西岡壱誠さんが書かれた「東大読書」

 

『読む力』と『地頭力』がいっきに高まる。

 

東大読書で鍛えられる5つの力

 

 

 「読解力」(ステップ 1)

素早く、かつ正しく文章の内容を理解し、文章を読み込んで理解する力

 

「論理的思考力」(ステップ 2)

より深くその文章を理解し、論理の流れがクリアに追えるようになる力

 

「要約力」(ステップ 3)

他人に説明しやすい形に嚙み砕く力

 

「客観的思考力」(ステップ 4)

さまざまな視点からの意見、多角的なモノの見方を持つための力


「応用力」(ステップ 5)

得た知識を他のところにも活かせるように自分のものにする力です。

 

 

 

● 能動的に本を読む5つのテクニック

 

ステップ .1 「読み込む力」を劇的にあげる.....仮説作り
ステップ .2 「論理の流れ」がクリアに見える.....取材読み
ステップ .3 「一言で説明する力」を鍛える.....整理読み
ステップ .4 「多面的なモノの見方」を身につける.....検証読み
ステップ .5 「ずっと覚えている」ことができる.....議論読み。

 

 

 

 

 

 

本は「2冊同時」に読むことで効果が何倍にもなる

 

 検証読み

 

多くの人は、「1冊読み終わってから次の本を読み始める」という読み方をしているのではないでしょうか。

 

しかし、1冊の本からより多くのインプットが得られるのは「同時並行で複数の本を読む」読み方なんです。これを検証読みといいます。

 

 

検証読みの効用
1. 意見の偏りをさ避けられる
2. 主体的に読むことができる(受け身の読書を避けられる)
3.1つの意見を聞いて、能動的に別の角度から考える力が身につく

 

 

検証読みの効果は「科学的」にも理にかなっている。

 

「1冊読んでから次の本では、ほとんど忘れている」

これは、人間の記憶力に関する話から科学的に説明ができます。

 

心理学のヘルマン・エビングハウスという人は「人間の脳が、時間の経過によってどれぐらいの内容を忘れてしまうか」をグラフにしました。

 

「エビングハウスの忘却曲線」

 

20分後には42%を忘却し、1時間後には56%を、1日後には74%を、1週間後(7日間後)には77%を、1ヶ月後(30日間後)には79%忘却してしまう。

 

 

本を読み終わるスピードは人それぞれですが、だいたい1~7日かかると思います。

すると、次の本を読むころには7割以上を忘れてしまっている状態なんです。

 

 

● 「長期記憶」を作るには検証読みが最適

 

「エビングハウスの忘却曲線」の話には続きがあります。

 

一度新しいことを忘れてしまったとしても、何度も何度も復習するうちに、この「エビングハウスの忘却曲線」の減り具合のスピードがどんどん穏やかになっていくのです。

 

物事をどんどん忘れていくのが人間ですが、定期的に復習すれば忘れにくくなっていくわけです。

 

 

なぜ、復習すれば忘れないのか?

これは脳科学的に説明ができます。

 

記憶というのは脳の中で2つに分類されます。

「短期記憶」「長期記憶」です。

 

 

memo:すぐに忘れてしまう「短期記憶」
比較的長く覚えている「長期記憶」
インプットした情報を「短期記憶」にするか「長期記憶」するかを決めるのは、脳の中の「海馬」と呼ばれる器官です。

 

復習するという行為は、海馬に重要だと判断させるためなのです。

 

 

● 「検証読み」は考える力も同時に鍛えられる

 

この検証読みには、最大といってもいい効果があります。

それは「考える力」が身につくというこです。

 

 

考える力を身につける読み方をするためには、「客観的に解釈して思考する力」

つまり「客観的思考」が必要です。

 

 

● 1つの意見を聞いて、能動的に別の角度から物事を考える力

 

能動的に文章の内容を自分で噛み砕いて、考えをめぐらせて読む

 

本当にそうなのか、別の視点はないのかな?

 

その意見はこういう別の視点から見たらどうなんだろ?

 

この意見に対して反対する人は、どんな主張をするのだろう?

