ジュンさんのブログで「べニスに死す」が紹介されてて触発され。
耽美・退廃、という言葉は今でもあるし、そういった世界はいつでも一部の種族を虜にしてやまない。私にとって耽美・退廃をそのまま映像化して見せてくれた創作者といえばやはりルキノ・ヴィスコンティを最高峰に存在する一人でありましょう。
貴族趣味というのはやはり下々の人間がでっち上げようとしてもお里が知れる、という恐ろしさがあって難しいものだと思うのですよね。ヴィスコンティ監督は伯爵であるにも関わらず最初は「郵便配達は二度ベルを鳴らす」「揺れる大地」などむしろ貧しい人々を描いた映画で名をあげたわけですが(という経歴ですね、ということでしか知らないので~)やはり私にはヴィスコンティと言えば「山猫」そしてドイツ三部作と言われる「地獄に墜ちた勇者ども」「ベニスに死す」「ルードヴィヒ」であり「家族の肖像」なのである。

特にドイツ三部作は垂涎の作品なのだけれど、これぞ退廃耽美。そういう世界が好きというものならばこれらは絶対に観なきゃいけないでしょう。
「地獄落ちた勇者ども」ではヴィスコンティが愛した男性俳優ヘルムート・バーガー演じるマルティンは女装姿で踊り、幼い少女への性的暴行などが描かれ、ナチの兵士たちの酔いどれた一夜の様子などが危険な美学として表現される。

「ベニスに死す」はジュンさんが書かれておられるからそちらを是非読んでいただきたいけど、老作曲家アッシェンバッハがイタリア・ベニスで出会った美しい少年タジオに心を奪われ街を彷徨う。天使のような純粋な美しさを持つ少年の若さと作曲家アッシェンバッハの老醜が悲しく対比されていく。

「ルードヴィヒ」またもヴィスコンィの恋人でもあるヘルムートがその退廃的美を演じる。ヘルムートってほんとに半分腐りかけてるような美しさがあってたまらないんだよね。魅力というのは単に造作だけではないのだというのが彼を見てると判る。あの雰囲気、佇まい、香り、のようなもの。ヴィスコンティは彼へのプレゼントに素肌につけるものだけを贈った、らしい。
でも私、この映画で感動だったのはヘルムートじゃなくてルードヴィヒが愛したエリザベートを演じたロミー・シュナイダーのほう。あの愛らしいといっていい笑顔にばったりやられてしまいましたわ。あんな綺麗な女優って他にいない!と感激した次第です。なのでもちろんルードヴィヒはゲイちゃんで退廃しまくってたんですけど、私はこの時ばかりはエリザベートに夢中でしたね。ははっ。



「地獄に堕ちた勇者ども」ヘルムート・バーガー
がお記

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「ベニスに死す」
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「ルードヴィヒ」
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