東名道で走行中のトラックのタイヤがすべて外れて、バスの運転手さんが亡くなり乗客も負傷しました。

この事件について、情報通の友人からのメールで、またこんな「言葉」があったことを知るに至りました。


後半に報道を引用しますが、このトラックを出していた運送会社では「過積載でないと商売が成り立たない」と発言しています。


asahi.com

タイヤ直撃事故 ボルトすべて破断、一部は以前から?

2008年04月12日03時00分


(略)

■トラックの会社側「たぶん過積載」

 京阪産業の癸生川(けぶかわ)正司専務(60)は11日夜、朝日新聞の取材に対して「(タイヤが外れた)トラックは過積載だった懸念がある。たぶんそう(過積載)でしょう。過積載でないと採算がとれない業界なんです。定期点検の結果などは会社として把握していない。運転手任せにしてしまった。反省している」と話した。

(略)

優秀で面倒見のよかった(その日が誕生日であったという)バスの運転手さんのご冥福を心よりおいのりします。また、乗客の方々の恐怖はどれほど大きかったろうと拝察します。


だからまず、上のような発言の前に「なんとふざけたことを」と、その会社のモラルを責めたくなるのは当然です。


しかし、今日に始まったことではないですが、この問題にはまた、さらなる真因があるものと考えます。


前のエントリーに続いて、友人のメッセージ引用で恐縮ですがまずお読みください。

家族と親族の所用でばたばたしております。。あらゆるレスポンスも遅れていますm(_ _)m


「過積載でないと採算がとれない業界なんです」

人命にかかわる分野でこれだと、この会社そのものもいけない
けど、そういう構造を生み出した川上工程の会社も問題ある
よね。デフレ慣れして何でも安くすればいい、安くしなくては
いけない、という呪縛から逃れられず、どんどん川下にしわ寄せ
がいくわけで。
考えてみると、日本全国一律640円の宅配とか、80円の
メール便とか、安いから私も使っていたけど、はっきりいって
これで採算取るのは至難の業だろうし、現場は悲惨だろうねえ。

そうなのですよね。

ニーズあってこそ、広く商売が展開します。

また、ニーズは何かによって拡大させられている可能性もあります。


こうした運送業の世界で、たとえば宅配や引越しなどの依頼の際、「採算性はどうなのか」をひとたびも振り返る機会もなく、市民の側は、企業や新技術(いわゆるテクノロジーだけでなく、サービスやビジネスの技術も含め)に、「過剰な期待」を寄せていた面が強いように振り返ります。

それは誰にも、わたし自身にもあることだなと思います。


それでも、現実世界にある物理的制約は、煽られたニーズの高まりなどより、ずっと遅々たるスピードでしかクリアされないということなど誰でも気づいています(たとえば、一定時間内での輸送量の増大への追従)。

物理的制約の大きさと市場ニーズへのギャップに、政官財の営利偏重主義が伴ったとき、自制心なき向上の目標設定は、かつて高度経済成長時代の日本で公害問題を頻発させました(新興国で今繰り返されているように)。


だから、たとえ大味で手垢のついた言説と揶揄されても、「競争による適者生存を経済成長の軸とする市場原理主義あるいは新自由主義政策が諸悪の根源」という対極的な捉え方はいったん確実に押さえておくべきで、また、そんな当たり前のことに対してすら、無批判で無自覚で無頓着で、無分別に競争による「構造改革」を妄信してきた自公という与党は、確実にかつ手早く「叩き落す」必要があります。


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ここからもう一段掘り下げてみれば、官僚の描いた進言や図式を鵜呑みにするだけしか能力や志のない政党あるいは政治家に政治を任せている限り、また別のやり口で同じ構図が発生するだけだろう(要するに、口八丁手八丁の官僚の前では何も変わりはしないのだ)という悲観論もあるとは思います。


