5月9日の朝6時と夕刻6時(18時)のNHKニュースを所用でかけていた遠い町で、たまたま両方とも見ることになりました(通常の生活ではまずないことですが)。


まず、違和感があったのは、朝のトップニュースの新型インフルエンザの日本上陸の報道です。


米国在住の男児の情報を伝えていた開始直後の6:02に速報が流れ、あたかも災害時のようにアナウンサーが同一文の原稿を「大いなる緊迫感をこめて」熱演する状況に切り替わったというのに、その速報からほぼ10分以内には、もう記者が大阪市教育委員会に取材に駆けつけていました。

これは周到な徹夜取材だったのでしょうか。


後で聞いた話では、すでに5時台後半に判明してもいたようですが、だったらなぜ原稿を差し替えることなく、6:02に「速報」をわざわざ登場させたのか、理解できません。

となるとまさか単なる報道体制のお粗末さでしょうか?

18時でもトップニュースだった「超重大事件」扱いのこの内容の基調からも、病気そのものではなく、過度な「ドキュメンタリータッチの伝達スタイル」に、むしろ恐怖を覚えます。


昨年1月に書いたこちらのShock Doctrineのことは、わたしもやはり思い出さずにいられません。


 2008-01-06
 『80~05年国内貯蓄のマクロ推移とナオミ・クラインさんShock Doctrineインタビュー』
 http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10064226769.html


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また、あえて言えば、(重篤性も季節性のそれと変わらない)「新型」インフルエンザに比べて日本でいっそう危機的なのは、その直後に流された柏崎刈羽原発運転再開という「事件」ではないでしょうか。


 毎日 2009/5/10

 柏崎刈羽原発:運転再開 中越沖地震から1年10カ月ぶり
 http://mainichi.jp/select/jiken/20070716/news/20090510k0000m040021000c.html


NHKニュースは、核分裂が臨界に達したことを、まるで何かを飛翔させることに成功したどこかの国のように、「頼もしいわが国家を象徴する出来事」のごとく伝えている印象を強く受けました。


しかし、4枚のプレートに存在する地震の巣である日本列島で、実際、建屋上部での2000ガルを超える揺れがあった原発での火災、水蒸気噴出、廃棄物のドラム缶の倒れた有様、放射能漏れ、配管断裂、設備の塑性変形、そして超軟弱な地盤、保守段階での原因不明の火災頻発、これらの影響を超楽観しして臨界に持ち込み、一種の「ストレステスト」を行うのですから、広範囲の、場合によっては半径数百キロのすべての在住者に向けて、新型インフルエンザ以上の「危機への備え」以上の警戒を促すべきではないでしょうか。

まったく冗談でも何でもなく。


細かい点をまた繰り返しますが、たとえば塑性変形の結果、「より強くなった」という言い分など、「ゼロリスク」批判をする方にとっても、明らかな妄言・迷信の類なはずです。


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NHK18時のニュースへの驚きはその次の項目にもあります。


「民主党の鳩山幹事長が、きょう、小沢代表は西松問題の説明責任を果たすべきだと語りました」といった原稿(大意)が、これもまた極めてものものしく読み上げられましたが、実際の鳩山氏の肉声部分が流れたところ、


 「説明責任を果たしていると国民が感じるられるようにしたい」


として、さらにその上で


 「小沢代表のもとで政権交代」


と明言していますから、これまでの説明が不足していたかのような原稿はきわめて不当です。


鳩山幹事長は、小沢代表の説明内容に「説明責任」(定義が不明で、まさに和訳一人歩きの便利な言葉です)としての要件が足りない、それを追加すべきだ、などとは言っておらず、偽装報道も甚だしいものです!


