学習指導要領がパブリックコメントで提示された案から、きわめて不透明なプロセスで、なんと総則を含め181ヶ所も変えられて発表(※1)されてから、早くも1ヶ月経ち、さらに1~4年後からの運用に先駆けて「理数教育を中心に」前倒しするという大臣談話(※2)が掲載されていました。


ちなみに、先日送付した学習指導要領案へのパブコメへの見解はこちらに挙げられています。


「結果公示案件詳細」

案件番号

185000297

結果公示案件名

学校教育法施行規則の一部を改正する省令案並びに幼稚園教育要領案、小学校学習指導要領案及び中学校学習指導要領案等に対する意見公募手続(パブリック・コメント)の結果について

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?ANKEN_TYPE=3&CLASSNAME=Pcm1090&KID=185000297&OBJCD=100185&GROUP =

からの結果概要 (PDF)


これを拝読する限り、かなりの危機感をもって送付した部分についても、ものの見事に意図を矮小化され、まあ一介のどんなご身分か分かりゃしない市民のあんたなんかの発言よりも有識者の方々の重要なご見識がある、とでも言いた気に反論されていたので、大いに驚かされました。


こちらの表現力は戦後教育のおかげですっかり劣化しているのか、先方様に読解力がないのかそれとも理解したくないのでしょうか。

そのわりには、国旗国歌推進に関する意見はちゃんと読み取れているようだから、ということは、そうした意見を提出される方々の頭脳はいたって明晰で表現もきわめて豊かで理解しやすい愛国者として規範的なもので、読み取る同じく知的な方々のハートをキャッチして、「そうそう、たとえば国歌は歌えるようにと書きましたよ」と呼応したのでしょうか。


・・・などとわき道にそれて雑感や夢想にひたっている場合ではありません。


その、「新」学習指導要領の前倒し移行(理数系強化のはずだったもの)に対しての、4/25付けのパブリックコメント募集提示案では、なぜか、総則・道徳教育や社会科を対象とする措置がやたらと目立ちます。


これはつまり、(文科省表記)平成21年~24年までは待ちきれないから、最初は理数系の話をしておきながら、結果を開けてみれば、総則や道徳教育、社会化での改変もいち早く受け入れろということですか?


不透明な審議→不透明な審議案の提出→不透明な募集意見の適用→不透明すぎる改訂→もっとも不透明な前倒し実施


年度初めだし、政治社会で多様な波乱があるうちに目立たないうちに進めておこうというのか、あるいはシンプルに「文科省のノルマ達成」なのか、いずれにせよ教育制度に向かい合っている方々としての倫理観を疑います。


まさか、政省令なんだから、パブコメの意見を握りつぶしてブルドーザーで教育現場を平定することなど朝飯前だとでも考えているのはないでしょうね??


もし、そこまでの悪意や軽視がないのなら、露骨な(と見なされる)進め方は真に控えるべきと考えます。


(※1)

2008-3-10

学習指導要領案での懸念点と疑問抜粋(聖徳太子が?)・道徳教育推進教師について

2008-3-28

学習指導要領に急遽愛国心育成追記・根津先生の椅子を引っ張り転ばせる都教委


(※2)

大臣談話: 文部科学省(強調と突っ込み注記は引用者によります)

新しい幼稚園教育要領、小学校学習指導要領及び中学校学習指導要領の公示について〔文部科学大臣談話〕


 本日3月28日、新しい幼稚園教育要領、小学校学習指導要領及び中学校学習指導要領を公示するとともに、学校教育法施行規則の一部改正省令を公布した(管理人注: 改悪教育基本法が前文として掲載されている異例のスタイルです)
 新学習指導要領等は、約3年に及ぶ審議を経てまとめられた1月17日の中央教育審議会答申を踏まえ、去る2月15日に案を公表し
(管理人注: それに呼応して、あたかも掲示板のテンプレのような、八木センセイら一味とカギカッコ付の「保守派」議員の意見が流布されましたね)30日間、広く国民の皆様からご意見をいただいた。(管理人注: いただいても、お政府様にはそれを「スルー」する権利があると考えたようであって)それらを踏まえ(管理人注: 踏まえていないじゃないですか)必要な修正(管理人注: 必要とは到底考えにくい修正を加えていますが、ああ、そういうことですか、八木センセイらの意見しか「必要」でなかったという認識ですか)を行い(管理人注: 中教審案に対して、なんと総則を突然変更して愛国心の涵養の項を加えたという異例中の異例)本日公示に至ったものである(管理人注: 悪徳商法が摘発されるのと同様の弊害を生んでいますから、この行政の不実あるいは不作為、まあ一言で言って、今回のプロセス形骸化のルーズさは大いに追求されるべきものです)