しかしその落胆にとどまることをせず、その次の一歩を踏み込んでみたいと思います。


「同じ構図が発生する」ということをあらかじめ市民の側が予見しているならば、その問題が回避できる鍵はこちらも持っているはずではないでしょうか。


~~~


たとえば、こうしたひどい事件があると、毎度のように行政からは、該当する会社やその業界全体にに対し、もっともらしくコンプライアンス(法令順守など)を強く求める発令がなされて、彼ら(行政)が何をしてきたかを考えれば、正直しらけるところだらけです(まあ、しらけるというより苛立ちというか怒りに近いですが)。


でも、この「盗人猛々しい」という感情で思考を停止させていていいのでしょうか。。

従来の「お上の悪をうやむやにする」ことの歴史には、この怒りがひょっとすると活用されていたのではないかとも思います。

メディアで感情の爆発を加速させ、疲れさせ、意気消沈させ、手練手管にはかなわないと弱気になったところで一気に報道を下火にする・・・


(1)本来の行政指導の意味合いから正しいこと、今後に向けてのよい取り組みは積極的に褒めて、

(2)ただ、これまで企業などの飲んできた悔し涙、「過積載でなければ採算が取れない」などの背景にある業界動向や経営環境の意味を推し量るよう努力し(明らかな不道徳を許すという意味でなく、スケープゴートをつくらないということです)、

(3)その上で、メディアに情報の浪費をさせっぱなしにしないよう声を上げ、

(4)ただしこの事態を招いた「流れの上にある真因」はきちっと首を洗ってもらうように、取るべき権利を行使する、


容易ではないかもしれませんが、こうしたいくつかのアクションがあるのだと考えています。


以下は以前、再生紙への古紙配合比率が問題になったときに書いたエントリーです。


◆2008-01-18

日本郵政が要求した再生紙年賀はがきへの仕様・買値・納期は妥当だったのでしょうか(と、ふと思う)


こちらの件では、想像通り、過去に遡って業界ぐるみでかつ社長も理解のうえで行われていた比率「偽装」問題でした。古紙配合率の向上を指導した行政側の周知もあったはずですが、結局「絵札」が出てきはじめるあたりですでに報道は一種の「ゲームオーバー」状態になっていて、ジョーカーには至らないとまずいだろうと思います。

「エコ偽装」として古紙メーカーのコンプライアンスのあり方をひときわ強く糾弾することで「いっぱいいっぱい」になっていたことは寄与していなかったと言えるでしょうか。



今回の運送業の問題も含め、「お上にある真因」の究明を、耐震偽装問題などの実践事例を応用させてうまく切り抜けさせたりしてはならないと考えています。


以下に記事を引用します。重ねて運転手の関谷さんに哀悼の意を申し上げます。


asahi.com

タイヤ直撃事故 ボルトすべて破断、一部は以前から?


2008年04月12日03時00分


 東名高速の吉田インターチェンジ付近で11日午前に起きたタイヤ脱落事故。トラックにタイヤを固定するボルト8本はすべて破断し、うち2本の破断面にはさびが付いていた。専門家は、2本は事故以前から折れていて、残ったボルトに過大な力がかかった可能性があるとみている。


■300メートル手前で異音

 県警の調べなどによると、現場は片側2車線で、トラックから見てゆるやかな右カーブ。脱落したタイヤは直径約1メートル、重さ約100キロで、高さ95センチのガードレールに当たって跳ね上がり、さらに中央分離帯の高さ1.35メートルのフェンスを越えて反対車線に飛び込み、追い越し車線を走ってきたバスのフロントガラス右上を直撃したとみられる。

 トラックの車軸は前1本、後ろが2本。タイヤは前の車軸に左右1本ずつ、後ろの車軸はそれぞれ左右2本ずつで、計10本のタイヤがついていた。後ろの車軸のうち、前方左側の外側のタイヤ1本が外れた。

 トラックの植木丈喜運転手(37)は県警の調べに対し、「300メートル手前で『ガラガラ』という音がした。バックミラー越しに、外れたタイヤが車の右後方をボンボン跳ねながら道路を横切り、中央分離帯にぶつかってダイブしているのが見えた」と話しているという。

 脱落したタイヤの折れたボルト8本のうち、2本の破断面は、さびて茶色に変色していた。国土交通省関係者は「さびたボルトは、事故のかなり前から折れていたと考えられる。その状態で走り続けたため、残り6本も折れて車輪が脱落したのではないか」とみる。自動車の構造に詳しい別の専門家も「破断面に雨水がしみこんでさびていたのでは」と指摘する。

 トラックを製造したいすゞ自動車によると、この車両は95年に販売されたもので、同じ型式は94年10月~96年10月に計650台作られ、販売されている。国交省は同社に脱落についての調査を指示。同社は過去に同様の事故がなかったかどうかなどの情報を集めている。

 植木運転手は産業廃棄物収集運搬業の京阪産業(本社・静岡市)で働いていた。この日は静岡県富士市でプラスチックの廃材を積み、愛知県方面に向かっていた。


■トラックの会社側「たぶん過積載」

 京阪産業の癸生川(けぶかわ)正司専務(60)は11日夜、朝日新聞の取材に対して「(タイヤが外れた)トラックは過積載だった懸念がある。たぶんそう(過積載)でしょう。過積載でないと採算がとれない業界なんです。定期点検の結果などは会社として把握していない。運転手任せにしてしまった。反省している」と話した。


■死の直前、サイドブレーキ

 バスは名阪近鉄バス(本社・名古屋市)の大垣営業所の所属。静岡県の大井川鉄道のSLに乗る日帰りツアーの客39人と、死亡した運転手の関谷定男さん(57)、ガイドの乗務員の計41人が乗っていた。

 「前を向いていたら、タイヤがフロントガラスから飛び込んできた」。妻や友人とバスの後方の座席に座っていた柴田道義さん(66)は、タイヤが縦に回転しながら突っ込んできたのを見た。「何が何だか分からずびっくりした。顔にガラスの破片が刺さっている人もいた」

 ガラスを突き破ったタイヤは車内に入り込んだ。最前列にいた大脇まさをさん(82)は「タイヤが運転席の上を飛んできて、運転手さんを直撃した」。タイヤは座席のすぐ真横にまで転がってきて、そのあと乗降口の階段の下へ転がり落ちていったという。

 前から5列目に座っていた若尾正治さん(65)は左まぶたが切れ、ジャンパーに血のあとがついた。「下を向いていたらボーンと音がして、通路を細かいガラスがザーッと流れた」と語る。

 若尾さんは、バスは急に止まることはなく「スーッと停車した」という。大脇さんも「バスガイドさんが慌ててサイドブレーキを引こうとしたら、すでにブレーキは引いてあった」と証言する。

 同バスの幹部は「県警の人が『あの状況でよくブレーキを引いた』と言っていた。運転手は、意識があるかないかの状況のなか、タイヤの衝突地点から200メートル以内で車を止めたらしい」と話した。


■死亡した関谷さん、57回目の誕生日

 名阪近鉄バス大垣営業所(岐阜県大垣市)によると、死亡した関谷さんは84年に入社したベテラン。11日は57回目の誕生日だった。同営業所の運転手47人の中では4人しかいない「師範運転手」の肩書を持ち、若手運転手の指導役を務めていた。

 同僚の一人は「とにかく面倒見のよい人で、常にお客さんのことを考えていた。時間があるなら少しでも景色のよいところを、とルートを考えたりしていた」と話した。同社観光バス営業部の熊谷好弘岐阜支店長は「ガラス1枚なので避け切れなかったのだろう」と悔しがった。



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