~徒然趣向~-メランコリック現代

『メランコリック現代/NORIKIYO』

01. 自問自答
02. EZ BIZ~職人急募~
03. 支払は満額で feat. BRON-K, OJIBAH
04. 雑談です~SKIT~
05. 残念です~相模、横浜、川崎編~ feat. 林鷹, STICKY
06. 何故 feat. MAD KOH
07. 渋谷にて~SKIT~
08. 待ちぼうけ feat. PUMPEE
09. ギリGET IT feat. 4WD
10. ON THE EARTH feat. KYN, WAX, H.Teflon
11. 前夜祭
12. プレゼン
13. 散歩
14. マッチを擦って
15. 秘密 feat. H.Teflon
16. エゴ


昨日今日は書く気満々です。どうせすぐに更新がストップすると思ってるやろ。
・・・その通りだ。

さて、『メランコリック現代』。
一時期は、毎週くらい新譜チェックしてたのに、最近ではCD屋に行った時に出てるCDをチェックして、後追いスタイルになってしまっています。今作もそんな出会いから。

いやぁ、良い出会いでした。

NORIKIYOを知った当初の印象は、SEEDAが作った「ストリートに根ざしたHIPHOP」の流れを踏襲したラッパーというイメージで、正直、最初は敬遠している部分がありました。
ただ、前作『OUTLET BLUES』を聴いて、そのイメージがぶっ飛んだというか、何ならNORIKIYOに申し訳なくなってしまったくらいです。

彼の世の中の捉え方というか、どうしようもない現実を眼前にしながらも、「何とか生きていくんだよ」といったような姿勢が現れたリリックが好きで。「強く生きていこう」ではなく、「何とか生きていくんだ」という姿勢。一種の強制を伴う歌詞表現は、時に聞き手にわずらわしさを感じさせてしまうものだと思いますが、「俺はこうするけど、お前はどう?」くらいの表現は、様々な理屈を抜きにして聞きやすい。個人的な感覚ですけどね。

前作『OUTLET BLUES』から約3年。HIPHOPアーティストにしては、インターバルが長く空いた方でしょうか。その間も、ある意味HIPHOPやREGGAEの強みですが、多くの客演で露出はしていた彼。昨年は、『STAY STRONG』でもその存在感を充分に発揮し、一大ムーブメントを起こしたことが記憶に新しいです。

今作も、今までの人脈、盟友SD JUNKSTAの援護射撃を受け、完成度の高いアルバムに仕上がっています。
トラックメイキングにおいては、BACH LOGIC、SKY BEATZ、PUNPEE、OHLD、そしてI-DeAなどが脇を固めています。それにしてもI-DeAのクレジットを久々に見た気がしますね。
客演に関してはSD JUNKSTAの面々が目立ちますが、『何故』に参加したMAD KOHが印象的です。彼に関しては全く無知なのですが、REGGAEサイドの方でしょうか。

客演に関しては、『支払は満額で』がインパクト大です。
ずっと待ち続けているにも関わらず、新譜が出る気配のないBRON-Kの声が聴けただけでも満足です。彼がHOOKを担当すると、本当に間違いがない。ラップというよりは歌に近いスタイルであの渋い声。彼の代わりになる人材はいないでしょう。
ただ、同じくSD JUNKSTAのOJIBAHも非常にタイとなラップを披露していて、三者三様、聞き飽きることのない楽曲に仕上がっています。
下にPV貼っておきます。あくまで「Not based on a true story」です。

また、『残念です』では大型店舗のみで限定販売されたシングルに収録されたものとは別のバージョンを収録、林鷹とSTICKYを迎え、アングラな仕上がりに。

自分達の置かれた状況、社会にクエスチョンマークを投げかける『ON THE EARTH』や、「もし自分に~が出来たら」というスタンスで理想を語る『プレゼン』、恐らく身近な方が亡くなったであろう経験を元に命を見つめなおす『マッチを擦って』など、秀逸な曲が揃っています。

先述しましたが、以前持っていた「ギャングスタラッパー」というイメージが申し訳なくなるほど、多岐にわたるトピックスで、時にシリアスに、時にコミカルに世の中を描いてみせる彼のスタイルは、純粋に音楽としての魅力に溢れています。
どうしてもストリート感が出てしまう曲もありますが、それもこれも含めて彼の人生を土台にした言葉であるが故に、重みを持って伝わるのは事実です。

そのような、聞き手の経験していないトピックに関する曲だって、武器になるのはNORIKIYOの世の中の捉え方。頭の固いオジサン達には「斜に構えやがって」なんて苦笑の対象にしかならないかも知れませんが、悪いことではありませんからね。


「ありのままをありのままに」というHIPHOPの在り方には忠実だと思うんです。

むしろ、誰とは言いませんが、理想論ばかりを並べて、無責任な応援を押し付けられるような楽曲よりはよっぽど現実味がありますし、聞き手側の取捨選択の範囲も広がるのではないでしょうか。


「いびつでもいい 本当のことも秘密でもいい」(『秘密 feat. H.Teflon』より)



『STAY STRONG/BOMBRUSH feat. NORIKIYO, SHINGO★西成, DAG FORCE』



『支払は満額で feat. BRON-K, OJIBAH』(Music Video)