです。変則で3ヶ月分が支給されるそうです。ただ丸々増えるわけではなく、小生の扶養になっている分が外れるので、小生の年金は減額されるようです。これで我が家も年金家族というわけです。

 

 

 さて、その手続きを終えて、ランチに出かけました、全国各地に様々なグルメのお店を展開するワタミと国内有数の和牛生産者である九州•鹿児島市に置くカミチクホールディングスとの合弁会社となるワタミカミチクが手掛けたお店で、すでに東京や大阪には展開していますが 、検索して引っかかったのは訪れてやってきたのは「城北黒川店」でした。この店は東海地区初進出の形として2021年11月19日にオープンしています。我家からは車で10分も掛かりませんが、ネットで確認しても愛知県にはいまだにこの一店舗しか引っかかりません。まあ、コロナもありましたから出店スピードは鈍っているのかもしれません。まだ全国で12店舗しかありません。

 

4人用テーブル席、最近は焼肉店もレーンで流れてきます

上下2レーンがあり、下は席まで届くとガラスが開きます。

注文は全てタブレットです。

 

調味料はシンプルです。

 

 今回は空いているだろうということで予約なしで入店し、カジュアルコースを選択しました。なにしろ60歳以上は500円引きのメニューです。此で食べ放題です。ランチ時はサラダバーとドリンクバーが無料になります。

 

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サラダバーは入り口横にあり取り放題です

 

ドリンクバーとアイスクリームバー、紅茶は別スペースにホットが用意されています。

 

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サラダバーでまず野菜をチョイス

 

 

コーンはバット―焼きにします。

 

肉は食べれる分だけタッチパネルで都度注文です。

 

焼き網は交換してもらえます。

 

厚切りベーコンは1㎝以上のボリュームで食べ応えがあります。

 

〆の卵クッパ雑炊です。

 

 最後はアイスクリームバーで好きなだけアイスを食べて終了です。

 

 誕生日のイベントはもう一つあって、それはIGアリーナで9月7日に開催される「愛・地球博20周年」記念イベントです。もう、申し込みの締め切りはとっくに終わっていますが、このイベントに当選していました。顔ぶれが豪華なので妻も楽しみにしています。

 

 

 

<開催日時>
2025年9月7日(日)
・開場:12:30
・開演:14:00
※時間については変更になる可能性があります

<開催場所>
IGアリーナ
〒462-0846 愛知県名古屋市北区名城1-4-1

<主催>
一般財団法人地球産業文化研究所

<協力>
愛知万博20周年記念事業実行委員会

<司会>
戸田恵子・西川カーク

<指揮>
渡辺俊幸

<出演>
石井竜也・竹下景子・夏川りみ・松平健・森山良子・緑黄色社会

 

バーンスタイン/ウィーンフィル

ベートーヴェン序曲集

 

曲目/ベートーヴェン

1.「プロメテウスの創造物」序曲 4:58
2.「エグモント」序曲 8:53
3.「コリオラン」序曲 8:54
4.「シュテファン王」序曲 6:50
5.「フィデリオ」序曲 7:12
6.「レオノーレ」序曲第3番 15:03

 

指揮/レナード・バーンスタイン
演奏/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ムジークフェラインザール、ウィーン

 

録音/1981/2-20-23 1

  1978/11/4-7 2

  1978/1/26、2/8   3

  1981/02/20-23 4

  1978/04/4-7 5

  1978/01/26、2/08、20、21   6

P:ハンノ・リンケ

E:ハンス・ウェッバー

 

DGG 2531347

 

 

 調べてみたのですが、どうもこの録音はLPでは発売されたようですが、CDでは発売された痕跡がありません。多分「ハーンスタイン・コレクション1」にしか含まれていないようです。そして、LPでは収録時間の関係があり曲の配列が全く違います。CDはA面B面の制約がないので上記のような配列に変えられています。ちなみにLPでは以下の曲順になっていました。

A面

1.ベートーヴェン:「エグモント」序曲
2.ベートーヴェン:「プロメテウスの創造物」序曲
3.ベートーヴェン:「レオノーレ」序曲第3番
B面

4.ベートーヴェン:「コリオラン」序曲
5.ベートーヴェン:「シュテファン王」序曲
6.ベートーヴェン:「フィデリオ」序曲

 

