『ロマンのテーマ/Romancrew』
01. Intro
02. R.o.Slang
03. 2.5
04. ラップダンス
05. 最も危険なスキット
06. ロマンクルーのテーマ
07. 絶滅危惧種
08. 45395
09. CHANGE !
10. 御冗談
11. スポットライト
12. TALK
2011年3月9日発売。3年振りの3rdアルバム。
前作『Fly High』は実際の発売からはかなり遅れて聴いていたので、3年は待っていませんが、それでも長かった。メンバー個人(特にエムラスタ)は関西のイベントでも目にする機会が多かったけど、他のメンバーについては全くで・・・
非常に露出がすくないグループだと思います。
僕は、ライムスターがリリースした『Heat Island』に収録されていた『紳士同盟』で彼らを知ったのですが、メンバーごとに全くキャラ立ちの異なるラップスタイルにどっぷりとハマッた記憶があります。
さて今作。一言で言うならば、圧倒的な完成度の高さ。
別に比較する訳じゃないけど、先日リリースのライムスターのアルバム『POP LIFE』が個人的にパッとしなかっただけに、ヘビーリスニングできる作品のリリースとしてとてもありがたいです。
彼らの音楽性は、個人的に言えば、「大衆にアピールできる取っつきやすさと、コアなファンも納得させる黒さの両面性」ではないでしょうか。
それは、トラック・プロデュースの大半を手がけるALI-KICKの手腕によるところも大きいかも知れませんが、MC陣の個々の特徴も貢献しています。
ALI-KICKの手がけるトラックの幅広さには正直驚かされました。前作『Fly High』では、どちらかと言えば、ジャジーな、そしてメロウよりな、BGM効果が大きいトラックが多かったように思いますが、今回は、「ラップダンス」や「ロマンクルーのテーマ」に代表されるような、少し激しめのトラックも散りばめられています。(安易な表現で申し訳ない)
またラップに関しても、各々の個性が発揮されているというか、ALI-KICKは相変わらず安定感あるラップを披露していますし、将絢の声は渋い。彼ほどキザなセリフが似合うラッパーが他に浮かびません。そして、エムラスタのファンキーすぎるラップも存分に堪能できます。彼のラップは、「ロマンクルーのテーマ」のような楽曲の上だと本当に良く映えて、相乗効果をもたらしています。
ただ、前作までに見え隠れしていたジャジーな雰囲気も忘れられてはおらず、メリハリがついていて、長時間聴いていても飽きることがありません。
また、彼らの魅力の側面として挙げたいのが、「大衆にアピールできる門の広さを持っていながら、POPに振り切っていない点」です。
それが顕著なのが、まさに「TALK」。
反戦、平和を願うことがテーマになっている曲で、不謹慎な言い方ではありますが、過去にも散々取り上げられてきたテーマです。
「We need to talk」と連呼するだけのサビをはさんで、それぞれが長めのバースを披露する本曲ですが、大多数の人が受け入れやすいテーマでありながら、HIPHOPとしてのスタンスが守られているというか・・・
ここまで来るともはや個人的な感覚の問題でしかないのかも知れませんが、「御冗談」で「If you hate my music, fuck you」なんて言ってしまうところも何かカッコいい。
長々と書きましたが、彼らの魅力はメンバーそれぞれの個性的なラップスタイルと、ブラックミュージックに根ざしたサウンド・プロデュース、この一言に尽きると思います。