広視界小型機の名機 LEITZ TRINOVID 6×24 & AMPLIVID 6×24 | BLRM ブラッキー リッチモア ~ Be Lucky Rich More!! のブログ

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かれこれ3年程前に、小型広視界双眼鏡の隠れた名機である、

 

LEITZ AMPLIVID 6×24 を、本ブログで紹介させて頂いたが、

 

今回は、AMPLIVID 6×24 の後継機種とも言える、

 

TRINOVID 6×24 について、書いてみたいと思う。

 

 

TRINOVID 6×24 は、AMPLIVID 6×24 よりも有名な機種で、

 

広視野タイプのコンパクト双眼鏡の名機として、

 

マニアの間でも、非常に人気の高い機種である。

 

 

AMPLIVID と同様に、FOV= 212m/1000m を誇るスペックを持つ。

 

6倍機で、このようなスペックの機種は、

 

残念ながら、現在では見当たらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

TRINOVID 6×24 と、AMPLIVID 6×24

 

 

 

 

 

AMPLIVID 6×24 の過去記事はこちら。

 

 

 

 

私はこれまでに、AMPLIVID 6×24、TRINOVID 6×24 を

 

合わせて10台程をオーバーホールをさせて頂いたのだが、

 

今年に入ってからも、数台を手掛けさせて頂いたので、

 

その時の画像を交えて、まずは分解の様子等も含めて、

 

紹介させて頂きたいと思う。

 

 

ところで、ダハ機は、ポロ機とは、また違った難しさがあり、

 

中古のヴィンテージ双眼鏡を購入する場合、

 

ポロ機よりも色んな意味で、リスクは高いように思う。

 

 

なので、ヴィンテージ双眼鏡の初心者の方は、

 

まずは、ポロ機から始められる事をお勧めする次第である。

 

 

 

TRINOVID 6×24 を、ピントリング部以外は、

 

ほぼ完全に分解した様子。

 

意外と部品点数は多めである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当初は、AMPLIVID と同じ、ミラープリズムを採用予定だったようだが、

 

結果的には、ユッペンダールプリズムが搭載されたようだ。

 

 

ミラープリズムが搭載される前提でのデッサン画が残っているのが、

 

その決定的な証拠だと言えるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

以下が、そのユッペンダールプリズムのユニットであるが、

 

本機の場合、プリズム周辺のコバ塗りが、

 

かなり剥げて来ていたので、修復させて頂いた。

 

 

ユッペンダールプリズムは、対物カバーと一体となっているので、

 

対物カバーから取り外す事は、基本的には不可である。

 

 

また、非常にデリケートな面があるので、

 

クリーニング時等の取り扱いには、細心の注意が必要だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

非常に状態の良さそうな個体ではあったが、

 

やはり、相応の年数が経過しているので、

 

少し分解すると、汚れが露わになる。

 

 

例えば、接眼部もこのような様子であった。

 

細かな砂のような異物が、びっしりであったが、

 

これらは、レンズを傷つけてしまう原因となってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

接眼部も全て分解し、オーバーホールを行う。

 

 

接眼レンズの構成枚数は、3群5枚構成となっており、

 

AMPLIVID よりも、1枚少ないようだ。

 

その分、透過率的には有利な事が予想される。

 

 

 

 

 

 

AMPLIVID 6×24 の接眼レンズ構成

 

 

 

 

 

やはりと言うべきか、接眼レンズのコバ塗りも、

 

殆ど剥がれ落ちてしまっていた。

 

古い双眼鏡には、極めて多い症例である。

 

 

本機の場合は、第一群レンズと、第三群レンズに、

 

それぞれ、コバ塗りがされていたようだが、

 

いずれも、殆ど剥がれてしまっていた。

 

 

見え味に影響する部分でもあるので、コバ塗りを修復させて頂いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

対物部も、全て分解し、オーバーホールを行う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポロ機のように、プリズムを1つづつ分解は出来ないので、

 

アプローチが可能な箇所のみ、クリーニングを行う。

 

 

プリズムの貼り合わせ面にカビが発生してしまっていると、

 

もう如何ともしようがないのだが、

 

幸い、プリズムの貼り合わせ面にカビが発生している症例は、

 

これまでに、お預かりさせて頂いた中では、まだ出会っていない。

 

私のお客様は、運が良い方が多いのかも知れない。

 

 

全てのクリーニング、オーバーホールを終えると、

 

光軸を調整して完了だが、本機種は小型故なのか、

 

偏心リングの偏心度合いが非常に大きく、

 

リングを、ほんの僅かに動かすだけで、

 

光軸は大きくズレるので、調整は他機種よりも困難である。

 

 

 

当初、オーナー様は、光学系は全く問題ないと思われてらして、

 

光軸調整のみお願いします、とのご依頼であったが、

 

実際には、上記の通りであった。

 

 

