というわけで今回の暴落の原因は、サブプライムローン問題ではなく、ある一人のデリバティブ取引の失敗だった可能性が高い。


 では、なぜたった一人の不正取引が世界同時株安を招いたのか。


 ちょうど世界はサブプライムローン問題で神経質になっていたからである。そういう状況下に、たまたま理解できない株価の下落が起こり、それが引き金となり世界中の市場が暴落することになったのだ。きわめて偶発的に起こったのだ。


 したがってFRBが緊急利下げをした後は、買いが戻ってきている。というのも、世界では金がだぶついているのだから、市場が暴落したときには「買いたい」という人が出てくるのだ。そのため、いつまでも落ち続ける心配は不要なのである。


 こういうときの政府の対応は、「落ちないように」と我慢することではない。繰り返しになるが、株価が安くなったら、買う人が集まってきてまた上 がってくるものなのだ。いつまでも低いままにはならない。だから、政府は余計なことをしないで早く落ちるところまで落としてしまうのが一番なのだ。売りと 買いが出会うのが相場、と割り切ってしまえば、買いが入らないのは不用意に高止まりしているからだ、と考えるべきなのだ。


 ところで、この経緯の中でわたしが気になっているのは、大損害を受けたソシエテ・ジェネラルの株価だ。この事件のよって株価が急落しているのだ が、実は下落は昨年から始まっている。だから、銀行内に前から真相を知っていた人物がいたのではないかと懸念しているのだ。ことが公になる前に売ってしま おうとした人がいたのではないかと。もしかするとインサイダー取引とのからみで、このあたりから再度火の手が上がるかもしれない。


続く