 新学習指導要領等は、子どもたちの「生きる力」をはぐくむ具体的な手立てとして、1 約60年振りに改正された教育基本法を踏まえた教育内容の改善を行うこと、2 学力の重要な要素である基礎的・基本的な知識・技能の習得、思考力・判断力・表現力等の育成及び学習意欲の向上を図るために、授業時数増を図り、特に言語活動や理数教育を充実すること、3 子どもたちの豊かな心と健やかな体をはぐくむために道徳教育や体育を充実すること、といった基本的な考え方に基づいている。

 新学習指導要領は、幼稚園は平成21年度から、小学校は平成23年度から、中学校は平成24年度から全面実施することとしているが、新学習指導要領に対する保護者の期待や関心は極めて高く(管理人注: 撤回の余地があるものを前倒し適用し規定の事実化するなという関心はきわめて高いです。あ、そうですね、「ゆとり教育世代の劣化」という神話や、「少年犯罪増加」という事実に反する神話にコントロールされていれば、授業数を増やしてほしい、道徳の授業を強化して欲しいという関心に結びつくのかもしれませんね)平成21年度から理数教育を中心に前倒しして実施したいと考えている(管理人注: 円周率の小数点問題、本当は「3」以外ダメと断言したなんて話じゃなかったんですがメディアではそれが「愚民化」につながるかのように教育産業の肝いりで広告されましたし、また日本の技術力の低下への危機意識はたしかにあるのでしょう。それで理数系なのですね)。その詳細についての案を4月中を目途に公表する予定である(管理人注: その結果、4月25日付での発表&パブコメ募集となりました)。平成20年度は、新学習指導要領等の趣旨をあらゆる場面を活用して教師など教育関係者はもとより、保護者や広く社会に対してしっかりと説明することとしている


 新学習指導要領等の趣旨を実現するためには、指導体制の確立を含む教育条件の整備、教科書や指導方法の改善、入学者選抜の改善などの諸施策を総合的に展開していくことが極めて重要であり、今後、これらの施策について取組を進めてまいりたい。

 また、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領は、平成20年内に公示する予定である。


 今後とも、国民の皆様におかれては、是非、教育に対して強い関心を持っていただき、学校教育をご支援いただくようお願い申し上げたい。

(初等中等教育局教育課程課教育課程企画室)


息切れしそうで、第一に読みにくいので、談話への突っ込みは途中で控えました。


パブリックコメントのリンクと、今ある疑問点を記載します。


まず、締め切りは5/24です。


毎回のことでしつこくて恐縮ですが、こうして一般市民からの意見を「シカト」することで、「何を送ったところで、どうせこの期間では間に合わないとして、結局取り合ってもらえないのでしょう」と気分を萎えさせて、しかしいずれ、反対意見の送付自体を殲滅させよう・・・という暗い意図を感じ取っています。

パブリックコメント:

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=185000309&OBJCD=&GROUP =


案件番号

185000309

意見募集中案件名

学校教育法施行規則の一部を改正する省令の一部を改正する省令案等に関する意見公募手続(パブリック・コメント)の実施について
定めようとする命令等の題名

(1)学校教育法施行規則の一部を改正する省令の一部を改正する省令案
(2)平成21年4月1日から平成23年3月31日までの間における小学校学習指導要領の特例を定める告示案
(3)平成21年4月1日から平成24年3月31日までの間における中学校学習指導要領の特例を定める告示案
根拠法令条項

学校教育法(昭和22年法律第26号)第33条、第48条、第68条
学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)第52条、第74条
行政手続法に基づく手続であるか否か

行政手続法に基づく手続

案の公示日

2008年4月25日

意見・情報受付開始日

2008年4月25日

意見・情報受付締切日

2008年5月24日

関連ファイル 意見公募要領
 (提出先を含む)、命令等の案

意見公募要領
学校教育法施行規則の一部を改正する省令の一部を改正する省令案等について(概要)
学校教育法施行規則の一部を改正する省令の一部を改正する省令案等について(別添)
 関連資料、その他

新しい学習指導要領ホームページ

学校教育法施行規則の一部を改正する省令の一部を改正する省令案等について(概要)

に全体像が示されています。

ただ、示されているのは概要で、詳細は新しい学習指導要領ホームページ にしかありません。


具体的な事例に入る前にひとつの疑問があります。

政省令案にある、


「・・・によることできるものとする」

 (よることできる、という派生バージョンもあります)

「・・・・によるものとする


この前者は許容を示すのでしょうか、あるいは努力規定のいずれでしょうか?

そして後者は指示(命令)ということでしょうか?


