お前が連れてきた、今若は、放免して寺に預けようか?」

常盤の長男である。美しい、常盤の三日月眉が、(ひそ)んだ。六波羅殿の陽根が、太モモの間で、怒張している。常盤は、次に緋の裳を脱いだ。

「よしよし、憂いのう。うん、うん・・・次は、乙若か、これは、そく殺そうかい?」

「後生です、お許しくださいませ!」と、紫のうち衣を放り投げた。それは、寝殿の板間に、伽羅の香りとともに、桔梗の花弁のように広がった。六波羅殿の目はギラつき、陽根の先から淫水が潤み始めた。常盤御前は、畳に伏し、紅の開いた唇から、熱い嗚咽が漏れた。この時代、女房(にょうぼう)様の口中は、()(ぐろ)に染めてみえますが、現在のイメージにはよろしくないので、省略しますので、悪しからず御免。

「堪らんのう、うい、うい、やつじゃのう」

六波羅殿は、ますます常盤が、気になります。ふっくらした美しい顔に浮き出た苦悶の影に淫乱な色香が漂っててた。五条の川原で、義朝の息子の義平を処刑した光景とこの時の嗜虐の嗜好が、瞼に浮かびました。あの極楽と地獄の狭間の泥絵の様な、妖し絵の光景は、一生忘れられない興奮でありました。

義平は、早朝、祇園精舎の鐘の最中に、六波羅の屋敷に押し入り、平家の家臣を惨殺し、暴れまくった。悪源太と異名を持つほどの、暴れん坊でありましたが、この屋敷の宿直(とのい)の蔵人は、30人もみえます。10人ほど斬り倒しましたが、壮絶な戦いに、根がつき、ついに囚われました。

返り血の浴びた衣を脱がせ下帯も解き、素裸に剥き、雪上の川原に立たせました。検分に立ち会った、六波羅殿は、その股間を見て、肝を冷やしました。夕焼けに映えた逞しい裸身、まだ、元服したばかりの男根は、皮も剥けて、巨砲でございます。己の駿馬のような大きく、そして薩摩芋のように太いのです。それもこの非常の最中というのに、陽根は怒張して黒光りしています。ますます、生かしておけば、こちらの首が危ういことになります。敵ながら天晴れの勇者の死には、花を手向けようと、六波羅殿は思案をいたしました。源氏のお抱えの白拍子を、この世の最後にあてがうことにしました。周りの篝火が弾ける音をたて、天空に臨むように、炎が燃え盛ります。五条川原の夕闇の迫った雪原を、この世の景色とは思えぬむほど、美しく、浮かび上がらせています。火の効果は、人を上気させる作用があるのです。かのヒツトラーは、その効果を利用して、軍を奮い立たせました。清冽な川の流れの彼方から、市中の群集が見物しています。牛引きの刑を想像して、集まってきています。群衆心理というのか、本来の人間の残虐さを恥ずかしくもなく、曝け出し、興奮するのが、伝染病のように、異常に蔓延するのです。刑人の肉が引き裂かれ、骨が離れ。血が噴出するのをまるで、花火が夜空に咲くように、感嘆するのです。その夜は、夫婦や恋人などは、異常に燃え、激しい情交が営まれるのでした。

