パブリックコメントの無効性(を盾にして諦めさせる制、であることは言を俟たないでしょう)について、学習指導要領案への募集の際にも少し書きました 。
たしかに、ほとんどが採択されないし、実質1ヶ月の間に読みきれるものではないという東京新聞記事の指摘は現象を的確に捉えていたりもします。
かたや、パブコメをアリバイの作成(場合によっては、当初開示案、そして予め作成してあった改定案への差し替えのアリバイに)に用いるということも常態化していそうです。
そうしたサンプルの事例を拾ってあるので、情報転記します。
レイアウトなどはまた明日改訂しますが「地球環境保全・エネルギー安定供給のための原子力のビジョンを考える懇談会」の最終報告に関するものです。
まず、この会を明確には知らなかった(あるいは聞いていたのだけど、記憶に定着しなかったのか)のもお恥ずかしいことですが、以下が3月14日付け原子力産業新聞からの抜粋です。
○原子力委ビジョン懇 最終報告書 報告を政府懇談会に反映へ 国際枠組み構築等団体について:
原子力委員会の「地球環境保全・エネルギー安定供給のための原子力のビジョンを考える懇談会」(座長=山本良一・東大生産技術研究所教授)は11日の会合で、最終報告書を取りまとめた。審議終了にあたり、山本座長は報告書内容を、自身が委員を務め今月6日に初会合を開いた政府の「地球温暖化問題に関する懇
談会」にも反映させたい、との意欲を示した。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/vision/index.htm
内閣府原子力委員会
地球環境保全・エネルギー安定供給のための原子力のビジョンを考える懇談会
ここの最終報告に対してのパブリックコメントが2/28までに募集されていたのに、気付きませんでした。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=095080140&OBJCD=&GROUP
案件番号 095080140
意見募集中案件名 原子力委員会「地球環境保全・エネルギー安定供給のための原子力のビジョンを考える懇談会」の報告(案)に対する意見募集について
下記のNPOでも取り上げていました。
NPO-IOJ 「日本の将来を考える会」
地球環境保全・エネルギー安定供給のための原子力...
地球温暖化対策が主要テーマとなる洞爺湖サミットに具え、原子力の先進国であるわが国は世界に原子力の推進を取り上げてもらうべく、原子力委員会に「地球環境保全・エネルギー安定供給のための原子力のビジョンを考える懇談会」を立ち上げて検討しております。
是非、内容をご覧になってください。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/vision/index.htm
~~~
各種関連リンク先を記録してみます。
まず、構成員のリストがあります。
昨年6/19に設置が原子力委員会で決定さえたというので、志賀原発の被災の後でもあるし、柏崎刈羽原発の被災の1ヶ月前ということにもなります。
ここで驚くのは、環境性をうたい文句にしながら、いかにもお役所らしい書式で、ほんのわずかの1ページめに続いて、氏名が2ページめ、これで全体構成です。これをプリントアウトすることを考えたら1枚に収めれるだろうに、ふつう、と余計なことを考えてしまいます。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/kettei/kettei070911.pdf
「地球環境保全・エネルギー安定供給のための原子力のビジョンを考える懇談会」の構成員
浅田 正彦 京都大学大学院 法学研究科 教授
浦谷 良美 社団法人 日本電機工業会 原子力政策委員長・三菱重工業
株式会社 代表取締役・常務執行役員 原子力事業本部長
岡崎俊雄 独立行政法人 日本原子力研究開発機構 理事長
片山 恒雄 東京電機大学 教授
木場 弘子 キャスター・千葉大学特命教授
黒川 清 内閣特別顧問
崎田 裕子 ジャーナリスト・環境カウンセラー
柴田 昌治 社団法人日本経済団体連合会 資源・エネルギー対策委員長
田中 知 東京大学大学院工学系研究科 教授
十市 勉 財団法人 日本エネルギー経済研究所 専務理事 首席研究員
堀井 秀之 東京大学大学院工学系研究科 教授
