フリーペーパー『R25』に隔週で掲載されている石田衣良さんのエッセイがありますが、今週号では「国際テストの見栄っぱり」として、学習指導要領改定案を批判されています。


webでは、最新号発行期間しか読むことができないので(来週水曜まででしょうか?)、ぜひ今のうちにご覧下さい。


R25.jp 『空は、今日も、青いか』

第七十五回 「国際テストの見栄っぱり」   から:

(略)

そんなとき、また10年ぶりに学習指導要領の改定案が、文部科学省から発表された。小学校の授業を1割アップして、「基礎基本の知識を増やし、活用力を高める」のが目標なんだとか。まだゆとり教育の結果さえはっきりでていないと思うのだけど、180度の方針転換である。


なんでも、OECDが開催している国際学習到達度調査(PISA)での日本の成績が落ちているかららしい。

(略)実際にぼくも公開されている読解力の問題に目をとおしたけれど、これがけっこうな難問なのだ。普通の15歳にはなかなか解けないんじゃないかな(まあ、ぼくの場合自分の小説が入試問題になっても正解を間違えたりするので、あまり信用はできないけれど)。PISAは知識の量ではなく、その知識を実際の生活のなかで起きる問題にどう応用するかを試されるタイプの試験なのだ。こういう応用力というは、日本のお役人にはもっとも欠けていると思うのだけど、みなさんはどう感じますか


今の小学生は、ほとんど塾にかよっている。さらにスポーツや音楽などの習いごとで、平日の放課後はほぼびっちり埋まっているのだ。遊びにいくときさえ、電話で予約をとりあい、疲れたときには子ども用栄養ドリンク(!)をのむ日々。売れているファミリー向け雑誌は、受験競争をあおるような品のない記事ばかり。こういう事態のなかで、10パーセント授業時間を増やすことに、果たして効果が期待できるのだろうか。


ぼくは『リョウタ組』のなかで、学年5クラスで競われる到達度試験というクラス競争の話を書いた。その試験でトップを狙って、子どもたち自身が暴走してしまうのが最終章のテーマである。5年3組のなかで、優秀な上位10人と学業不振な10人が対立していくのだ。


(略)


PISAの成績をあげたいというのは、はっきりいって国としての見栄っ張りである。実効性がはっきりしない試験に振りまわされるのではなく、目のまえの子どもたちをもっとよく見てほしい。ほら、働く大人の表情を映して、つまらなそうに曇っているから。


そちらのほうこそ大問題。

文科省の方針に翻弄されてペーパーワークに追われる先生方のお話に始まり、子どもを見ず、国策としての教育を進めることへの、やわらかな視点での進言は、実際に言葉で書かれている以上の危機感に裏打ちされているものと考えます。


わたしは石田さんの小説は、日本の小説家の中では比較的よく拝読します。

少年少女世代を描いた作品(に限らず)は、「アクロバティックに」とも言いたいほど、現代というものの残酷な切り口を描いていますが、決してそれらが仮想世界を表しているのではなく、当事者意識に寄り添った上でいったん距離を置いて客観的に描いていることに感服しています。


今回のこのエッセイでは、教育を取り巻く痛みを伴いすぎる現実と、場当たりの「改定」の無効性、その背景にある「見栄」という本質を指摘してくださっています。


わたし自身も、「売れているファミリー向け雑誌」、つまりは、「子どもを投資対象と切捨て、勝ち組(何回書いても嫌な言葉です)を目指させ、それを際限なく煽る」ことに臆面もない内容が大人気を博していることにたまらないものを感じ取っていました。

それと同時並行的に、PISAの結果や全校学力テストを取り上げるメディアの基調、さらにはそれに乗じて最近の「日本人」の「レベルの低さ」を嘆くお歴々、それらのすべてに有喜ばれそうな回答を、授業時間10%増加として示す政官財の教育戦略の方針、それに疑問もなく乗ろうとする動き・・・とてもきわどい選択を日本がしようとしているものと、ずっと考えてきました。


10%削られた子ども時代の時間は、彼ら彼女らに批判的な精神を失わせ、10%以上の教育現場への負担増は、現状追認以外の発想を剥奪するに十分かもしれません。


こうした一見して効果的そうな効果のなさそうな授業料増と抱き合わせで、内閣府や日本教育再生機構が挙げている復古的な心情への誘導があります。

http://www.kyoiku-saisei.jp/network/pcsc0222.html



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