ストーマを受け入れるということ | 今日もいちにち生きました

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2016年、直腸癌が再発。
治療の結果、一生の障害を負うことになりました。
2022年胃がん発覚。2023年咽頭がん発覚
3つの癌を抱える今。
以前の私とは生き方が変わりました。
がんと闘い、生き抜くことができた日々。
今日という日をつづります。

私が手術を受けること
それはストーマになることを意味します。

私の再発が確定したのは去年の7月。
同時にストーマ宣告を受けました。

初発時の手術が肛門温存手術でしたから
局所再発で人工肛門になることは道理です。

けれどもストーマ。

受け入れられますか?
私には無理でした。

肛門がなくなること。
生涯、自然排便ができなくなること。

踏み込めない世界だと思いました。

体がどんどん人工物になっていく。
そこまで感じました。

主治医に抵抗しました。

がんとの共存の道はないか
抗がん剤で抑え続ける道はないか。

主治医の答えは。

「糖尿病や高血圧のように病変を抱えたまま
 コントロールすることで生きていくことは可能だ。
 しかし、それは完治の可能性を否定することになる。

 すぐに手術というわけでもない。
 治療を進めながらじっくりと判断していけばいいと思う」

玉虫色の答えでした。

しかし、その後の外来でさらにショッキングなことを告げられます。

「前立腺に浸潤している可能性がある。
 これを残せばがんはやがて前立線や尿道まで襲うだろう。
 方法は、骨盤内全摘手術。
 その場合人工肛門に加え人工膀胱を増設する。
 つまりダブルストーマとなるということだ。」

この時点で私はセカンドオピニオンに走っています。

聞いたのは二人の外科医

共通した見解は
「完治の可能性がある。そのためにはダブルストーマやむなし」

私には3つの選択肢が見えていました
1) 手術を回避しがんとの共存を図る
2) 前立腺を守りシングルストーマに止める
3) 骨盤内全摘によりダブルストーマを受け入れる

現代医療のセオリーから言えば選択すべきは
3)ダブルストーマです。

しかしそれでは、その後のQOL、合併症のリスク、再再発が起きた場合の対処
など総合的に考えて、ベストな選択だとは思えません。
しかも手術に後戻りはありません。


いろいろな考えに逡巡しながらも術前抗がん剤投与が始まりました。
抗がん剤投与中は少なくともがんの増悪は抑えられる。

化学療法は手術のことを考える猶予期間でもありました。

ストーマ・ストーマ・ストーマ

日々そのことが頭から離れません。

受け入れか
回避か。

ストーマ生活がどういうものかを調べました。

日本オストメイト協会にも入会し
患者会にも出席しました。

そうした情報からストーマ生活を自分なりにシミュレーション
していったわけです。

ストーマのブロ友さんにもいろいろ質問を送ったりしましたね。
これはお礼を申し上げなくてはなりません。

そのうちストーマが異次元のものと感じられなくなってきました。
これだけ大勢の人がオストメイトとしてたくましく生きている。
自分にできないこともないはずだ。

加えて私がすでに抱えている後遺症の問題がありました。
肛門温存手術をしたことによる排泄障害です。

術後2年経っても劇的な改善は見られず、
未だに紙おむつ生活です。

寝ている間の便漏れもあります。
化学療法中の今は副作用の下痢が来ますが
下痢は排泄障害者にとって大敵です。

漏れをせき止めることができません。

もしストーマになればこうしたことからは解放されます。

現在の障害からストーマへの移行。

つまり障害の質が変わるだけなんじゃないかと
思ったわけです。

これはストーマ受け入れの大きな説得材料でした。

すでにくたびれてしまった肛門です。
それならがんにくれてやってもいいじゃないか。

受け入れよう。
腹をくくりました。

次の問題はWストーマ。
一つならまだしも二つとなれば事情が変わってきます。

ダブルではなくシングルで行けないか
私の模索はこの一点に絞られることになりました。

再びセカオピに走ります。

2番目の病院でシングルでいけるかもしれない
との見立てを頂いた時
見つけた!と思いました。

しかもその外科部長は私の元の病院出身者。
私の置かれた立場やこれまでの治療歴を瞬時に理解してくれました。

こうして今に至ります。

再発宣告から9ヶ月
それはあがきの日々でもありました。

ストーマ。

この言葉が頭にこだまし、不安をかきたててくれました。

けれど、受け入れた今は気持ちも晴れやかです。

もちろん不安はあるけれど
9ヶ月前の宣告時に比べればはるかに軽い。

手術日もほぼ確定しました。

再発宣告から1年後の執刀です。

そこから先は生涯に渡るストーマ人生が待っています。

そんな人生でも充実させることはできるはず。

受け入れること。

受容の心。


失うものは仕方がない。
失った分だけ何かを手にいれればいい。
それは可能だと思います。

私の肛門がんにあげます。
けれども人生そのものをあげるわけじゃない。

それどころか、以前にも増して充実したものにしたい。

そう思います。


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