「聞け岩本。最高の提案がある」
「もうええって。どうせ碌でもない内容やろ」
「お前仕事辞めろ」
「ほらな」



「さっき大介のケチャップまみれの手で顔面を撫でくり回された時に、ふと思い付いたんだ。 あ、コレ岩本の仕事だなって」
「どうでもええから早よ飯食えや」



「そうすれば俺は気兼ねなく仕事に専念できる上、大介も寂しい思いをしない。一石二鳥だと思わないか? あ、まだケチャップの匂いする」
「ご馳走様。じゃあ俺仕事行くから、皿洗っとけよ」


 ほぼ入れ違いで仕事に行くので、家事しないマンだったアベも今では家事をせざるを得ない状況に。それに加え、鬼ハード育児。

 そうだ。京都行こう。みたいなノリで、岩本。仕事辞めよう。と提案するが、当然一蹴される。
 岩本は心配そうに…もせず、チラッと一目見たり…もせず、颯爽と仕事へ向かった。



「……どうしようか大介」
「ろうちようからいすけ〜」
「ね。どうしようかね」



「あ、お腹空いてないか?お菓子食べるか?」
「む〜」
「要らない?なら、遊ぶか?」
「む〜」
「そのむ〜は何?俺炭治郎じゃないからむ〜では意思疎通出来ないんだよ禰󠄀豆介」


 大介、完全無視。
 そのままふらふら〜っと外に出たかと思いきや、わざわざ着替えたのがこの格好。


 いや既視感。



 もうどう見てもコイツの悪影響。
 帰って来たら家族会議するとして、取り敢えずアベは腹が減ったので、大介の分も纏めてグリルドチーズを作った。



「あー疲れた。どっこいせ。大介〜ご飯だぞ〜!」


 コンロが壊れて火が噴き出しても余裕のシカト。ズボラとかいうレベルじゃねえ。
 その後も大介とダラダラして夜になり、スヤァ……( ˘ω˘ )と眠った時刻に岩本が帰宅した。

 あー疲れた。風呂入ろ。と脱衣所開けたらコレ。


「あいつ絶対明日ジャーマンスープレックス」


 けどまぁ別にそこまで疲れてもなかったし岩本は洗濯物かき集めて洗濯機を回し、う◯こを処理してやっと風呂。
 翌日は休みだったので朝からプランターのアップグレード。


「いわもとなにしてんの〜?」
「ん〜?改造して強くしてるんや。危ないから中入っとき」
「つよくなう」
「そうそう。つよくなう」


 その後起床したアベは仕事へ。岩本は大介の世話してから筋トレ。大介は当然のように付いてくる。


「いわもと〜〜」
「これが父性……か」



「アー ベー」
「だからそれ何やねん。ガハハハ」
「ガハハハ〜!」


 ーーーそしてプレイ時間は過ぎ、遂に大介の誕生日がやってきた。


 ギリギリまで時間合わせようとしたけど、岩本が仕事の時間を迎えてしまう。アベが大急ぎでケーキの前に大介を連れて行くが、もう無理。間に合わない。歌いながら行くわ。


「ハッピーバースデートゥーユー」



「ハッピーバースデートゥーユー」チラッ



「ハッピーバースデーディア大介〜〜」
「はい大介〜。蝋燭フーしような」
「あいあいお〜」



「ハッピーバースデートゥーユー。帰り何か買って来るわ〜」
「はいフー!」
「フー!」


 おめでとう大介よ。そして三十路男性達、よくやった。第一関門は突破だ。次は魔の小学生期。……頑張れ。





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