第5日目はバスとケーブルカーに乗る一日である。

イタリアのテーシュを経由して、ケーブルカーに乗るためにバスでポンタレダントレープに向かった。回転式ロープウェイに乗り「国境越えとモンブラン観光」をする。

 

ポンタントレープに近づくと頂上が雲に覆われた標高4890mのモンブランが見えてきた。雲で覆われているため、見える部分は大きな岩山である。バスに3時間30分乗車後ケーブルカー乗り場に到着した。2015年に完成したというだけあって、ガラス多用の未来都市のような入口である。

 

 標高1300mのポンタレダントロープからのケーブルカーは360度回転する。雪に覆われた山々をパノラマ観賞しているうち、あっとう間に標高3466mのエルブロイ展望台に到着した。ここから、4人乗りの籠が3連ずつ進むゴンドラに乗り替え、フランス側の標高3842mのエギーユ・デュ・ミディ展望に向かう。アルプス越えである。ここで標高4208mのグランジュラスを始めとする雪に覆われた4000m級のモンブラン山系を見渡すこととなった。見下ろすと大氷河である。雪渓を歩く人たちの列が長い。アルプス満喫の午後となった。

 

 ミディ展望台からはゴンドラを乗り継ぎ、短時間でフランスのシャモニーに到着した。スイス旅行中、山の中にも森の中にも送電柱が見えていた。せっかくの美しい森の中にも電柱か、と思ったものだが、4000mの山頂に短時間で上ることができ、標高差の激しい街と街を結ぶ鉄道が可能なのも、これら電信柱のおかげなのであった。

 

 バスに乗り換え、グリンデンバルトに着いたのは約4時間後のことである。長い、長いバス乗車であった。

 サンモリッツはブランド店も多く国際リゾート地の印象である。ツェルマットは、鎌倉と感じたように都市の郊外に位置する観光の基地とでもいえばいいだろうか。グリンデンワルトは一番鄙びているかもしれない。高い建物のない街であった。

 

 これまでサンモリッツとツェルマットの商店街で、大きな鉢に植え込まれたエーデルワイスを見てきた。繊毛で覆われた薄い灰色の花弁状のものの中に、とても小さな黄色の星状のモノがある。華やかさから遠い花に感じられた。グリンデンバルトで見たエーデルワイスが一番「場を得ている」ように感じられたのは、素朴な街だからだろうか。

 

 ホテルの私の部屋の窓一面に見えたのは大きな岩の山であった。ツェルマットのホテルの窓からのマッタ―ホーンは遠景であったが、この山は近景である。細い滝の水の流れも見えるほどだった。

 

 昨日までの全日程が天気に恵まれていた。最終日の明日はどうだろうか。このツアーは自称、他称の晴れ女、晴れ男ばかりであった。天気運を彼らにまかせ、翌日のハイキングに備えて早寝となった。(続く)