 ニューヨークフィルとも序曲集は出していますが、これは1960-1970年の期間にまたがっていてまとめて録音したというイメージはないのですが、このウィーンフィルとは1978-81と集中的に録音しています。もともとはベートーヴェンの交響曲全集と並行して収録され、セットの中に含まれていました。時代はまだLPの時代でしたからレコードとしては単独での発売はありましたがCDとしては時期尚早ということで発売されなかったのでしょう。

 

 この全集1連のベートーベンの交響曲とベクトルは一緒です。中年以降のバーンスタインのニューヨーク、フィルとはまた違う度知るとしたアンティ感があります。ベートーベンの交響曲の6番に当たって、ヨーロッパの伝統のオーケストラと録音すると言うのはバーンスタインの夢だったのでしょう。それがウィーン・フィルで叶って1970年代後半からのバーンスタインは一皮向けたような活動を繰り広げました。ここに収録されているベートーベンの序曲は、その全集と並行して録音されていますから、切手は切れない関係なんでしょう。ただ1つだけオペラフィデリオの音楽として録音されたフィデリオ序曲だけはちょっといただけません。何しろ店舗が遅すぎます。音楽が流れると言うよりはちょいと停滞してしまっています。フィデリオ序曲に7分以上の演奏は必要ないでしょう。このブログで取り上げている中でも1番遅い演奏です。その次に遅いと感じたのは来ると、ザンデルリンクがフィルハーモニア登録音した演奏でした。これも6分台の後半の演奏でやや重たいと感じたものです。どちらかと言うとフィデリオ序曲はオペラの重たさを払拭するような演奏でないと生きてこないような気がします。そういうことでこのレコードの中でフィデリオ序曲だけがちょっと違和感を感じました。

 

 

 

 このCDでは、冒頭に「プロメテウスの創造物」が置かれています。もともとはバーンスタインはこの曲はバレエ音楽として付随音楽も録音しています。しかし、全集に収められたのは序曲だけです。まあ、この序曲集はそもそも序曲だけを収めるために制作されていますからそれでいいのでしょうが、「プロメテウスの創造物」の音楽としてはDGの全集の中には収録されていません。以前DVDの音源として発売されただけです。つまり、CD音源としては何か事故があったのでしょう。ちなみに、DVDの音源は不自然に序曲と付随音楽が切り離されています。手元にある音源はドイツプレスですから問題はないようですが、以前国内で発売されたものは音の欠落があつたようです。詳しくはこちらの記事を参照してください。

 

 

 レコードではA面最初に「エグモント序曲」が収録されていました。LPの配列はこのつかみは良いですね。重厚なベートーベンが展開されています。映像で確認すると渾身の力を込めてバーンスタインがウィーンフィルと一期一会の演奏を繰り広げています。

 

 

 音だけでもいいのですが、映像で聴くとその凄さがヒシヒシと伝わってきます。

 

 

 「コリオラン序曲」もバーンスタインには向いている曲でしょう。全集の最後を締めくくるように1981に録音されています。

 

 

 「シュテファン王女曲」もバーンスタインは録音しています。ベートーヴェンとしてはかなり後期の作品ですが、あまり知られていません。こういう作品までウィーンフィルだは拾って録音しています。バーンスタインには強かな考えがあったのでしょう。アメリカではニューヨークフィルとあらかたのレパートリーは録音していましたが、それはアメリカの枠の中だけでした。そして、CBSはオーマンディもセルも同じ枠組みでした。しかし、ニューヨークを離れたことによって契約は自由になります。それを機にフランスものはフランスのオーケストラを使い、ミュージカルはもう一つの本場イギリスで録音し、本流のドイツ・オーストリアものはこのウィーンフィルを使って思う存分録音をしています。CBSの枠の中ではできないことでした。レパートリーによって適宜オーケストラを使い分けています。

 

 