森 詳介 電気事業連合会 副会長
山本 良一 東京大学 生産技術研究所 教授
和気 洋子 慶応義塾大学商学部 教授
その中で、3/11付けの文書として「いただいたご意見と対応案」があります(PDFファイル)。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/vision/siryo/vision07/siryo2.pdf
PDFのp.21やp.23に黒塗り箇所があるのはなぜなのかも少し、どころか大いに気がかりでいられませんが、「ご意見」に対する応答状況でも、結論ありきの「対応」に度肝を抜かれます。
たとえば、「エコだから原発」という独善に対して挙がった反対意見にどう対応しようとしているかですが、
<原発のCO2排出量は多いのではないかという意見>
に対して、対応(案)では、
・ 御指摘の点については、公開データによって、発電のみでなく全ての過程を含むライフサイクルでの各電源の二酸化炭素排出原単位を評価した文献例、
■原子力:約0~40 g/kWh
■石油:約700~800 g/kWh
■石炭等:-褐炭・亜炭(排煙脱硫装備):約1,100~1,400 g/kWh
-石炭(同上):約800~1,100 g/kWh
-石炭(炭素回収・貯留):約250 g/kWh
■LNG 等:-天然ガス(炭素回収・貯留なし):約400~500 g/kWh
-天然ガス(炭素回収・貯留):約250 g/kWh
■水力:約0~120 g/kWh
■太陽光:約40~100 g/kWh
■風力:約10~20 g/kWh
(出典;Comparison of energy systems using life cycle assessment, Special Report, World Energy
Council, July 2004.)
等を参考に、懇談会第1 回(資料第3 号P.20)、第2 回(資料第2 号P.21)、及び第6 回(資料第2号P.2)において議論を行いました。
・ その結果、原子力発電からのCO2排出が化石電源より大幅に少なく再生可能電源と同程度であり、原子力エネルギーの利用がエネルギー安定供給と地球温暖化対策に有効であるとの認識を得ています。
・ そして、本報告(案)では、原子力エネルギーの利用が『エネルギー消費の節約、エネルギー利用効率向上、再生可能エネルギー利用等とともに、低炭素社会の実現を目指すための対策として不可欠である』(P.4 4~6 行目)としています。また、報告(案)別紙参考データ「各電源のCO2排出特性}は発電以外の過程を含むライフサイクルでの評価となっています。
・ したがって、本報告(案)は、現状のままといたします。
★要するに、聞いちゃいないということですね。
~~~
さらに、<安全確保の観点からリスクが大きいのではないかとの御意見>
に対しても、対応(案)では、
(出典部分略)
・ また、懇談会第3 回資料第1 号P.3 に示されるように、原子力発電所周辺の放射線量目標値(0.05mSv/year)は自然放射線(2.4mSv/year)よりも低く設定されており、我が国での実績値はこれよりもはるかに低いものです。
・ その結果、原子力発電による通常時、事故時の生命損失の実績は小さく、今後も、各国において及び国際的な取組を継続して行うことによって、安全を確保し、リスクを十分に低く抑えることが可能となるとの認識を得ています。
・ これに基づいて、本報告(案)では、『我が国は、エネルギー消費の節約、エネルギー利用効率向上や再生可能エネルギー利用等と同様に、核不拡散、原子力安全及び核セキュリティの確保を大前提とした原子力エネルギーの平和利用が地球規模で一層拡大するよう、以下の6項目を重点に、取り組む。』(P.4 7~9 行目)としています。
・ したがって、本報告(案)は、現状のままといたします。
★要するに、聞いちゃいない
ということで、平和利用のつもりなのだから文句を言うなということですね。
~~~
他にも、<耐震安全性に問題があるとの御意見>
に対しても、
対応(案)
(略)
・ したがって、本報告(案)は、現状のままといたします。
続いて、<放射性廃棄物の観点からリスクが大きいのではないかとの御意見>に対しても、
対応(案)
(略)
・ したがって、本報告(案)は、現状のままといたします。
★だそうです!