 

 

思考をめぐらせ、文章を1つの視点だけではなく「複数の視点」で見ることこそが「考える力を身につける読み方」が検証読みなのです。

 

 

 

では、検証読みの2つの読み方「パラレル読み」と「クロス読み」を紹介します。

 

 

 

パラレル読みで「別の切り口から考える力」を身につける

 

パラレル読みとは、

 

 2冊の本の内容に「共通点」と「相違点」を見つける。

 

読んでいる本の内容を他の本と比べて「検証」しながら読むことで、客観的で多面的な思考力も身につくのです。

 

 

【パラレル読みの手順】

 

① 関連性のある2冊の本を選ぶ

まったく関連性のない本2冊だと同時に読み進めても「検証」ができないので、同分野の本や切り口が似ている本を選ぶ。

 

② 選んだ2冊を、なるべく同じスピードで読み進めていく

 

③2冊にはどんな共通点があって、どんな違いがあるのか考えてみる

 

④ 思いついた共通点と相違点を付箋に書いて貼っていく

ポイント:共通点の付箋の色と相違点の付箋の色を分けておくこと

 

⑤ 読み終わった後に相違点の付箋を見直して「どうして両者の主張が食い違っているのか?」「なんで意見が分かれているのだろう?」と1つひとつ検証していく。

 

自分の中で1つの結論を出そうと考えてみる行為、それ自体に意味があるのです。

 

結論を出すために、本の中であまり理解できていない部分をもう一度読み直したり、著者の立場を考えてみたりと、本から距離を取って客観的に物事を考えようと行為こそが、1つのことを多面的・客観的にとらえる力につながるのです。

 

同じ分野について別の切り口で書かれた2冊を、共通点と相違点を探しながら一緒に読むことで、偏りなく複合的に、さまざまなことを考えながら読むことができるようになります。

 

 

● どうやって2冊の本を選ぶのか

 

① 共通する部分が多い「似ている」2冊を選ぶ

・同じ分野

・同じ出来事について触れた本、同じ人物について触れた本、同じ事柄を紹介している本

 

② 主張が似ている本を選んではいけない

 

 

 

● 似ているんだけれどちょっと違う本の探し方

 

① ポジティブな目線で見る本とネガティブな目線で見る本

賛成か反対、ポジティブかネガティブか

 

② 目線が違う

社会的な見方、経済的な見方、歴史的な見方、政治的な見方、科学的な見方

 

③人物、地域、出来事など「着眼点」が違う本

(目線ではなく着眼点が違う2冊を選ぶ)

 

④ ミクロな視点から見る本とマクロな視点から見る本

 

具体的・個別的に物事を見ているマクロな本と大きな視点で全体を概観しながら物事を見ているマクロな本

 

⑤ 読者ダーゲットが違う本

わざと自分がその読者ターゲットとは合わないほうの本を読んでみる

 

⑥ 著者の立場が違う本

著者の立場が明確に異なっている本

 

 

 

まったく違う立場から書かれた本を読むことによって、「同じ分野の話でも、著者の立場が違うだけでこんなに見え方が違うものなのかと体験することができます。

 

 

 

パラレル読みまとめ

楽しみながら「共通点」を探し、「相違点」を考え、そして最後に「相違点の理由」を考えて「多面的な思考力」を鍛える。

 

 

 

クロス読みで「思考力」と「幅広い視点」を身につける

 

クロス読みとは、意見と意見が交錯するポイントを見つける読み方です。

 

・交差するポイント

・どこが議論の分かれる点なのか?

・どこが議論の焦点になっているのか?

 

を、考えるのがクロス読みです。

 

 

【クロス読みの手順】

 

① 複数の本を読んでいく中で、議論が分かれる点「交錯ポイント」を探す

 

② 見つけた「交錯ポイント」を、別の本を参照して検証してみる

 

③ 「交錯ポイント」をノートに書き、その交錯ポイントに対するさまざまな意見をまとめておく

 

 

ノートにまとめるところまでがクロス読みです。

 

 

クロス読みの劇的な効果

 

意見が交錯する論点を見つけていくことで、

「人はどこで意見が分かれるのか?」

「どういうことで評価が分かれるのか?」「どういう人の間で意見が異なるのか?」

といったことがわかるようになっていきます。

 

 

「意見が分かれるポイント」が理解できる上に、「多面的な思考力」を鍛えることにつながります。

 

 

● 交錯ポイントを探すコツは、なるべく狭い「点」を探すこと

 

交錯ポイントを見つけていく過程で、注意するべきことがあります。

 

「広い問題になることをなるべく避ける」

 

 

クロス読みで、思考の幅をどんどん広げよう

 

・ 自分と距離が近いほうが学びが多い

自分と距離が近いものを足がかりにすることで、より多く学べる

(小説、漫画、ネットの記事、他人の発言、日常生活)

 

・ 自分と距離が近いほうが応用の機会が多い

 

得た知識を「自分と距離の近いもの」に日常的に応用する訓練をしておけば、忘れることもなく、どんどん他のものに応用できるようになるのです。

 

 

クロス読みまとめ

「交錯ポイント」を 「自分と距離の近いもの」から考える。