2024年初場所、私はまた優勝力士予想に成功し、相撲好き友達からほめられることとなった。これまで、
何度か優勝力士を当てているからである。
初場所12日目が終わった時点で、琴ノ若11勝1敗、照ノ富士、霧島、豊昇龍が12勝2敗であった。
13日目の朝、私は相撲好きな友達4人に「優勝は照ノ富士」とメールした。霧島、豊昇龍、琴ノ若の3人は
残り3日間に横綱に挑むことになるが、この3人は一度も照ノ富士に勝ったことがなかった。長く休場
していた照ノ富士には横綱の責任と意地がある。このことを考えれば、照ノ富士優勝を予想していた人も多数いた
ことだろう。私が照ノ富士優勝すると思ったのは、8日目の照ノ富士の相撲を見たときである。勢いがあった。この勢い
があるなら優勝すると思ったのである。
力学の法則は「力=重さ×早さ」ある。勢い=早さがあれば勝つ確率は高くなる。しかし、勢いだけあっても勝て
るわけではない。初めて優勝力士を当てたのは1992年7月水戸泉が平幕で優勝したときである。何日目かは
記憶にないが、水戸泉が相手を押し出す相撲にこれまでにない勢いがあった。単に非常な勢いでは説明でき
ない力強さだった。画面では水戸泉の背中を誰かが押しているように感じられた。その後、2000年3月、貴闘力
が幕尻優勝したときも、2020年1月の平幕の徳勝龍が優勝したときも、相撲に勢いがあったのは勿論だが、見え
ない何かが後ろから押しているという感だった。「相撲の神様」が押しているとしかいいようがなかった。
2020年7月、コロナのために、従来名古屋で開催の場所は国技館で行われた。また、4人用枡席が一人一枡
で売り出された。それまで一人で観戦するが故に2階席で見ていた私は、初めて枡席で観戦した。枡席は土俵がよく
見える。この場所は、幕下に陥落していた照ノ富士が幕尻で幕の内に戻ってきた場所である。土俵入りの際、土俵に
上がる照ノ富士の背中に光が宿っているように見えた。相撲の神様が照らしている、と感じ、この場所は照ノ富士が
優勝する、と私は確信した。この場所の優勝が照ノ富士の快進撃の始まりだった。ついには横綱に昇りつめたわけである。
2020年7月の土俵入りの際の照ノ富士は、幕尻ゆえに土俵に上がった最後の力士である。後ろに続く力士はいない。
背中全体にライトが行き渡るのは当然である。しかし、いつも幕尻が優勝するわけではない。相撲好きな私としては
「相撲の神様」はその場所優勝することになる力士に光を当て、取り組み中、後押しして助け、優勝力士を教えていると
思いたい。私にとって相撲観戦は取り組みを見るだけでなく、「相撲の神様」を探すことも、相撲を見る楽しみの一つに
なっているのである。