こんにちは。行政書士もできる往年の映画ファンgonzalezです。
エイリアンなるあだ名を頂戴していた時期がありました。高校時代ですが。勿論映画『エイリアン』('79)に由来します。
それはさておきこの作品、当時大ヒットしましたね。とても斬新なSFホラーサスペンス的(?)フェミニズム映画とでもいうべき内容で。何しろ従来のこの手の映画にはあり得ないヒロイン像の出現ですよ。
シガーニー・ウィーヴァー演じるリプリーは男性乗組み員とも対等にわたりあい、敢然と敵(エイリアン=家父長制的男性社会)に立ち向かいます。
人間以外の主役エイリアンの造形美にも心打たれます。殊にメタリック鈍い輝きを放つ頭部。そして攻撃的な口・顎の構造。二足歩行で長い尻尾。それと、目が無いんです。あるのかもしれませんが確認不可です。このあたりもネット検索でヒットしてくるでしょうね。多様なタイプのフィギュアが出回っていますから。
ではこの作品にはどんな音楽を投入すればよいのでしょうか。「スターウォーズ」のようなスペースオペラじゃないし、「2001年宇宙の旅」のような本格SFでもないし、「禁断の惑星」みたいな怪獣が出てくるのとも違う…。
そこで背景音楽として映画に寄り添いおとなしめに徹してサスペンスを倍加させ、エイリアンとの格闘場面と最後の脱出劇のような盛り上がりを見せる時は大胆な楽曲をもってきました。
ところが、観客が吃驚するシーンでは音楽が無いところがあるんです。
最初のショック、フェイスハガーが飛び出す場面。
次のショック、チェストバスターが飛び出す場面。
重要な二つの場において音楽は排除されていることに気付かされます。
映画の盛り上がりに比例し音楽的盛り上がりを見せるのは、生き残り三人のうちリプリーを除く二人が倒される時。
そして脱出したシャトル内からエイリアンを宇宙空間へ放出する時。
このニ曲は劇中の白眉と言えるでしょう。
それでも当時サントラ盤LPを購入したところ、随分地味な曲が多いなあ、と感じました。
しかしオープニングのメインタイトルでは静かに美しい流れの最後にやや不穏な余韻を残し今後の予兆を示すかのようです。
対照的に激闘後はやや心安らぐ雰囲気を紡ぎだしています。でもいずれもかすかなほのめかし程度でドラマチックに謳いあげるレベルではありません。抑制が効いています。
そして宇宙船内とエイリアンのメタリック感覚に合わせるように音楽内に挟み込まれる金属音的サウンドが特徴ですね。
目立たないけど無くてはならない存在。本作は映画音楽の神髄を体現していると言えるでせう。JG屈指の作品だと確信します。
関心ある人はYouTubeでjerrygoldsmith alien で検索すれば色々でてくると思います。
ちなみに公開当時のLPはオリジナルアルバムで、後年(今から数年前)に新しくコンプリートスコアとして収録曲が異なるCDが発売されています。
*『エイリアン』DVD* *同コンプリートスコアCD*
Alien
監督:リドリー・スコット
『ブレードランナー』『ブラックレイン』『グラディエーター』
脚本:ダン・オバノン
『バタリアン』『トータルリコール』
エイリアンデザイン:H・R・ギーガー