「義平殿、武将としての情けを受け取るがいい」と、六波羅殿は、被虐な笑いを浮かべた。

 康太さんは、昼の注文をしていませんでした。腹も空いていません。今日も昼飯抜きを決めたようであります。しかし、人が食事を取っているところで、呆然としているも、また、二日酔いか、と笑われかねません。それは、いつもなら、二日酔いだからしかたがないのですが。今日は、不思議なことにアルコールが残っていません。康太さんは、公園のベンチで寝るかと行き先を決めて、市役所の裏口から出ました。エンジェルマークの蛍子さんの車が、走り寄ってきて、康太さんの足下に停車しました。運転席から体を傾げて、助手席側のドアを開けて、康太さんに、乗ってと合図を送りました。車が走り出して、助手席の康太さんは、何処へいくのか、聞くことも
ない、ぐうたらなのです。
 ビルの谷間を走り、オフイス街から離れ、蛍子さんの軽自動車は、郊外に向かって走っています。車の中で、五年前に流行った、蛍の十字架という歌が、サウンドを押さえ気味に流れています。暗い歌だが、女の悲しい恋いの物語の詩が、誠に心を打ち大衆を魅了したものであります。亡くなった奥さんの好きな歌なのです。康太さんは、目を閉じていると、その闇から奥さんの香澄さんが現れ、幸せそうに微笑んでいます。そう言えば、交際中に一度、近郊の温泉街の渓谷に蛍を見つけに歩いたことがあります。水が淀んで
いる所にテントを張り、夜になるのを待ちました。康太さんは、蛍より、香澄
さんとのエツチを考えていました。どこから、湧いたのか、いつの間にか、弁慶がダッシボードに、康太さんに尻を向けて座っています。
 水の流れが、体の中にながれるように、心地よく響い来ます。茜色に染まった空の下の渓谷は、すでに宵闇のモノトーンに沈んでいます。蝉が、今日の別れを惜しむかのように、幽かに鳴いていますか。墨さんが、予測したように、その淀みの藪から、ポ-、ポー、ポ―、っと真珠玉のようなものが浮かびました。やがて、光をグリーン色に増して、飛び交い、仲間が集まってきました。一時して、光源のシャワーが広がりました。香澄さんは、康太さんの手を取って立ち上がりました。二人の足元に、そして眼前に蛍の乱舞、キャンプサイトが銀河の空間に生まれ変わりました。
「ねえ、私かボランテイア活動で死んだって、自棄にならないで、私は後悔して
いないから」 
 康太さんは、目を開けて、蛍子さんを見ました。蛍子さんは、前を向いて運転しています。たしかに、運転席から聞こえたのですが、これも夢続きなのでしょうか。弁慶が、お尻を上げて、康太さんの顔に、ヘリュム弾を見舞いました。突然、1分前に出来事は、康太さんの記憶から霧散しました。

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「よし、4ミリだ」 

 続けて二本目の管が、一本目の六ミリ管の中に挿入される。その先端は、胸部に達した。コンピーターの画面に、管が心臓に沿ってカーブした動脈を通過していくのを秋月は、横目で注視していた。彼の広い額には、汗が滲んでいる。その反面、若菜の目は、冷静を保ち、血管の道標を迷うことなく、進めていく。

 若菜は、体格のわりに、汗をかくのが少ないから、手術中も楽だ。それも、名医の条件なのかもしれないし、助手の看護師は楽だ。石原が、血圧と心拍をチエックしている。多量の出血を伴わない手術だから、心拍出量の低下はない。患者は、安定している。

「原ちゃん、月光のソナタ」

原は、ポーターブルカセットの再生ボタンをオンした。ピアノの旋律が、雪解けのように、鮮烈に流れた。若菜の好きな、ベートベンの月光のソナタ第一章楽だ。若菜には、このピアノソナタが、脳の波長に合うのだ。緊張をほぐし、集中力が、極限にまで充ちる。

「ラストいよいよ、スナイパーがアジトに突入だ。覚悟しろ。一ミリを・・」

若菜はくぐもった低音で、秋月に、最後になるマイクロカテーテルを催促した。この管が病巣の脳に浸入し、動脈瘤に、ついに達する。経験と技量、そして集中力が融合して、この手術は成功する。コンピーターのモニタに写る、クラゲのような円形の画像上に、脳の血管がどす黒く浮かび上がった。その血管の一部に塊がある。それが、脳動脈瘤である。



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 1 ミラージュ・ヒロイン 月曜日

 2 真田魔女隊      水曜日

 3 横浜騎士倶楽部(よこはまナイトクラブ)

木曜日

4 野生時代に招待します 金曜日

 5 君の瞳に天使が    土曜日