こんにちは、院長の“てん”です。

 

前回まで栄養素のことをたくさんお話ししましたが、エネルギーを効率よく作り出すためには、ミトコンドリアの中でクエン酸回路と電子伝達系を使ってコンスタントにATPが作られる必要があることがお分かりいただけましたでしょうか。

 

ということは、酸素が豊富にないことにはATPをたくさん作ることができないということです。体中の細胞に酸素が必要なわけですが、その酸素はどうやって運ばれるかというと、血液で運ばれるわけですね。そして、いくら血流が良くても、その血液が貧血であったら十分な酸素が運べません。血液検査で「貧血ぎみ」というのを放っておいている方も結構いらっしゃいますが、貧血を軽く考えてはいけません。鉄が足りなくて、貧血で、酸素が十分に運べない、ということは、エネルギーが十分に作れないということです。冷える、だるい、というのも当たり前です。

 

前回もお話ししましたが、ビタミンB群、鉄、マグネシウムはエネルギーを作り出すためには不可欠です。クリニックでは初診のときに血液検査をしますが、特に女性の場合は貧血の方、ビタミンB群が足りていない方がたくさんいらっしゃいますので、漢方薬とともに、鉄やビタミンB群のサプリメントをお勧めすることもあります。

 

それから、グルコースが細胞内に取り込まれるためには、インスリンとGLUT4というものが必要ですが、インスリンが分泌されてもこのGLUT4の働きが悪いとグルコースが細胞内に取り込まれません。この働きを高めるのが運動です。

 

また、効率よくエネルギーを生み出すクエン酸回路や電子伝達系があるのは細胞内のミトコンドリアですが、この数を増やすのは有酸素運動です。また、ストレッチ運動は、ミトコンドリアの機能を高めると言われています。

 

そして、身体の中でミトコンドリアが多く存在するのは肝臓と筋肉。したがって、筋トレで筋肉量を増やすことによって、エネルギーをよりたくさん生み出すことができるようになります。

 

冷えを解消するためには、漢方薬を飲むだけではなく、食事に気を付け、適度な運動をこまめにすることが大事である、ということの理由は、こういうところにあります。

こんにちは、院長の“てん”です。

 

エネルギー代謝を向上させるために欠かせない食べ物とは、グルコースがミトコンドリア内でアセチルCoAに変わる際に必要な、ビタミンB1・B2・B3(ナイアシン)・B5(パントテン酸)を多く含むものです。

 

また、糖質・脂肪酸ともにクエン酸回路や電子伝達系統で必須なマグネシウムと鉄分を多く含む食べ物も欠かせません。

 

運動など大量のエネルギーを必要とする時には、グルコースを確保する他の経路があります。筋肉に蓄積されたグリコーゲンという糖の貯蔵をグルコースに戻す反応です。その際に乳酸という、筋肉痛や肩コリの原因になる物質が発生しやすくなります。この時にビタミンB群(特にナイアシン)を補給すると、乳酸がピルビン酸へと変わり、再度エネルギーへと使われるようになるので、筋肉の痛みが軽減されて楽になります。

 

これらのビタミンやミネラルをしっかり摂るには、バランスのとれた食事を摂ることが基本ですが、患者さんによってはサプリメントをお勧めする場合があります。ただ、サプリメントに抵抗があって、食事ではダメなんですか?と質問されるかたもいらっしゃいます。既にビタミン・ミネラルが不足していて症状が出ている場合には、食事だけではなかなか追いつかないのが現状です。現実問題として、だるい、疲れやすい、という症状が出ている状態だと、バランスのとれた食事をしっかり作って食べる、ということ自体がなかなか大変だと思われます。食事を改善することはもちろん大事ですから、それをやる必要はあるのですが、冷えが強い、だるい、などの症状がある間はサプリメントを併用されることをお勧めします。

こんにちは、院長の“てん”です。

 

前回は糖質のエネルギー代謝についてお話ししました。

今回はタンパク質、脂質のエネルギー代謝についてお話しします。

 

脂肪酸が材料の場合

脂肪酸とは脂質の構成成分のひとつです。脂肪酸の場合は、直接ミトコンドリア内に入り、アセチルCoAとなってクエン酸回路へと入っていきます。

 

脂肪酸が材料の場合にできるATPの数は、脂肪酸の炭素数によって異なります。例えば、炭素数が16の脂肪酸であるパルミチン酸の場合は、クエン酸回路と電子伝達系でATPは129個もできます。グルコースの場合は36個でしたから、脂肪酸がとても高エネルギーであることがわかります。

 

タンパク質が材料の場合

タンパク質は、筋肉・骨・毛髪・ホルモン・酵素など、身体の主成分となる栄養素ですが、タンパク質が分解されて生じるアミノ酸の一部も総エネルギーの約12%に利用されています。アミノ酸は、インスリンを介せずにグルコースに替わる、安定したエネルギー源であり、血糖値が下がりエネルギーが不足している時には、筋肉を分解してアミノ酸に変えて、その一部をエネルギーとして用いることもできます。

