1989年発表。
単行本1冊、280ページ
読んだ期間:4日
[あらすじ]
元宇宙飛行士のリチャード・ベデカーは、1971年の月面着陸から16年を経た今、初老の域に達し、自分の今までの人生を振り返る。
愛する妻との離婚、息子とは疎遠となり、仕事にも身が入らない。
リチャードはかつて共に月へと旅立った仲間を訪れる。
トムは宗教に目覚め、デイヴは政治家へと転身。
そしてデイヴの飛行機事故での不意の死の調査を経て、残りの人生への道筋を見極める…
本書はSF好きならだれでも知ってるアメリカの作家、ダン・シモンズの「ただの小説」です。
シモンズと言えば、SFだけじゃなく、ホラー、アクションと様々なジャンルの小説を見事なレベルで書き上げるマルチ作家ですが、本書は作者も言うように「ただの小説」です。
「ハイペリオン」のようなSFや「カーリーの歌」のようなホラーや「ダーウィンの剃刀」のようなアクションを求めると痛い事になります。
わたしも買った後にこの事に気づいて「しまった」と思い、読み始めてからも「やっぱり、しまった」と思いました。
本書には手に汗握るアクションや怒涛の展開や意外な事実などは皆無で、ひたすらに初老の男の人生を、現在と過去の回想を細かく入れ替えながら語る静かな小説です。
ただ、だからと言って読むのが苦痛になるほどの退屈さはなく、なんとなくラストまで読んでしまう、漠然とした魅力があります。
わたしが特に気になったのは、デイヴの飛行機事故の真実。
若い妻は身重の身であり、プロのパイロットで、抜群の安定性を持つT-38練習機を操縦していながらなぜ事故がおきてしまったのか?
デイヴ自身が不治の病だった事から自殺の線も考えられるものの、実はそれとは全く違う意外な事実が判明しますが、これが愛犬家なら胸を鷲づかみにされる事請け合いの秘話。
ここはかなり来ました。
ワンコ思い出して…
ラストでは、夢か幻か分からない不思議な展開が用意され、読んでる内に紙面から活字が浮き上がり、文字を構成する線がフワフワと緩やかにほぐれて宙に浮かび出し、突如、光速で元に戻るような浮揚感と現実感を味わう事が出来る、、、かも(?)。
この手の小説を著者は他には書いてないと思いますんで、それほどすすんで書かれてはいないと思います(商業的にも微妙だったんではないか)。
なのである意味貴重な一冊なので、時間が余ってる人は読んでみてください。
個人的には、人生を振り返る年齢にならないとこの味は分からないかなと思います。
(もうちょっと先じゃないと無理かな(^^;)

単行本1冊、280ページ
読んだ期間:4日
[あらすじ]
元宇宙飛行士のリチャード・ベデカーは、1971年の月面着陸から16年を経た今、初老の域に達し、自分の今までの人生を振り返る。
愛する妻との離婚、息子とは疎遠となり、仕事にも身が入らない。
リチャードはかつて共に月へと旅立った仲間を訪れる。
トムは宗教に目覚め、デイヴは政治家へと転身。
そしてデイヴの飛行機事故での不意の死の調査を経て、残りの人生への道筋を見極める…
本書はSF好きならだれでも知ってるアメリカの作家、ダン・シモンズの「ただの小説」です。
シモンズと言えば、SFだけじゃなく、ホラー、アクションと様々なジャンルの小説を見事なレベルで書き上げるマルチ作家ですが、本書は作者も言うように「ただの小説」です。
「ハイペリオン」のようなSFや「カーリーの歌」のようなホラーや「ダーウィンの剃刀」のようなアクションを求めると痛い事になります。
わたしも買った後にこの事に気づいて「しまった」と思い、読み始めてからも「やっぱり、しまった」と思いました。
本書には手に汗握るアクションや怒涛の展開や意外な事実などは皆無で、ひたすらに初老の男の人生を、現在と過去の回想を細かく入れ替えながら語る静かな小説です。
ただ、だからと言って読むのが苦痛になるほどの退屈さはなく、なんとなくラストまで読んでしまう、漠然とした魅力があります。
わたしが特に気になったのは、デイヴの飛行機事故の真実。
若い妻は身重の身であり、プロのパイロットで、抜群の安定性を持つT-38練習機を操縦していながらなぜ事故がおきてしまったのか?
デイヴ自身が不治の病だった事から自殺の線も考えられるものの、実はそれとは全く違う意外な事実が判明しますが、これが愛犬家なら胸を鷲づかみにされる事請け合いの秘話。
ここはかなり来ました。
ワンコ思い出して…
ラストでは、夢か幻か分からない不思議な展開が用意され、読んでる内に紙面から活字が浮き上がり、文字を構成する線がフワフワと緩やかにほぐれて宙に浮かび出し、突如、光速で元に戻るような浮揚感と現実感を味わう事が出来る、、、かも(?)。
この手の小説を著者は他には書いてないと思いますんで、それほどすすんで書かれてはいないと思います(商業的にも微妙だったんではないか)。
なのである意味貴重な一冊なので、時間が余ってる人は読んでみてください。
個人的には、人生を振り返る年齢にならないとこの味は分からないかなと思います。
(もうちょっと先じゃないと無理かな(^^;)