 CDの最後は「レオノーレ序曲第3番で締めています。いい構成です。スケールといい構成といい最後にふさわしい規模です。バーンスタインは1960年代まではセッション録音を中心にレコーディングしていましたが、それでは自身の本当の魅力は伝わっていないという事に気が付き、DGGと契約した1970年代からはライブ収録に切替えました。そして、その多くを映像でも残しています。ニューヨークフィルとの映像は「ヤングピープルズ・コンサート」に多く残されていますが、ほぼまともなコンサートの録音は残されていません。しかし、DGGに実足を映したウィーンフィルとの共演は膨大な量が映像で残されています。今回このレコードの序曲集は演奏とともに映像でも楽しむ事が出来ます。CDの音源はゲネプロも含めたもので、いまいち典が悪いところも散見されますが、映像で飲みされた一期一会の演奏はそれを補って余りある感動的なものとなっています。これらの演奏はCDだけでなく映像で楽しむ方がよりバーンスタインを理解できるでしょう。

 

 


 

 

 

下はレコードです。

 

 

バーンスタイン/ウィーンフィル

ハイドン/V字、オックスフォード

 

曲目/

ハイドン:交響曲 第88番 ト長調 Hob.I: 88 《V字》

1。第1楽章: Adagio - Allegro 9:11

2。第2楽章: Largo 7:15

3.第3楽章: Menuetto (Allegretto) 4:22

4.第4楽章: Finale (Allegro con spirito) 3:17

ハイドン:交響曲 第92番 ト長調 Hob.I: 92 《オックスフォード》*

5.第1楽章: Adagio - Allegro spiritoso 8:01

6.第2楽章: Adagio 7:59

7.第3楽章: Menuet (Allegretto) 6:16

8.第4楽章: Presto 5:42

 

指揮/レナード・バーンスタイン

演奏/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

PS:ハンス・ウエッバー

P:ハンノ・リンケ

E:クラウス・シャイベ

録音/1983/11/23、1984/02/06* ムジーク・フェラインザール

 

DG 413777-2

 

 

 このCDもDGのバーンスタイン・コレクション1に含まれるものです。交響曲第88番はニューヨークフィルとの録音もありますが、92番はウィーンフィルとの録音が唯一のものです。実に流麗な演奏となっています。このセットはLP時代のオリジナルジャケットを採用しています。シャケットはリハーサル時のスナップショットを20分割でデザインしています。バーンスタインのハイドンは以前はニューヨークフィルとの84番、85番を取り上げています。

 

 

 そして、キビキビとしていて、身のこなしがしなやかでもある。
この辺りの性格は、ウィーン・フィルの体質に依るところが大きいのではないでしょうか。なるほど、バーンスタインならではの強靭な音楽づくりが為されています。そして、剛毅で情熱的で躍動感に満ちている。そのような音楽づくりの中に、優美でふくよかな味わいも備わっている演奏となっている。更に言えば、頗る艶やかで、美しい。
と同時に、両曲ともに緩徐楽章では、歌心に満ち、抒情性に溢れた、滋味深い音楽が奏で上げられている。
そんなこんなのうえで、全編を通して、音楽する喜びが滲み出ています。それが、聴く者に音楽を聴く喜びを与えてくれることにも直結していると言えそう。
そのような演奏を通して、ハイドンの音楽が、殊のほかチャーミングに響き渡っています。

ハイドンならではの「素朴さ」は、薄いかもしれません。ある種、ゴージャスな演奏となっている。頗る輝かしくもある。その一方で、愉悦感を湛え、躍動感に満ち、音楽が本来的に持っている「愉しさ」をストレートに伝えてくれる世界が広がっているところは、まさにハイドンの音楽そのものであると言いたくなります。
更に言えば、人懐っこさのようなものや、暖かみが強調されているのは(特に≪オックスフォード≫の最終楽章において)、いかにもハイドンらしくて、誠に好ましい。
いやはや、なんとも素敵な演奏であります。

 

 この時代のバーンスタインの演奏はCDはドイツグラモフォンから発売されていますがね並行してユニテルが映像を残しています。まあ、映像ですから音源の編集はできていないでしょうがしっかりとコンサートの様子が残っています。CDはリハなどの音源も含めて編集されていますからライブとは言っても客席のノイズは入っていません。そこのところが音源としては違うところです。

 

