普段から愛読しているブログの中に「Chikirinの日記」というのがあります。「おちゃらけ社会派」を標榜しておられる筆者は、公的に素性は明かしておられませんが、かなりのキャリアの持ち主のようです。女性なんですがそのキャリアにより培われた思考・分析で、様々な世の出来事を独特の視点で読者に解説しておられます。
しかも素人にも分かりやすく。
おんな池上か?
しかも匿名ブログなので、その出来事(例えば社会問題)の解決方向もズバッと結論付けています。実に小気味がいい。
そんな著者の思考法の基本が紹介されているこの本。

 


人によっては若干挑発的(?)と捉えるかも、なタイトルですが、筆者は「新卒で社会に出たころの自分に役立つような」と書いているくらいなので、入門書という位置付けです。しかし序章の「知っている」と「考える」はまったく別モノ、を読むと、性別年代にかかわらず多くの人が無意識に陥る盲点的な誤謬に早速気付かされます。

梅之助としての感想は、「思考のトレーニング」の為のハウツー本としてとても優れていると思います。もちろんちきりんさんのブログを読むとその主張と、梅之助の見解が異なるテーマも結構あったりするのですが、彼女の思考法は大変勉強になりました。この本を読んで「なるほど!」と思った人は定期的に読み返すといいです。なにせ、トレーニング本ですから。
実は、amazonのレビューには手厳しい意見も散見されます。そこで、特に☆2つ以下のレビューアーに対して梅之助が概ね感じた事を。

え?そんな学術論文みたいに厳しい基準で見なければならない本か?
批評どころもピントはずれ結構なくない?
例えば、この本はあくまでも思考法の展開を分かりやすく紹介することに主眼が置かれているのに、その是非には大して触れず、便宜上持ち出した例題に対して重箱の隅をつつくような批判があったり、思考の哲学的定義にはまって無限ループ論に陥っている意味のない批判があったり、著者が「入門書だ」と言っているにもかかわらず、現実の企業コンサルタントレベルの話を持ちだして物足りないとする批判があったりと。
なんだか・・・匿名のブロガー(重ねて強調します。中の人はかなりの人物のようです)が注目を浴びて本まで出した事に、ぶっちゃけ嫉妬の感情が先だって本の意図するところが見えていない印象です。プライドが高く思考レベルも高い人がこの本を読むと、ちょっと「イラっ」と来てしまうの、ちょっぴり分かるような気もしますが・・・・・

ちきりんさんがもしこの本を実名、経歴を公表して、文体もそれに見合ったニュアンスで出版したら、もうちょっと評価の分布が変わってきたと思います。
だって彼女は○○○○○○を「卒業」した人ですよ。

 

自分のアタマで考えよう/ちきりん
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