タンパク質がエネルギーとして使われる際には、VB2やVB6が必要となります。タンパク質を摂取しても、これらのビタミンB群が不足していると、エネルギーとして利用することができなくなります。

今はやりの糖質制限も、脂質を上手に摂り、タンパク質をしっかり摂っていないと筋肉がどんどん減ってしまいます。体重は減ったけれど、筋肉も落ちてしまった、ということになりかねません。

 

こんにちは、院長の“てん”です。

 

糖質、タンパク質、脂質では、それぞれエネルギー代謝に違いがあります。

まずは、糖質が材料となる場合のエネルギー代謝についてお話しします。

糖質とは、炭水化物から食物繊維を除いたものです。

食事によって得られた糖質は、消化されて主にグルコースとなります。

 

糖質のエネルギー代謝の流れ

グルコースからATPを作り出すシステムは大きく分けて2つになります。

1.細胞質内で行われる「解糖系」

2.ミトコンドリアという細胞小器官内で行われる「クエン酸回路」と「電子伝達系」


つまり、食事によって得られた糖質はグルコースとなり、「解糖系」「クエン酸回路」「電子伝達系」の3段階を経てエネルギー(ATP)となります。

 

解糖系というのは嫌気性解糖経路と呼ばれ、酸素がない状態で代謝が行われるシステムで、グルコースはピルビン酸という物質になります。ここでは、グルコース1分子あたり、ATPが2つ、ピルビン酸も2つ作られます。1分子のグルコースからATPが2つしか作られないので、エネルギーの産生効率は良くありません。

 

解糖系によって作られたピルビン酸は、細胞内の小さな器官であるミトコンドリアへと入り、「アセチルCoA」という化合物に変わります。

このときに必要なのが、ビタミンB1・B2・B3(ナイアシン)・B5(パントテン酸)です。

 

次に、アセチルCoAはクエン酸回路というところに入りますが、この回路が1回転する間にATPは2つ作られます。この際に必要なのがビタミンB群、マグネシウム、鉄分です。

 

電子伝達系とは、酸素を必要とする好気性代謝といわれるもので、酸化的リン酸化という変化が起きます。ここでは、解糖系やクエン酸回路で生じたNADHやFADH2の力を利用して、さらにATPを作ります。

最終的に、クエン酸回路と電子伝達系で、ATPは合わせて36個作られます。

 

このように、「クエン酸回路+電子伝達系」はとてもエネルギー産生効率が良いのですが、酸素がなければ回りません。この電子伝達系でも、鉄分が必須になります。

こんにちは、院長の“てん”です。

 

身体の中心部が冷えている方は、熱そのものを作ることがうまくできていないと考えられます。

 

それでは、熱はどのようにして作られるのでしょうか。

 

熱は、細胞の中でエネルギーが放出されるときに一緒に放出されるのです。

 

ここからは、私たちの体の中でエネルギーがどのように作られるのかを見ていきます。

エネルギーは、食事で摂った栄養から、細胞の中で作られます。

 

三大栄養素である炭水化物、タンパク質、脂質はそれぞれブドウ糖(グルコース)、アミノ酸、脂肪酸・グリセロールに分解されて細胞の中へ入り、アセチルCoAとなってクエン酸回路に入ります。その後、酸素を利用してクエン酸やコハク酸などの有機酸に変化しながら、二酸化炭素と水に分解され、ATPというエネルギーの基が作られます。

 

私たちがエネルギーとして直接利用できるのは ATP(アデノシン三リン酸)と呼ばれる物質です。

私たちが食事からとった栄養素によってATP(ATP:アデノシン三リン酸。アデニン〔塩基〕と、リボース〔糖〕からなるアデノシンにリン酸が3つ結合したもの)が作られます。

このATPがリン酸を放出し、ADP(アデノシン二リン酸)、AMP(アデノシン一リン酸)に変わる時に発生するエネルギーを使って身体のあらゆる活動が行われます。

ATPからリン酸が1つ外れたものをADP(アデノシン二リン酸)、リン酸が2つ外れたものをAMP(アデノシン一リン酸)といいます。

体内でつくられたATPからリン酸が1つ外れるごとにエネルギーが放出されます。

私たちが食事をするということは、このATPの元を取り入れるということになります。

 

エネルギー代謝の目的は、必要に応じてこのATPを作り出すことです。

私たちが食事からとった糖や脂肪の持つエネルギーは、そのままでは利用できず、ATPという分子に変換されて初めて使えるようになります。

ATPが十分に作られれば、体本来の動きをすることができますが、十分に作られなければ、どこかに滞りができ、慢性的な病気を引き起こしてしまいます。