 ただ第88番は第1楽章の序奏の弦楽のアクセントのところからバーンスタインの唸りがすでに何回も聴こえてきます。こういうところは編集できなかったのでしょうなぁ。で、演奏は映像でも確認できますが、編成は小型ながら現代の配置になっていて、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロでヴィオラの後方にコントラバスが配置されています。さすがに70年代といえども伝統的なスタイルで古楽器演奏にないゆとりと安定した表現の面白さを味あわせてくれています。左右の弦楽部の掛け合い、木管の多彩な音色などウィーンの古色的演奏が楽しめます。さらに、このウィーンフィルとの演奏では第1楽章は。定時部をリピートしているので通常は6分程度の演奏が9分以上をかけて演奏しています。

 第2楽章はテンポは極めてゆっくりで起伏は大きくなだらかで、ヴィヴラートやポルタメントもほんのり加わる弦とオーボエの音色にほれぼれします。この88番はいろいろな指揮者が録音を残していて多様な演奏を楽しむことができますが、一番の特徴は新しい試みとして、静かな第2楽章でトランペットとティンパニーが使われていることです。前例はモーツァルトにありますが、新しいテクニックはすぐ取り入れるところはさすが、交響曲の父と言われるだけあるハイドンです。楽器の性能面での制約などがあったので、これは当時として、かなり大胆な斬新な試みだったでしょう。


 第3楽章メヌエットは堂々とした両端にバグパイプ風のトリオが置かれています。このトリオは強弱のメリハリをつけながらもとても優美です。圧巻は終楽章で、軽快なアレグロで今までの堂々とした豊かな音楽と一変させて楽しげに演奏しています。CDの音源ではこの楽しさが従前には感じられませんが、此に映像が加わるとイメージが変わります。その音楽自体を楽しむ様子がこの第4楽章には感じられます。


 

 ところでこのコンサートはビデオでも発売されていてそこではこの第4楽章がアンコールされています。このアンコールがまた楽しく、最初こそ指揮棒を振り下ろしますがすぐにバーンスタインはアイコンタクトだけで指揮をしているのです!!こういうユーモアを持ち合わせているバーンスタインのおちゃめな面はCDでは感じる事が出来ないので貴重です。

 

 

 交響曲92番「オックスフォード」は、バーンスタインとしては初めての録音です。ロンドンセットの中ではニックネームがありながらパスされることが多い作品で、単独で録音する指揮者は多くありません。ただし、小生は好きな曲で古楽の演奏で、ルネ・ヤーコブス/フライブルク・バロック・オーケストラの演奏で聴いてからどハマりになった曲です。今の所これに叶う演奏はないのですが、バーンスタインの/ウィーンフィルのこの演奏はその柔らかい音色で対極にある演奏と言えないこともありません。

 

 つまり、エッジは効いていないし、人懐っこさのようなものや、暖かみが強調されているのは(、いかにもハイドンらしくて、誠に好ましい。ここでも、ゆったりしたテンポで入りますが、少し流れがギクシャクするような雰囲気もあります。オケも前曲よりすこし粗い感じ。ただ、前曲よりもドイツの伝統に近い演奏に聴こえるのが不思議なところ。濃いめの演出ではなく少し遅めのテンポでゴツゴツと進めるようにも聴こえます。前曲の過度なこってり感を抑えようとする意図が働いたのでしょうか。バーンスタインの演奏には違いありませんが、遅いテンポに乗っかってちょっと一昔前の巨匠風の趣も感じられます。


 第2楽章のアダージョもなかなか情感の深い演奏ではありますが、あまりこってりはしていません。ヤーコブスの演奏を効いた後ではちょっと物足りなさを感じてしまいます。バースタインならもう少し情感を込めて演奏できたのかなぁと思ってしまいます。続く第3楽章のメヌエットもやや粗いオケによるざっくりとした演奏に終始しています。テンポはゆったり、フレージングはざっくりでキレがありません。結構面白い楽章なのですがテンポが遅すぎて音楽に乗り切れていないもどかしさを感じます。バグパイプのような響きをもつトリオが面白く描かれているのですが、テンポが間伸びしているのでやや退屈に響いてしまいます。ここはアレグレットなのですからちょいと厳しいテンポです。


