感覚の違い~マラウイ記35~ | ぴぎのOptimistic Life

ぴぎのOptimistic Life

アメリカ移住直前で妊娠。
異国の地で初めての出産・子育てに臨むと同時に応用行動分析士を目指しています。学生ママとしてキャリアと子育ての両立や応用行動分析学について綴っていきます。

ついに3学期が終了!

私の活動半分が終りました~

初めて卒業生も送り出し。。。


でも生徒を送りだす前にどうしてもやりたかったこと。


HIVの授業。



これから、専門学校へ行ったり、仕事始めたり、それぞれの道を歩みだす彼ら。

男女交際禁止(一応校則)から解き放たれる彼ら。


これからたくさん恋ドキドキをしてめい一杯人生を楽しんでほしい。


そのために、



無防備なセックスがどれだけ危険か


を伝えたかった。


そこでNTC(訓練所時代)でエイズ対策隊員が行ったアクティビティーを4年生と行いました。

全員が水の入ったコップを持ち、それぞれ友達とストローを使ってお互いの水を少し交換するというもの。

3人の友達と水を交換し終わった時点で終了。


この時、一部の子の水にはこっそりHIVに見立てた薬品(水酸化ナトリウムなど)を混ぜておく。


すると、最初は極わずかな人だけ薬品が溶けた水(ここではアルカリ性の水)を持っていたのに、ゲーム終了後には多くの人の水がアルカリ性になっているという結果になる。



水を交換する友達は恋人、水の交換はセックス。



3人の人とセックスした場合、相手がHIV陽性者である可能性はいくらか。



今回はマラウイのHIV陽性者の割合が10%強という数字を使って約50人の生徒に対して5個のアルカリ性溶液を用意しました。


水の交換後はフェノールフタレインを使って、HIV positive(アルカリ性溶液)が最初の5人から何人に増えたかを見せる。

*もし自分の水がアルカリ性だったらフェノールフタレインを添加すると水がピンクに変わる。


結果、約半分の生徒の水がピンクに変わりました。


これはからり高い確率でHIVをもらう可能性があるということ。(感染確立を加味すると決してイコールではないのだけれど)



この結果を見て、性について、HIVについてもっと緊張感を持ってくれればいいなと期待をしていました。

アクティビティをする前までは。


けれど、生徒たちは私がHIVという言葉を発しただけで爆笑。


フェノールフタレインを添加して回っている間も、

「俺(私)、ピンクに変わった~POSITIVEだよ~イェ~イ!!」

「変わんなかった~ワハハッ」

終始笑いが絶えない。


全く真剣になってもらえなかった。

ポジティブになることが楽しそうで、positiveにならなっかったら、もう一回フェノールフタレインを添加してみてと要求してくる始末。


最後、ある女子生徒が教室を出るときに

「Thank you for your good message, madam

とふざけた感じで言って去っていった。



悲しかった


マラウイ、HIVの教育は日本よりもしっかり行っています。

生徒のHIVに対する知識は日本人生徒よりはるかにあります。


なのに、

なんで笑えるんだろう


HIVが笑いのネタになることはよく見られます。


なんでそうなるんだろう

身近な問題だからこそ、もっと真剣にならなければいけないんじゃないの?



ある協力隊仲間に言われました。

「身近な問題だからこそ笑いにするんだ」


笑いにしなければ耐えられないほどの恐怖だからそうなるのか。

身近な病気すぎて深刻になるほどでもない、誰でもがなる可能性のある病気だからそうなるのか。



病院勤務の隊員からは、

「日本の成人病と同じように、マラウイでAIDSは一般的な病気になってる。」

「世界はHIVに注目して、問題視しているけれど、マラウイでは数ある大きな病気のうちの1つにしかAIDSは過ぎない。

そんな話を聞いたこともあります。


確かに、マラリアなど適切に治療を受けなければ死に到る病気があります。たかが風邪でもこじらせれば死もありえます。

適切な治療を受けられる人はほんの一握り。

交通事故の死者も多数。


死が目の前に当たり前のようにあるマラウイアンにとって、HIV(AIDS)は特別視するものではないのかもしれません。


気をつけなければいけないものの1つ


にすぎないのかもしれません。


それでも気をつければ防げる病気。

生徒たちにはこれから本当に自分を大切にして慎重に行動してくれることを祈るばかりです。