新・精神科医のノート
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格差社会を生き延びる法

格差社会の進行が本格的になってきています。(・ω・)/

さまざまな統計にその指標が出ています。ロウアーミドル層の増加(大前研一)、年収200万以下の増加、数百万人のフリーター(月収10万程度)、自殺の増加、犯罪の増加、これらはいずれもその証左です。

少子化もその一つといえます。収入が少なくては、子を生み育てることはできないと皆思っています。それどころか、結婚すらしてもらえない現状があります。

わかものは社会参加にためらっています。負け組になるより、取り合えず親にパラサイトという訳です。

人は、官も民も、表面では高福祉社会を称え、北欧諸国の高福祉社会への憧れを語ります。

しかし、憧れるのは簡単、どの国も自殺の問題、少子化の問題にかつては悩まされ、苦慮の政策が成功した後に今があるのです。

フランスは、5月革命に際して、いわゆる「非嫡出子」の公認を得て、籍に入っていない子も平等に社会的扶助を受けられるという大変革を達成しました。

憧れや理想化だけでは、格差社会の進行は止まることはないのです。

格差社会は生活が苦しくなるだけのなす術もない社会?

誰もが将来に希望を失い暗然とした思いにさいなまれています。

日本社会は、戦後も伝統的なセイフティネットに満ちた国でした。

敗戦によっても、既存の社会構造が社会統治に有効とされたために、占領政策として温存されたのです。

天皇制、官僚機構、企業保護、年功序列・終身雇用制、家族の相互扶養義務、厳正な戸籍制度、集落の集まりなど伝統社会的な刻印は存続してきました。

しかし、バブル崩壊後に初めて、これらの古いシステムではどうにもならないことがはっきりしてきました。

消費税の導入、規制緩和、護送船団方式の放棄などはグローバル化の波の中で必然的なものでした。

私は8年続いた自殺3万時代が、さらに続くと予測しています。

これらは近年まで存続してきたセイフティネットの崩壊に国民が苦しんでいることを示す悲しい指標ですが、格差社会が必然的に齎すものといえます。

では、この格差社会はどうすることもできないのでしょうか。

私はそうは思いません。

じつは格差社会の真っ只中にあり、しぶとくそれを生き抜いている国民がいます。

それはアメリカ国民なのです。

実は、彼らのしぶとさを出生率の高さに見ることができます。

先進国では、出生率はなべて1、5ていどに低下して、人口減少に苦しんでいます。これに比べて、アメリカは相変わらず2、0を越えているのです。

最新のニューズウィーク誌はこの高出生率の一因に、妊娠出産子育期に、相互に支え合うセルフヘルプグループ(自助グループ)が存在することをあげています。

つまり米国には出産をめぐるコミュニティがあり、出産仲間を何時でも得ることができるというのです。そしてそれが若い妊婦・母親を孤立から守り救っているというのです。

これは真の「コミュニティ」です。

米国の人々はコミュニティつくりの名人でもあったのです。

このコミュニティの起源は何か。

私はそれを、1935年に発足した、お酒を止める共同体であるAA(アルコホリクス・アノニマス)に求めたいと思います。

AAの方式を基本とするさまざまな「課題や悩みをともにする人の集まり」自助グループが出来ています。断酒会、NA、NABA,OA、GA、ダルク。他方でピアカウンセリングというグループ活動も同一といえましょう。

これらのグループを継続することが、傷ついた心の回復を促し、人生の危機に対処する力を与えてくれるのです。

この方式で、日本でもさまざまな課題をともにする人々がもっと集まって、仲間社会をつくり、苦しみも喜びも共有するようになったら、・・・・

これは間違いなく、格差社会に切り刻まれている日本人の依存的保守的伝統的意識からの回復と、勇気を持って新たな時代を生き延びる生き方を与えてくれるでしょう。

斎藤学の「魂の家族を求めて」(日本評論社)は、その方法論を先見的に示してくれています。(`∀´)

あなたも人前がにがてですか?

緊張しすぎて苦しいので人前を避けようとする対人恐怖は、かつては日本社会特有のものとされました。

その病理性の研究は盛んでしたが、最近はSSRIなどの薬物が有効性が認められて、「社会不安障害」(SAD)という名の下に再把握が進んできています。

対人恐怖の研究が進む中で、妄想性障害や精神病の前段階まで含ませる傾向も出てきましたが、社会不安障害は、これらを排除してかなりすっきりした疾患の単位になっています。

しかし、欧米の診断基準であるために、質問紙法の用語もこなれていない傾向があります。

また、社会不安障害は思春期に好発しますが、学校生活での不適応が中心ということを反映していません。

そこで、LSASという質問紙法をさらに簡略化してみました。

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以下の状況で苦手だったり、避けたりするものをチェックしてください。

①不安・恐怖を
 少し感じる(1点)、はっきり感じる(2点)、とても強く感じる(3点)

②回避する項目が8項目以下(1点)、9-15項目(2点)、16項目以上(3点)

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1、人前での電話
2、少人数で集まる
3、外での食事
4、外で人と飲み食いする
5、目上の人と話す
6、人前で何かしたりしゃべったりする
7、集まりにいく
8、人の中で勉強する(仕事する)
9、人の中で字を書く
10、あまり知らない人に電話
11、あまり知らない人と話す
12、初対面の人
13、外のトイレ
14、人のいる部屋に入る
15、人の注目を浴びる
16、集まりで意見を言う
17、試験を受ける
18、あまり知らない人に反対意見を言う
19、あまり知らない人と眼を合わせる
20、仲間の前で報告する
21、人を誘う
22、店に品物を返す
23、人を集める
24、強引なセールスに意見を言う
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以上で、不安恐怖の程度と、回避の程度を評価します。

さあ、あなたはそれぞれ何点ですか?何点以上が社会不安障害かは次回です。