こんにちは、ギタリストの中川雄です。
今回は「一日の練習メニュー」について、お話しします。
楽器は正しい方法で練習しなければ、中々上達しません。
けれど、どのくらい練習したらいいのでしょうか?
例えばプロを目指すなら、何時間も取り組まなければいけない……とはよく聞きますが、しかし、仕事があると話は別ですよね。
そこで、愛好家の方にとっての「一日の練習メニュー」について、掘り下げてみましょう。
例えばギターを手にした最初の頃、「よし、これから毎日一時間練習しよう!」と気合をいれます。
けれど、「毎日一時間」というのはハードルがありますよね。
モチベーションを高くするのは大切ですが、途中で挫折したら意味がありません。
まず、一つの目安として25分と設定しておくのがおススメ。
どんなに忙しくても25分くらいなら、練習する時間はあると思います。
逆に言えば毎日25分はギターに触る習慣をつけましょう。
何故25分なのか?と言うと、ポモドーロ法というタスク・マネジメントが根拠にあります。
最初のステップはここまで。
この「練習する習慣」をつけておくことが大切です。
次に「どのような練習をするのか?」
この25分の内訳(うちわけ)を考えてみます。
4段階に分けると良いでしょう。
僕のレッスンでは、最初に15分はフィンガーエクササイズをする時間を設けます。
必ず15分ピッタリです。
気が付いた生徒さんはいますか?
さて、問題は
「どんなエクササイズをするのか?」
「いつ、その練習をするのか?」
「なぜ、その練習をするのか?」
「その練習はあなたのやりたい事と関連しているか?」
です。
このブログは僕から一方的にお話しするだけなので、後半の2つは省略します。
何故なら生徒さんによって、必要なメニューが違う為です。
ですので、上の2つ「どんなエクササイズをするのか?」「いつ、その練習をするのか?」についてお話ししますね。
ギターの技術は大きく分けて3つ。
①左手の技術
②右手の技術
③左右のシンクロ
大ざっぱですが、このように分けることができます。
まず「左手の技術」についてですが、一口に言っても、
フレットの押さえ方なのか?
スラーのやり方なのか?
指の独立なのか?
あるいは脱力なのか?
ほんと~~~に、千差万別(せんさばんべつ)です。
ただ、皆さんが知りたがっているであろう?エクササイズって
「どうすれば、指が動くようになるのか?」
だと思います。
ですので、左手のクロマチック練習をご紹介しましょう。
●左手は中指と薬指の分離が大切
まず、「なぜクロマチック練習をするのか?」という理由ですが、私たちが日常生活を送る上で、Fコードを押さえる動きってしないですよね?
普段使わない指の動きに慣れる為に、基礎練習が大切。
……というのはよく聞くアドバイスですが、もう少し言及すると「神経の支配領域」に関係あります。
専門用語は置いておいて
ざっくばらんなイラストがこちらです。
3つの支配領域があります。
ここで注目して頂きたいのは、中指と薬指が丁度、境目(さかいめ)になっています。
例えば、1弦の4567フレットに人中薬小と置いてみましょう。
その時、中指と薬指はしっかりと開いていますか?
中指を動かすと薬指がつられたり……
あるいはフレットの真横に押さえられていなかったりしませんか?
この「連動して動く」というのが、中々に厄介です。
例えば、セーハは押さえられるけれど、Fコードは上手く押さえられない……という場合、
「連動して動く」ことが、あなたの上達を邪魔しています。
●具体的なエクササイズ
さて、次に具体的な練習内容です。下の画像をご覧ください。
Ex) 下のエクササイズをやってみましょう。
最もオーソドックスなクロマチック練習になります。
この時に留意(りゅうい)するポイントは三つ。
・各指はフレットの真横に
・前の指はフレットから離す (例えば中指を押さえた時、人差し指は離す)
・隣の指と連動しないように (例えば人差し指を離した後、1フレットから動かないようにする)
この三点に注意しながら、ゆっくりやってみましょう。
簡単なように見えますが……注意ポイントを全てクリアしながら練習するのは意外と難しいです。
さて、上は1234(人中薬指)のパターンでしたが、動かし方を変えて見ましょう。
下記の表をご覧ください。
各指から始まるパターンを一覧にしました。全部で24通りあります。
例えば「今日は黄色のパターンを5分やろう」でOK
一日インターバルを空けて、一週間かけて一周します。
これを一ヶ月続けると、左指がラクになりますよ。
いかがでしょう?これは左手のエクササイズのほんの一例ですが、ご参考になればと思います。
次に右手の練習ですが、これは僕のコラムに記載しております。
上記のアルペジオを1日1つやってみてください。
それに慣れたら、ジュリアーニの『右手の為の120のエクササイズ』を練習しましょう。
基本的に1日1つ。1週間で7つのパターンを完成させます。
●左右のシンクロ
ここまでは左手と右手を鍛えました。
次に左右のシンクロです。
右手の動きと左手の動きを一致させるのですが、
この練習の目的は「弾(はじく)く弦を間違えないこと」にあります。
というのも「あ、3弦弾いたつもりが間違って4弦弾いてた」という経験は誰でもあると思います。
それは左右のシンクロがポイントになります。
これも紹介しだしたらキリが無いのですが……三つのエクササイズを掲載します。
Ex1) ライトハンド・シンクロ
これはクロマチック練習を変化させたパターンです。
6弦の1フレット、5弦の2フレット……という風に、階段をのぼったり、降りたりするようにフレットを移動します。
この時の右手がとても重要で、im(人差し指と中指)の交互で弾きます。
間違って人差し指を2回使わないように、
また5弦を弾いたつもりが間違って4弦を鳴らさないように、
途中で止まってもOK。
最初の内は、右手と左手をしっかり目視(もくし)しながら正確に練習しましょう。
Ex2) ステップ・クロマチック
つぎに「ステップ・クロマチック」というエクササイズです。
下の図をご覧ください。
これも「左右の一致」を目的としたものです。
左指がタップダンスを踊るように移動するので、「ステップ・クロマチック」と言います。
左指の動かし方ですが、1小節目は人中。2小節目は人薬となります。
これも右手はim(人差し指と中指)の交互となります。
では次に、もう少し難しくしてみましょう。
本当に不規則なパターンとなりましたね。
文字通り、フレットボードの上をステップします。
いかがでしょうか?
まとめると
①左手の技術
②右手の技術
③左右のシンクロ
===============
計15分
+曲の練習10分
===============
合計25分。
となります。
テクニックだけにフォーカスを当てると、今回ご紹介した一例を参考頂ければと思います。
クラシックギターをディアンジェロ・シシリア氏に師事。ジュディカエル・ぺロワ、ピライ・ヴァカのマスタークラスを受講。第8回 Giussepe・Ratiti国際音楽コンクールギター部門第4位(イタリア)。またクラシックだけではなくPops,Bules,Bossanova,Rockなど幅広いジャンルを展開し、ライブハウスやイベント演奏、映画音楽オーディションのサポートなど幅広く活動する。国際芸術連盟所属ギタリスト。日本ジュニアギター教育協会専門家会員。宝塚アーティスト協会アーティスト会員。アルハンブラ・ギター教室オーナー。ギターアンサンブル『Moderate』講師。アピア文化サロン講師。