オーバーホールを終えて、返却された本機を覗いてみて、

 

「 以前とはまるで別物です!!所有する数台の中でも、

 

 一番のお気に入りとなりました。

 

 解像感などは、鋭利な刃物で彫り込まれたかのごとき、

 

 コントラストとキレを感じています。

 

 ますます大切に末永く使い続けたいと思います。

 

 この度は有難うございました。」

 

と、何とも嬉しいご感想をお寄せ頂いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、せっかくの貴重な機会なので、

 

私物の AMPLIVID 6×24 と比較してみよう。

 

 

まずは、接眼部を比較してみよう。

 

 

 

 

 

 

 

一見、AMPLIVID の方が、接眼レンズ径が大きように見えるが、

 

実際は全く同じサイズである。

 

 

レンズコーティングの色が、青色から、赤紫色に変化しているが、

 

TRINOVID からは、単層コーティングから、多層コーティングへと、

 

進化した様子が窺える。

 

 

次に対物部であるが、接眼部とは真逆で、

 

こちらは TRINOVID の方が、レンズ径が大きく見えるが、

 

実際は、同じ24mm径で全く同サイズである。

 

 

また、コーティングは、接眼レンズと同様の進化が確認出来る。

 

コーティング膜も、より強く、強固な様子で、

 

単層コーティングよりも剥がれにくい事が推測される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どちらも、ポケットに入るくらい、非常にコンパクトだ。

 

このサイズは持ち運びが楽なので、携行するには機動力は抜群である。

 

TRINOVID は、背丈がより低く、よりコンパクトな印象だ。

 

 

ピント合わせの方法も、インナーフォーカスへと変更されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見た目は、TRINOVID の方がコンパクトだが、

 

重量は、TRINOVID の方が AMPLIVID よりも 90g も重い。

 

なので手に持つと、意外にもズッシリしていて重量感がある。

 

 

この重量差は恐らくは、AMPLIVID のミラープリズムの影響かと思われる。

 

つまりは、両者のプリズムの重さの差が大きいと思われる。

 

ミラー反転式プリズムは、非常に軽いのが特徴である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、両者は共に、FOV= 212m/1000m の広視界を誇るが、

 

実際に覗き比べてみると、両者では全く異なった見え味と言える。

 

 

最も大きな違いと感じたのは、AMPLIVID の方は、

 

接眼レンズの非球面レンズの影響なのか、

 

景色を見回した時に、グニャグニャと視界が歪む、

 

いわゆる、ローリングポール現象( グローブエフェクト) が起きるが、

 

TRINOVID では、意外にも 全くそれが無い。

 

 

また、接眼レンズの構成枚数や、

 

レンズコーティングの違いも功を成してか、

 

体感上の透過感や、コントラスト、像の抜けの良さ、

 

解像感や精彩感、等、あらゆる点に於いて、

 

TRINOVID が、どうやら1枚上手なようだ。

 

非常にキレが良く、解像感のある彫りの深い像を楽しむ事が出来る。

 

 

とは言え、そう言った単純な性能面の比較だけでは、

 

双眼鏡としての魅力度や優劣は決まらないし、

 

そうは単純には語り尽くせないのが、ヴィンテージ機の魅力でもある。

 

 

性能面では、後継機種のTRINOVIDには、一歩及ばずとも、

 

根強い AMPLIVID ファンがいる事も、また事実なのである。

 

 

そもそも、数値やデータ、スペック等の、

 

表面的な事実でしか、価値を計らないのであれば、

 

それはもはや「趣味の世界」とは呼べなくなってしまうだろう。

 

 

少なくとも、極めて浅く、軽薄短小で殺伐とした、

 

まるで深みのない世界となってしまうだろう。

 

 

偏差値の高低と、人間的魅力は、全く関係が無いのと、

 

ある意味、同じなのかも知れない。

 

 

近年、偏差値にばかり意識を向け、それを最重要と位置付けて、

 

道徳観念や、人を創る、と言った人間教育の基礎が、

 

学校の現場でも、殆ど為されていないようだ。

 

 

人の痛みが分からず、自分さえ良ければそれで良い、

 

「今だけ、金だけ、自分だけ」と言った、

 

そんな人間だらけになれば、国も人間も滅ぶだろう。

 

 

その意味では、今の政界を見ていると、危惧しかない。

 

昨今の、狂いに狂った世情も然りである。

 

 

確かに、見え味は素晴らしい TRINOVID と、

 

その差を差し引いても魅力のある AMPLIVID を手にして、

 

色々と想いを馳せてしまうのであった。

 

 

ともあれ、TRINOVID、AMPLIVID をこれまでお預け頂いた皆様には、

 

あらためて、心より感謝申し上げます。

 

 

最後は少々重い話となってしまったが、

 

最後までお読み頂き、本当にありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜 お陰様で、6年目 〜

 皆様方には、心より感謝申し上げます。

 

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