完全に彼女以外の「誰か」の存在を感じずには居られない。


彼女のゾッとする程の豹変ぶりに僕は肩の痛みも忘れ、

抵抗する彼女を必死に抱きかかえ、

そのままバスルームへと引きずっていった。


その間も彼女の叫び声のような罵倒は続いている。


服のままの彼女を抑え付けながら、僕は勢いよく

彼女の頭に冷水のシャワーを浴びせた。



『この体から出ていけっ!』

僕はずぶ濡れになりながら、必死に般若心経を唱え続けた。



彼女は僕を汚く罵(ののし)りながら激しく抵抗したが

徐々に大人しくなるとゆっくりと体を丸め、小さく震えだした。




『頼むからしっかりしてくれよ‥』

僕は溢れ出す涙も拭わず、バスタオルで彼女の体を拭き、

なんとか服を着替えさせ、彼女に毛布と布団を掛けて寝かしつけた。




その夜、さすがに僕は眠る気にはなれず

またいつ彼女が豹変するかもわからないので

彼女の横に座り込み、彼女の寝息を聞きながら、じっと朝が来るのを待った。






翌朝、僕は彼女の布団の上で目を覚ました。





「しまった!」と思い、僕が飛び起きると

彼女は何食わぬ顔で朝ご飯を作っていた。





豆鉄砲をくらったように立ち尽くす僕に彼女は



『良く寝れた?酔っ払って床で寝たら風邪ひくんよ。』

と笑うと、何事も無かったかのように僕の目の前に

朝食の乗った皿を差し出した。




『昨夜の事‥何も覚えてないん?』


僕の問いかけに彼女は料理の手を止めてその場に固まった。



『もしかして‥やっぱりなんかした?‥わたし‥?』



申し訳なさそうな表情を浮かべながら振り返る

彼女に僕は思わず笑顔をこぼした。



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