そんなことを考えながら、まずは小学校です(丸数字・半角は原文ママ。一部直しています):


総則、道徳、特別活動

○ 新小学校学習指導要領(平成20 年文部科学省告示第27総合的な学習の号をいう。以下同じ。)の規定によるものとする。(総則の時間、特別活動第2を除く。)


社会

○ 新小学校学習指導要領によることもできるものとする。
○ 現行小学校学習指導要領による場合には、次の通りとする。
① 第3学年及び第4学年の指導に当たっては、新小学校学習指導要領第2章第2節第2の〔第3学年及び第4学年〕の2(6)アのうち「我が国における自分たちの県(都、道、府)の地理的位置、47 都道府県の名称と位置」に関する事項を加えること
② 第5学年の指導に当たっては、新小学校学習指導要領第2章第2節第2の〔第5学年〕の2(1)アに規定する事項(世界の主な国の名称と位置等)を加えること。
③ 平成21 年度の第3学年及び平成22 年度の第4学年の指導に当たっては、現行小学校学習指導要領第2章第2節第2の〔第3学年及び第4学年〕の2(6)ウに規定する事項(産業や地形条件から見て県内の特色ある地域の人々の生活)ではなく、新小学校学習指導要領第2章第2節第2の〔第3学年及び第4学年〕の2(6)ウに規定する事項(県内の特色ある地域の人々の生活(地域の資源を保護・活用している地域))を指導すること。


音楽

○ 新小学校学習指導要領によることもできるものとする。
但し、歌唱共通教材の扱いについては、新小学校学習指導要領第2章第6節第2の〔第1学年及び第2学年〕,〔第3学年及び第4学年〕及び〔第5学年及び第6学年〕それぞれの2A(4)アの規定によるものとする

たとえば、この音楽についての案の表現が不可解です。


音楽教育全体としては「よることもできる」、と単なる前倒しの許可を示して・あるいは単なる努力規定としておきながら、それよりも詳細な「歌唱共通教材の扱い」(歌唱共通教材に文部省唱歌を加えていた点は八木センセイに、評価する、などと上から目線で語られていましたね)という項目に関しては、以下のどちらでしょう?


<1>「よるものとする」と、ピンポイントで義務化しているということでしょうか?

<2>全体に対しての努力規定が優先するので、よるものとする、という言葉によらず、まあそんな考え方もありますよと示しただけ、ということでしょうか?


素人が読んでもこんな破綻(とも見える)多様な解釈があるのだから、現場の混乱はどれほどのものか、と思います。

また、今後の運用の段階で、文科省に睨まれないような過剰な前倒しや範囲の拡大、それに反対する教職員の「処分」など、何が起こるのかわかったものではありません。


一方で、前倒しする主目的であると言われていた、理科、算数についてはこんな感じです。


理科、数学

○ 別添1(算数)及び別添2(理科)のとおりとする。
○ 新小学校学習指導要領における第2章第3節の第2の〔第1 学年〕から〔第6学年〕までのそれぞれの2〔算数的活動〕については、教育課程に加えることできるものとする

前倒しの内容からすれば、理数系では細則まで決められていますから、よりクリアであるには違いありませんが、今度は、第2項目で「ことができる」と除外規定のようなものが設けられています。

疑問は尽きません。


中学はこちらです:


総則、道徳、総合的な学習の時間、特別活動

○ 新中学校学習指導要領(平成20 年文部科学省告示第28総合的な学習の号をいう。以下同じ。)の規定によるものとする。(総則の第2を除く。また、選択教科に関しては、現行の総則の規定による。)


国語

○ 新中学校学習指導要領によることできるものとする
○ 現行中学校学習指導要領(平成10 年文部省告示第176 号をいう。以下同じ。)による場合には、平成23 年度の第1学年の指導に当たっては、新中学校学習指導要領第2章第1節第2の〔第1学年〕の2〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕(1)イ(ア)に規定する事項(音声の働きや仕組みへの関心等)を加えるものとする。


社会

○ 新中学校学習指導要領によることできるものとする
○ 平成22 年度の第1学年並びに平成23 年度の第1学年及び第2学年における地理的分野及び歴史的分野の指導に当たっては、新中学校学習指導要領第2章第2節第3の1(2)の規定により、各学年において授業時数を各分野に適切に配当するものとする。
○ 平成23 年度の第1学年の地理的分野の指導に当たっては、現行中学校学習指導要領第2章第2節第2〔地理的分野〕のうち、次の事項を指導するものとする。

(1) 世界と日本の地域構成
(2)ア身近な地域
ウ世界の国々
(3)

(ア) 自然環境から見た日本の地域的特色
(イ) 人口から見た日本の地域的特色
(ウ) 資源や産業から見た日本の地域的特色
(オ) 地域間の結び付きから見た日本の地域的特色

どうにも分かりませんね。


などと、一人で細部に入り込んでいたら、しんぶん赤旗さんが「愛国心前倒し」を記事にしていました。


2008年4月25日(金)「しんぶん赤旗」
文科省 「愛国心」教育前倒し 新学習指導要領 来年度から移行案


◆参考

(学習指導要領の詳細や比較表、その他資料が掲載されています。意見作成時は参照必須です)
文部科学省 「新しい学習指導要領」


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