「最近なんか顔も見えない人たちから恨まれててさー」

「ヘイトってやつだね」

 

即答で返事が返ってきた。さすがみかんこさん頼りになる。

 

そう、なんか最近、ネットの不特定多数の人から誹謗中傷や悪口雑言を言われるようになってしまったのだ。

今までなかった情報集積サイトを作ったために、それまで手軽に小遣い稼ぎしてた人や小遣い稼ぎしようとしてた人から恨まれてるんだと思う。違うかもしれんけど。

と正直に伝えた。

 

「なんとかなんないかな」

「何とかする必要はないよ」

 

これも即答で返事が返ってきた。

 

「なんで?」

 

「恨まれるとかネットに悪口書かれるってのは、一見不利益なように見えるよね。でもエネルギー的な視点で見ると全く逆」

 

「エネルギー的視点?」

 

「そう。なんでか知んないけど、恨むという行為は『恨んだ相手に自分のエネルギーを渡す』という風に私には映ってる」

 

「恨んだ相手に? ってことはエネルギー的には恨まれた方がいいってこと?」

 

「うん。そう見える。そこらへんは昔、長期的に観測したことがあってさ。恨んでいた人と恨まれていた人がいて、恨んでいた人がものすごいエネルギーを内に持ってる人で、恨まれていた人はそうでもないただの凡人だった。処世術とかも特にないような。でも恨まれていた人の方がどんどん成功して有名になって出世していって有名人に持ち上げられた」

 

「へぇ」

 

「なんでかずーーっと不思議だったんだけど、エネルギーの流れが見えるようになってからはそりゃ当然だと思うようになったんだ。だって恨んでる人が自分のエネルギーを全部明け渡してるんだもん。その人に」

 

「全部?」

 

「そう、全部。やばいほど全部。そりゃ相手が成功するよ」

 

 

よくわからんけど、彼女の視点からはそう見えているんだなぁということだけがわかった。

 

そういえば自分も一つ思い当たる節がある。

同時期に小説デビューした人がいたんだけど、その人の方が低評価だったにもかかわらず続編の話をもらったり巻数続いたりしてたことがあったんだ。

自分の小説のレビュー欄は相当高い評価をいただいて、そいつはさんざっぱらな低評価を喰らっていた。「読むのが苦痛」とか「こういうのが混じるからなろう発はいやなんだ」とか。

でも、自分の全評価数はせいぜい10人。そいつは60人くらいが低評価を押していた。さらに2chのヲチ板という、奇怪な行動をする人を裏からじっと見て悪口を言い合って楽しむというあまりいい趣味でない人たちが大勢彼をヲチ(ウォッチ。監視し続けること)していた。

 

なんの差なんだろうとずっと思っていたけど、そっか、エネルギーか。

そっかそっか。

 

 

……

 

いやエネルギーって何だよ! わけわかんねー!

 

結局、悪評もまた評なり、ということか…?