 フィナーレはやはりバーンスタイン特有の愉悦感が溢れるフレージングと素晴らしいエネルギー感和感じることができます。テンポはほとんど揺らさずほぼ突進するようなエネルギーを感じます。オケはほとんどノーコントロールともいえるような荒々しさですが、しかしそこはウィーンフィルゆえそれでも極上の響きがします。先曲の「V字」に匹敵する魅力に溢れた演奏となっています。終わりよければ全て良しのライヴ感溢れる素晴らしい演奏です。欠点は3楽章だけでしょうかねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

バーンスタイン

ラプソディ・イン・ブルーVSウエスト・サイド・ストーリー

 

 

曲目/

ガーシュイン

1.ラプソディー・イン・ブルー 17:27
2.前奏曲第2番 4:22
バーンスタイン:「ウエストサイドストーリー」交響組曲

3.プロローグ 4:06

4.サムウェア 4:35

5.スケルツォ 1:20

6.マンボ 2:21

7.チャチャ 0:56

8.出会いの場面 0:47

9.クール~フーガ 3:44

10.決闘 1:56

11.フィナーレ 3:15

指揮、ピアノ/レナード・バーンスタイン

演奏/ロス・アンジェルス・フィルハーモニー管弦楽団

 

録音:1982/7/22-24 デイヴィス・シンフォニーホール、サンフランシスコ

EP:ハンノ・リンケ

P:ハンス・ウェッバー

E:カール・アウグスト・ネーグラー

 

DG   2532082-2

 

 

 手元にあるのは「レナード・バーンスタイン・コレクションVol.1」に含まれる一枚です。このジャケットのデザインはおりじなるとおなじものがしようされていて、CD番号もそのままのものが使われています。しかし、CD本体のデザインは全く違います。

 

 

 

 

 同じアメリカ人というのもあるのでしょうが、レナード・バーンスタインのようにガーシュウィンを解釈できる人はほとんどいません。 彼の演奏はアンドレ・プレヴィンと同じように素晴らしいですし、ロスフィルから非常にジャジーなパフォーマンスを引き出しています。 やはり、同じ作曲家という血がそうさせるのでしょうか。「ラプソディ」の美しいバイオリンソロは、1979年からコンマスのシドニー・ワイスによって演奏されています。この録音はサンフランシスコのデイビス・ホールで行われ、バーンスタインはこれらの作品をライブ収録しています。セッションは二―ヨークフィルと残していますから同じようなものは残したくなかったんでしょうなぁ。この時は、バーバーの「弦のためのアダージョ」とコープランドの「アパラチアンの春」と一緒に.別のドイツ・グラモフォンのアルバムで発売されています。

 

 

 

 この録音は時代的にLPレコードでも発売されています。アルバム番号はそのレコード発売のもので、CDその末尾に-2という数字が付け加えられています。

 

 バーンスタインの「ラプソディ・イン・ブルー」は、ニューヨーク・フィルとのものが有名で、たしかに面白い。LAフィルとの演奏は、細かな表現が随所で確認できるし、テンポも少しゆっくりしているけれど、哀愁を描くにはこれくらいの方がちょうどいいでしょう。余裕も感じられてさすがにバーンスタインという感じがします。「ラプソディ・イン・ブルー」に続く前にバーンスタインがソロでピアノ演奏した演奏したアンコールの「ピアノソロのための第二の前奏曲第2番」は、普段あまり演奏されることが無いので貴重です。短いピアノの作品ですが、オーケストラを使わずに自らピアノ・ソロで曲を弾くなんてことは珍しいのではないでしょうか。肩のちからの抜けぐあいが絶妙です。
 

 

 

 

  自作の「ウェスト・サイド・ストーリーからのシンフォニック・ダンス」はLAフィルの乾いた響きが最高!編曲も手がこんでいるし、「マンボ!」のかけ声もぴったり。ライブの醍醐味でしょう。やっぱり、バーンスタインじゃないと盛り上がらない。でしょ!晩年はライブにこだわったバーンスタインの音楽の他の質を伝えるアプローチはセッションでは感じることのできない音楽の楽しさにあふれています。