どの季節が好きか・・

今まで幾たび聞かれたけれど

どの季節が好きだったか・・・
と天国で息子のヨシが
聞かれたら

やはり迷わず
夏!と笑っている事でしょう。

そのヨシも
夏の大雨と一緒にやってくる
雷の音だけは
小さい頃から苦手のようでした。

まだ幼稚園児だった姉から、

あ!ゴロゴロなった!
おへそガブーっと
とられるで!

と怖がらされて、
大泣きしていた弟のヨシ。

ガブーっと・・・て。
そんなケモノじみた雷様は
大人でも怖いんじゃないかな。

♢

街を歩いていて
傘の上でゴロゴロ鳴り始めると

心のどこかに
雷撃で消え去るのもよしとする
自分の気持ちの闇に
気付いたりして。

・・・でも本当にそれでいいのかな。

ヨシが愛したこの夏を
そんなにあっさり捨て去るなんて
できるわけなど無しと苦笑い。

かき氷を食べた後で
皆で見せあう緑や黄色の舌

木陰で寝そべると
アンダースローのように
吹いてくる涼しい風

プールサイドに並べた
新しいビーチサンダルの
気持ち良い躍動感

ヨシが愛した
この世界の何気ない
日常の一つ一つは
・・・たとえ病気や悲しみに
まみれていても・・・
やはりどれも素晴らしい。

もし
空の故人と再開できる
仕組みがあるとするならば
きっと
時々会いにきて傍にいてくれる
仕組みも一対になっているはず。

真夏の夜のサンダーボルト

今でもヨシは
もぉ〜こわいなぁと
少し震えながら

見守ってくれている

のかもしれません。