ウルトラマンとクリスマスおめでとう | ヤマダ・マサミ ART&WORK 検:ヤマダマサミ

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主に仕事に関わる、特撮、怪獣がらみのブログです。
ときどき、猫が登場します。

ウルトラマンとクリスマスおめでとう

1960年代の東京の中心は丸の内、銀座、日比谷でした。新橋、東京、日本橋、上野、浅草が周囲にあって、まさに、山の手の中の山の手と下町の中の下町が交差したこの地区に東京中の人が集まりました。いや、全国から東京へ来た人は銀座詣でが基本でしたよね。

ぼくは品川区の中延と言う下町に1歳から20年間暮らしたのと祖父が通っていた会社が新宿だったため、デパートへ行くとなると、渋谷、新宿、大井町、蒲田が多かったのですが、やはり銀座へ出る時は心構えが違ったように思い出します。

銀座はデパートの街であり、どんなものでも最新の品揃えの印象でした。例えば、小学校へ上がる際に身の回りのものを揃える時などは銀座でした。あと、食べ物ですよね。美味しい洋食とか。映画も大作の時はここ。要するに、気取ったヨソ行きの街。

そんな大人の街も歩行者天国以降、俗っぽくなったと言うか。

でも、銀座のランドマーク、服部時計店は健在ですね。ことし歩いてみたら銀座通り、案外昔のままの風情なんです。

特撮ファンの楽しみに、服部時計店の屋上の時計台を見上げて、ゴジラはあれより大きいなどとシルエットを思い浮かべる事があります。

ぼくのオタクとして最初の行動は40年前、日劇の「ゴジラ映画大全集」や劇場新作の「宇宙戦艦ヤマト」や「ルパン三世」の初日に徹夜して並んだあたりです。

憧れの朝日ソノラマに出入りしたり、高山さんや成田さんが展覧会をする会場も銀座でした。

いまでもぼくは絵は上手くありませんが、小学校へ上がる前に絵が描けなくて、近所の美大生に絵を習いました。その勉強用のスケッチブックが、銀座の月光荘と言う画材店の物です。良い物を買ってきてくれたんですね。

 

銀座には特撮ファンに馴染みのデパートがあります。

「ウルトラQ」の怪獣をいち早く展示した「春休み子供大会」が伝説となって怪獣ファンには知られる松屋です。

ペギラの実物を展示して、ぬりえコンテストなんかやっているんですね。

その縁で「ウルトラマン」の「小さな英雄」ではピグモンが現れたオモチャ売り場がまさに松屋で、「ウルトラセブン」では「アンドロイドゼロ指令」の決戦場(?)も松屋がロケ協力しています。

銀座のデパートが怪獣と馴染みが出来たのは、理由があります。

オモチャ問屋、オモチャ工場が浅草橋から浅草にかけて並び、さらに下町へ下請けが伸びています。

銀座と浅草は近いだけでなく繋がりがあります。つまり、オモチャの新作やテスト販売が、銀座、上野、浅草のデパートへ並んだのでした。

「ウルトラQ」の怪獣、初期600体ずつのテスト販売はコレクターには知られたところで、その際に発売された尻尾の動くガラモン(1期)は現在のレートで300万などとされているわけですが、その600と言う数字がやけにリアルで、例えば山の手線の有力なデパート、上野、東京、有楽町(銀座)、渋谷、新宿、池袋へ流せば、100体ずつに割り切れます。

そのようなわけで、高度成長期の子供たちは、オモチャ目当てにデパートが楽しみでした。こと、銀座のデパートはオモチャの殿堂として燦然と輝いていたのでした。

 

1966年の歳末のこと。親に新聞広告を見せてもらって、ぼくはがぜんこの特製のソノシートが欲しくなりました。親に言ってもいつになるか分かりません(うちは中華屋で共働きだった)。たぶん連れて行ってくれたのは祖父です。

「ウルトラマンとクリスマスおめでとう」と言う松屋でしか売ってないソノシートは、限定品、レアアイテムのニュアンスを幼少のぼくへ植え付けました。

単品で20円で、商品を買うとおまけになりました。なんか、ぺらぺらでみすぼらしい感じさえしますが、聞いてみるとビックリです。

ムラマツキャップが語りかけてくれます。

もちろん、小林昭二さんの声。テレビよりもやさしい声でした。

あいにく、データにしてアップする技術がないので、文字の再録をします。

 

「ウルトラマンとクリスマスおめでとう」

やあ、みなさん。クリスマスおめでとう。私は科学特捜隊のムラマツキャップです。

みなさん、今日はクリスマスプレゼントに何を頂いたかな? はっはっ。ニコニコ顔が見えるようですよ。

宇宙の平和を守るウルトラマンも、今日は、あの空のどこかで、楽しいクリスマスを送っていることでしょう。  

ほおら、よく見てごらんなさい。ちかちか瞬きするあの星の光。メリークリスマス! とウルトラマンがみなさんにご挨拶しているのかもしれませんよ。

 

宇宙怪獣モンスラーだな! ううむ、ベムラーも続いているのか。

怪獣どもが地球のクリスマスの邪魔をしに攻めてきたのか。怪獣なんかにびくびくする特捜隊ではないぞ。我々にはウルトラマンもついているんだ。

ウルトラマンのスペシウム光線には怪獣どもなんかひとったまりもないさ。

(かけ声、光線音)

おっ、やったぞ! ウルトラマン!

さすがにウルトラマンだ。

 

ほら、聞こえるでしょう。再び平和が蘇った地球上のあの国この国から、クリスマスを祝う可愛い歌声が、星の彼方まで広がっていきます。さあ、みなさん世界中のお友達と楽しくクリスマスの歌を歌いましょう。

(ジングルベル)

 

こんな内容です。

モンスラーってなんだ!は、お約束の突っ込みで。

とりあえず、今度の<モーレツ!>にプレーヤーを持っていきますのでみんなで聞きましょう。フォノシート、レコード、持ち込み歓迎です。

申し込み、木曜いっぱいです。出来れば夕方までに!

 

 

 

追記。

松屋の66年「春休み子供大会」のペギラのぬりえと、「ウルトラマンとクリスマスおめでとう」のジャケット(残念ながら音源は未収録)は「ウルトラマントレジャース」に収録されています。

 

 

 

【画像】

 

 

・松屋謹製の特製ソノシート「ウルトラマンとクリスマスおめでとう」とすごろく。同じ挿し絵を使っています。

 

 

・松屋の風景。カラー写真は「小さな英雄」から。マルサンの袋入りが並びます。

 

 

・66年3月4月の松屋の「春休み子供大会」。怪獣たち、講談社が特写して「少年マガジン」の表紙になりました。

 

 

・会場で、実物のペギラを前に、ぬりえ大会が行われました。デジタル変換でカラー化。やはり茶色く塗るんですね。

 

 

・「ウルトラマントレジャース」にそのぬりえが収録されています。