<核不拡散・核セキュリティーの観点からリスクが大きいのではないかとの御意見>も当然ありましたが、しかし、
対応(案)
(略)
・ したがって、本報告(案)は、現状のままといたします。
・・・うわー。ものすごい独断ぶりです。バーチャル強行採決といった風情です。
~~~
次に行ってみます。
<作業員被ばくの問題があるのではないかとの御意見>
<ウラン価格高騰のため経済性はがないのではないかとの御意見>
<経済性はないのではないかとの御意見>
<土地利用により自然が破壊されるとの御意見>
<核燃料も有限であるとの御意見>
<プルサーマルに関する御意見>
<温排水が地球温暖化をもたらすのではないかとの御意見>
<その他の意見>
<その他:データの解釈に関する御意見>
いずれも同じで、
・ したがって、本報告(案)は、現状のままといたします。
でした。
パブリックコメントに対しての「対応」というものに対しては義務規定はないのだとしても、異常なほどの不実さです。
~~~
推進派またはそれに近い考え方に基づいたデータ開示や説得性の強化などの意見も、多数ありました。
ただし、それらに対してすらも、
<より強力な原子力推進姿勢を求めた意見>
<取組の内容に関する意見(全般に一層の具体性を求めたもの)>
<取組の内容に関する御意見(取組4、研究開発)>
<原子力エネルギー利用量の目標値の提示を求めた意見>
<エネルギー安定供給に関する記述追加を求めた意見>
<表現の改善を求めた意見>
<報告内容、取組の発信を求めた意見>
<取組の具体化、実施を求めた意見>
<取組6(国民理解)の重要性と、具体化・実施に関する意見>
<国内の人材基盤の整備に関する具体的記述を求めた意見>
のいずれも、
対応(案)
(略)
・ したがって、本報告(案)は、現状のままといたします。これって・・・・
脱力します。
どんな正当性の根拠も明らかにせず、洞爺湖サミットに向けての意見集約が大前提にありきで、要するに「国民的合意形成」の外向きのパフォーマンスが賛成・反対いずれの意見を検討俎上に載せるよりも優先しているということを露呈しています。
唯一、変更があったのが、
<取組の内容に関する意見(取組2、安全等の確保)>に対して、
・ 今回、御意見の主旨をふまえ、この取組2�の記述に追記を行い、『IAEA やOECD/NEA による基準や勧告の策定等の活動』としました。
という1点1箇所です。
やはり、お墨付き機能はおそるべし、です。
~~~
■委員を調べました(著名人除き)。
浅田 正彦
http://www.jaea.go.jp/04/np/index.html
片山恒雄
防災科学技術研究所元理事長
崎田 裕子
環境ビジネスウィメン メンバー
環境ビジネスウィメンは、2004年に当時の環境大臣・小池百合子が、環境関連ビジネスに関わる女性経営者や女性オピニオンリーダー10名(第一期メンバー)と共に開いた懇談会。「環境と経済の好循環」の実現を主題とし、環境ビジネスについて女性リーダーの視点で議論したのが特徴。その後、第二期、第三期とメンバーを加えながら社会への発信を続けている。 2007年6月にNPO法人化。
田中知
(核融合工学、廃棄物工学、界面科学、量子物質相互作用、
時間・空間・エネルギー3Dシミュレーション、放射化学の新展開)
十市 勉
http://www.nikkeibp.co.jp/news/eco07q4/553138/(財)日本エネルギー経済研究所・常務理事、首席研究員
山本良一
http://www.ecostation.gr.jp/interview/1996/3.html
サミットは迫っていますが、いずれ時間の隙を縫って調べてみたいと思います。
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引き続き、柏崎刈羽原発停止への署名↑をお願いいたします。
被災された方々の不安と風説被害に心よりお見舞い申し上げます。
「運転再開は白紙」と所長が年頭会見で強調されたそうですが、動向を見守りたいと思います。
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