この半年の読書で一番面白かったのは橘玲著「読まなくてもいい本の読書案内」である。この本は、この50年に出現した理論、あるいは以前からあって研究が進んだ事柄を紹介している。この本にある「複雑系」、「べき乗則」、「ゲーム理論」、「進化生物学」などは、この頃の大学生なら、教養科目で学んでいる内容ではないだろうか。大学に入って一番楽しかったのは教養科目の履修だった。高校の延長ともいうべき科目を大学の専攻にした私のような学生にとって、教養科目が大学に入ったことを実感させてくれたからである。大学卒業後、新聞や雑誌の記事、話題の本などで、カオス理論、利己的遺伝子、ロングテール、行動が及ぼす経済への影響といったことに触れてはいた。が、体系的に知っているわけではなかった。この本によって、頭が整理された感じがしている。今年は大学卒業の50年にあたる。そういう年に、この本を読んだめぐりあわせに感謝であった。

 

 コロナが5類になったことで、長く会っていなかった友達と会食するようになり、旅行にも行き始めた。3月に妹と温泉に浸かる伊豆一泊旅行、バス日帰り旅で友達と伊豆に行き、4月に2泊3日で丹後半島・天橋立ツアーに参加した。伊根の舟屋を見たこと、天橋立を歩いたことに大満足であった。5月は大相撲枡席観戦をし、高校の同級生と早稲田から三ノ輪橋までの都営荒川線シルバーバス旅を行った。ゆっくり走る都電から、一度も訪れたことのない場所を見て、次はここに来てみよう、行ってみようと計画が広がっている。6月は久しぶりの海外旅行に繰り出した。3年8ヶ月ぶりの海外旅行であること、72歳になっていることで不安だったが、無事、南イタリア・シチリア観光を終え帰宅した。ついでながら、旅行記は次回ブログに掲載の予定である。

 

 飛行機の乗り換えとなったイスタンブール空港は2018年竣工である。空港のトイレの男女の区別は、男は人の形、女はスカート姿の形で、ともに色は黒で描かれていた。男は青、女は赤という押しつけをしない意図で黒色なのだという。ならば女=スカートはどうなのかと思ってしまう。そういう思いを抱いた私だが、女孫の二歳の誕生日に「メルちゃん人形」を贈った。箱から人形を取り出した女孫は、すぐ箱内にあったブラシで髪をとかし、哺乳瓶を人形の口にあてがった。二歳の男児に人形をプレゼントしたら、髪をとかし、哺乳瓶をくわえさせるだろうかという疑問が浮かんだ。男の子はしない、うちの息子はした、という答えの他に「男の子は人形のパンツをおろす」があった。そうかもしれないと思わせるものがある。この半年で一番笑ったどきだった。