はじめに、ドヴォルザークの交響曲、「新世界」の弟分にあたるのが、弦楽四重奏曲「アメリカ」です。このさくひんをしっかりしっかり聴き込んでほしいもの。もう。クラッシック音楽の道を究める第一歩にするために。おそらく、ドヴォルザークの新世界は、日本国民の70%以上の人が、熟知していると思われます。中央アジアで発生したおそらくペンタトニックであろう楽曲がシルクロードを西に進み、イラン、トルコを経て中央ヨーロッパのボヘミヤに根を張り、一方それは、東に進み、モンゴル、中国、韓国を経て大和の国に達したと言われています。それは、山あいでの馬子唄として立派な日本音楽文化を形成しているではありませんか。ところが新世界交響曲のエッセンスというべき「アメリカ」しっかり聴いた日本人は、1000人に満たないと思います。ここで、この「アメリカ」という4楽章からなる弦楽四重奏曲を全楽章,鑑賞されて、スラヴ音楽に親しんでくだされば、幸いです。これにほとんど知られていないドヴォルザークのオペラ「ルサルカ」を加え自分のものにすれば、東京大学教養学部で特別講義が開けると思います。ドヴォルザーク研究というタイトルで。 それでは第一楽章を聴いてみましょう

ドヴォルザーク弦楽四重奏曲:アメリカ1楽章

このドヴォルザークの弦楽四重奏曲「アメリカ」は、精神性、思想性、いわゆるインテリジェンス溢れるベートーヴェンや、バルトークの弦楽四重奏曲とは根本的に違っています。

                             ボヘミアの少女

主題や動機をとことん複雑に絡ませ展開して行くという方向ではなく、時には哀愁に満ちた旋律を、時には、明るくたくましい音楽を体で感じることを主目的としています。従って、めくるめくメロディーが、現れては過ぎていきます。

 

そういった意味では、新世界交響曲にそっくりで、いやがおうでも、たっぷりとスラヴの雰囲気に浸かってしまうことになるでしょう。この1楽章は、新世界の1楽章に対応していることは言うまでもありません。