“ 速歩”により寛解した外傷性顔面神経麻痺の一例 | gcc01474のブログ

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“ 速歩”により寛解した外傷性顔面神経麻痺の一例
          
    
{要旨}               
 顔面神経麻痺はベル麻痺であれば放置していても自然寛解する率は高い。しかし外傷性顔面神経麻痺の場合は星状神経節ブロックを繰り返しても寛解へ導くことは困難なことがしばしば存在する。
 今回、筆者は星状神経節ブロックが無効であった聴神経腫瘍術後顔面神経麻痺の患者に対しπ-water 生理食塩水頭皮直注療法を施行。しかしこれも5日ほどの効果しか得られず、“速歩”により寛解した症例を経験したのでここに報告する。

{key words}facial palsy、stellate ganglion block、meridian、π-water injection, walking,

【始めに】
 顔面神経麻痺には特発性と外傷性があり、特発性は放置しておいても自然緩解してゆくことが多いが、外傷性の顔面神経麻痺は非常に難治であり、星状神経節ブロックを繰り返しても寛解へ導くことは困難を極める。始めは耳針を使い、耳の対応点へ皮内鍼をするという方法を取っていた。長さ3mm の皮内鍼を麻痺の存在する側の耳に裏表70本使ったこともあった。皮内鍼は3日程そのままにして置く。しかし皮内鍼の効果は強くなく、麻痺の寛快の見込みはなかった。

【症例】
 患者は51歳、女性。この患者は聴神経腫瘍の術後であり、筆者が初診したときはその手術から1年8カ月が経過していた。筆者は最初は耳の反射療法に従い耳朶に皮内鍼を多数打ち(1回平均20本前後)3日間ほどの軽度の軽快を認めていたが4日目には再発を繰り返していた。耳朶に皮内鍼を打つこと7カ月、状態は一進一退を繰り返し改善の傾向を見せないため、耳朶への皮内鍼を中止し、星状神経節ブロックを開始。開始後、2回目に何故か劇的に奏功し、2年余り味わったことのない顔面麻痺の寛解状態を経験したがそれは3日半しか続かなかった。3回目以降、21回に及ぶまで星状神経節ブロックのみを行う。しかし効果はやはり3日ほどしかなかった。
 22回目より星状神経節ブロックにπ-water 生理食塩水頭皮直注療法(1回の直注の量は約60ml)を併用を始め、その併用療法が20回に渡った。その間、星状神経節ブロックが効いているのかπ-water 生理食塩水頭皮直注療法が効いているのか、6日間の寛快状態が得られるという状態が続いていた。そのとき同時に星状神経節ブロックの方法を第6頚椎を指標としたものから第7頚椎を指標としたものに変更したため、どちらが効いているのか鑑別が付かなかった。
 星状神経節ブロックをいったん中止しπ-water 生理食塩水頭皮直注療法のみに変更したところ同じく6日間の寛快状態が得られた。このことから星状神経節ブロックが奏功していたのではなくπ-water 生理食塩水頭皮直注療法が奏功していたものと判断し、そののちはπ-water 生理食塩水頭皮直注療法のみを続けた。6日間の寛快状態が得られるようになったため注射の施行は週に1回に変更した。
 π-water 生理食塩水頭皮直注療法のみに変更して32回、患者は一日1時間ほど近所の人と夕刻に
“速歩”(近所の人が健康のために行っていた)を開始。“速歩”を開始した日から顔面神経��モヘほぼ寛快状態となる。時折、“速歩”を中断したとき、顔面神経麻痺が再発するが、“速歩”を行うと再び寛快状態となる。

【考察】
 頭皮直注療法は比較的に痛みの少ない方法であるが、患者が頭部に注射されることに恐怖感を抱くという欠点がある。毎回 50~60ml ほどの直注を行った。最初の頃はこれに麻酔薬を混注することも行っていたが、すると痛みは軽くなるが効果も弱くなることに気付き、途中からはπ-water 生理食塩水のみで行った。12ccの注射器で4~5回の直注であった。12ccを1カ所にそのまま直注する方法と6ccずつに分けて行う方法の通りの方法を用いたが痛みはどちらもほとんど差はないといった感じであった。液体を12cc注入する場合、後半の6ccのときかなり痛みを感じるが、注射針を頭皮に挿入するときもかなりの痛みを生じるため、どちらが患者に苦痛を与えないかは差はないようであった。

 頭部を通る経絡として膀胱経、胆経、督脈などがあるが正中線を走る督脈は用いなかった。膀胱経、胆経を主として用いた。右顔面神経麻痺であるため右頭部に集中的に注射した。生理食塩水を注入する部位は顔面に現れないように髪生え際に隠れるよう注意して注射した。
 この患者は右聴神経腫瘍であったため、右後頭部への注射は極力避けた。そのためもあり枕を用いると注射しにくくあったため枕は用いずに注射した。原因不明の重度の貧血があり、1年前、右後耳介下を切開し排膿手術を行ったこともあり(右聴神経腫瘍摘出手術後、1年後に当たる。)、今でも恐らく手術部位からの出血が起こっているものと思われた。現在も少量ながら鉄剤の服薬を行っている。鉄剤の服薬を行わないと貧血が起こり血圧の低下と疲労感・倦怠感などが起こる。
 π-water 生理食塩水というものを用いたが、π-water とは名古屋大学の山下助手が発明した14)もので、その中では海水魚と淡水魚が一緒に生活できるということで有名である。またその液体を飲用すると難病も治ると言われている。(π-water の原液を1000分の1に薄めて用いる。千倍に薄めないと調和反応が起こりにくく効果がないと言われている。)
 π-water の効果が有ったのか、それともπ-water の効果は無かったのか、それは比較試験を行っていないため不明である。

【終わりに】
 “速歩”は最近ジョギングとともに健康に良いとして広く行われている。“速歩”が顔面神経麻痺に効果があることは(この患者の右側の経絡の流れは悪く、左側の経絡の流れは悪くなかった。----右足および右手は浮腫がちであり、左足および左手は浮腫がちになることはなかった。この患者は右側の顔面神経麻痺であり、また右聴神経腫瘍摘出手術後であった。)よって右脳または左脳の運動領域の活性化では説明不可能であり、経絡の概念でしか説明不可能である。

 
(fast walking for facial palsy)

【参考文献】
1)本間祥白;  難経の研究; p675, 1983, 医道の日本社
2)芹沢勝助;  人体ツボの研究; p254, 1986, ごま書房
3)李 丁;   針灸経穴辞典; p514, 1986, 東洋学術出版社
4)郭 金凱;  鍼灸奇穴辞典; p432, 1987, 風林書房
5)深沢 要;  レーザー鍼と光灸療法; p548, 1994, 谷口書店
6)柳泰佑; てのひらツボ療法; p187, 1986, 地湧社
7)小高修司; 中国医学の秘密;    p209, 1991, 講談社 
8)神川喜代男;  鍼とツボの科学; p192, 1993, 講談社
9)神川喜代男; レーザー医学の驚異; p184, 1992, 講談社
10)幡井勉;  アーユルヴェーダ健康法; p184, 1994, ごま書房
11)首藤傳明;  経絡治療のすすめ;   p259, 1983, 医道の日本社
12)張仁;     難病の鍼灸治療;   p206, 1996, 緑書房
13)入江正;    経別・経筋・奇経療法;  p273, 1988, 医道の日本社
14)山下昭治;  生命科学の原点と未来;   p163, 1986, 緑書房



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