TEAC/Airbow AP-505 Specialに付属の電源ケーブルは細くて,線も断面積0.75平方ミリの貧弱なものだった.電流は7Aまでだろう.このアンプは700Wも消費しないからいいわけであるが,電流の上限値は多分発熱とか電圧降下で機器が誤動作しないとかそういうことで決められているのだろう.オーディオ的には,音量の変化で少しでも電源電圧が変動しては困るので,もうちょっと厳しく考えた方がよい.

 

このアンプは+3千円で無酸素銅を使った断面積2.0平方ミリの電源ケーブルが付くのだが僕は頼まなかったので,15Aまで流せるAinexのACP-HC18Bというのを買った(写真1).ヨドバシ1,470円で無酸素銅ではないが2.0平方ミリだったのでよろしかろう.断面積は2.7倍になった.

 

写真1.上:Ainex ACP-HC18B,下:TEACマーク付き付属品.

 

前の記事で箱鳴きと思ったのはスピーカーケーブルが良くなかったのかもしれない.最初は手持ちのSAEC SPC-850というPC Triple-C 線を使った長さ2mの2芯ケーブルを使った.以前メインシステム用に買ったが値段は高いのにパイオニアのスタークワッド線に惨敗して使用をやめたものだ.スタークワッドとは,4芯線の対角線を対にして2線のケーブルとして使うやり方である.それでメインシステムからスタークワッドを拝借したところめっちゃ良かった(写真2).SPC-850は高音が伸びてないしボーカルは引っ込むし,長くもないスピーカーケーブルでこれほど音質に差が付くとは信じ難いことだ.

 

そこでスタークワッドが良いのだという仮説を立て,カナレ4S8Gという4芯ケーブルの定番バナナプラグ付き完成品を音光堂というところから買って試した.赤とクリア赤,白とクリア白の組み合わせでスタークワッド結線になっていることは確認した.SPC-850よりは良いがパイオニアには負ける.

 

写真2.上:パイオニアのスタークワッド2パラ,中:カナレ4S8G,下:SAEC SPC-850.

 

思いついてデジタルマルチメーターでアンプの出力端子を測ったところ,無音でも電圧約310mV,周波数388kHzの信号が出ていることが判明した.AP-505 SpecialはD級アンプなのでPWMの周波数がでているのだろう.ちょっと気分が落ち込んだが,可聴周波数の20倍なので気にしないことにする.

 

その388kHzの信号でスピーカーケーブルの両端に電圧が生じるわけであるが,SPC-850だと片道2mで約2.4mV,4S8Gではその半分の約1.2mV,パイオニア2パラでは測定限界以下だった.直流抵抗は4S8G > パイオニア2パラ > SPC-850だが,中波の周波数での減衰はSPC-850が一番大きい.中波の減衰と音質に何か関係があるのだろうか?

 

こうなると波形を見てみたくなりOWONとかいう中華オシロスコープを注文し,ついでに4芯ケーブルでカナレより太いモガミの2972というのも注文した.後者は製品写真が気になったので音光堂に問い合わせたところモガミのケーブルの完成品は線の取り回しを優先してスターカッド結線していないそうだ!何のための4芯だろう?しょうがないので切り売りの線とバナナプラグを個別に注文した.届いたら試してみる.