政治資金規正法では、西松からの献金だと認識していたか否かは犯罪の構成要件とならないこと、また、会計責任者虚偽記載は「選任過失および監督過失」が問題になるので、双方の過失がなければ成立しないこと(今回、大久保秘書はまっとうな方で、つまりはダミー団体でも何でもなかったのに、監督責任だけで小沢氏は失職、などと張り切って喧伝した産経!)もろもろについて(※)、4月末のの阿佐ヶ谷LOFT Aでの保坂展人さんと弁護士の郷原信郎さんの対談イベントで拝聴してきました。


どちらかと言えば、政治資金に対する立ち位置では従来の小沢氏と反目する考えの郷原さんが鳴らした警鐘は、民主主義国家として検察の逸脱の大きさ、それに対して超党派で政治全体への脅威に抗議するという当然の動きがないこと、メディアが無批判にたなびく様子でしたが、その後もメディアの劣化ぶりは進行するばかりです。

罪刑法定主義を無視する執拗で異常な検察の暴走、小沢氏秘書問題という行きがかり上のテーマに使われる法外で無駄なエネルギー(あの矛盾だらけの裁判員制度の開始間近、ということなど念頭にないかのような)、加えて付和雷同のメディア報道といった問題点の連鎖を聞いていた後だったので、今回のプロパガンダ放送に対しての恐怖は、新型インフルエンザに対するものなどはるかに上回る、鳥肌が立つものです。

こちらも、まったく誇張でも何でもなく。


(※)

videonews.comの3月27日番組でも説明があります。

テキストも含めたリンクはこちら↓です。

http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20090327-02-0901.html


日経にすら、NHKに比較すれば「ある程度まともな」(ただし、見出しはやはり「軽く」「でも確実に」捻じ曲がっていますが)記事が掲載されています。


日経 2009/5/9

献金、説明責任果たせば「小沢氏で政権交代」 民主・鳩山氏

http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20090509AT3S0900R09052009.html

 民主党の鳩山由紀夫幹事長は9日、岩手県八幡平市内で記者会見し、西松建設の巨額献金事件に絡む小沢一郎代表の進退問題について「党首討論やタウンミーティングなど有権者と意見交換する場を多くつくり説明責任を果たしていると国民が感じることで、小沢氏の下で十分に政権交代をなしうる体制をつくることができる」と述べた。


 この後、鳩山氏は青森県南部町の集会で「小沢氏が官僚任せの政治を1番知り尽くしている男だけに、1番貴重な人材だ」とも指摘。そのうえで「だからこそ慎重にこの問題の答えを出していかなければならない」と語った。(09日 21:53)

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さらに18時では、これらの次の知らせが、忌野清志郎さんの葬儀(ロックンロールショー)の模様を伝えるものでした。


一連のひどく捏造されたニュースにつながる「末席」に置かれたことを、権力が不正や欺瞞で人をさいなむことは決して許さなかった清志郎さんなら、どう考え、どう歌で表現しただろう、と考えないわけにはいきません。


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英文解説へのリンク↓です。


Like a rolling bean-Tsukiji_SOS_logo4_small

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UNPLUG KASHIWAZAKI-KARIWA
7号炉の試運転がいわば強行的に再開されました。

柏崎刈羽原発は廃炉となるべきです。

火災が頻発する異常事態、情報隠しもなんら変わっていません。

くず湯の上に建つ、塑性変形した原発の再稼動は許されるものではありません。


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3月4日、イスラエル軍による戦闘員の狙撃が再開されています!

日本国際ボランティアセンターのガザに関する最新情報です(支援情報あり)

http://www.ngo-jvc.net/jp/projects/palestine/200812gaza.html


ガザからの叫び、以下に日本語で新しい情報が追加されます。

http://www.news-pj.net/npj/gaza/index.html
先の虐殺で失われた1300人以上の生命と失われた生活はガザに戻ってきません。

戦闘の犠牲と封鎖は続いています。

この問題は初めから「どっちもどっち」では決してありません。


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いくらからでもOKだそうです。政官財の非情がこれ以上漫然と繰り返されないためにも、もやいを支援しながら、積極的に反貧困を訴え続ける必要があります。

http://www.moyai.net/modules/weblog/details.php?blog_id=384

(もやいの危機について解説したエントリー: http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10147525072.html

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「壊すな築地 7.12東京大行進」 

→2008年7月、好天のうちに今回終了です。ありがとうございます。

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