陸軍士官学校があった場所
座間には海軍だけでなく、陸軍関連の戦跡もあります。
かって座間には陸軍士官学校がありました。
りっくんランドで見学してきた振武薹記念館の建物は、座間にあった旧陸軍士官学校の皇族舎を朝霞駐屯地に移築したものです。あの建物はもともと座間にあったのですねえ。
陸軍士官学校があった場所は、アメリカの座間キャンプになっているので、入ることはできないのですが。座間キャンプに隣接している富士山公園と座間公園に、陸軍戦跡があるので見に行ってきました。
近くを走っている小田急線の「相武台前駅」という駅名に、陸軍士官学校の名残がとどめられています。
1937年（昭和12年）に、陸軍士官学校が市ヶ谷台から座間に移転した際、昭和天皇が訪れて「相武台」の名称が与えられたのです。かっては「相武台前駅」は、「士官学校駅前」という、そのものズバリの駅前だったとのこと。でも、太平洋戦争が始まって「陸軍士官学校がここにあります～」って宣伝するような名前では防衛上まずいとなり、「相武台前駅」に変更されたそうです。そして、現代に至る・・・ということで、駅名にも太平洋戦争の歴史が刻まれていますねえ。
私は芹沢公園の高座海軍工廠の跡地を見てから向かったので、芹沢公園→座間谷戸山公園→富士山公園と三つの公園をつっきって約30分歩きました。その道がですね、上ったり、下りたりの連続で。座間の地は丘や谷が連続している土地なんですね。けっこう、疲れました（苦笑）。
芹沢公園から座間谷戸山公園へ続く上り坂は、「上栗原の石造物群と星の谷道」と呼ばれている道ということで、古そうな石碑や石像が点在していましたねえ。1936年（昭和11年）に栗原の青年団によって建てられた標石がまだ健在です。
星の谷道を通り、座間谷戸山公園へ着くと、再び下り坂に。え～ん、せっかく上ったというのに～。かなり深い谷へ降りていきます。公園というより、森でしたね。
この公園の中に、防災用井戸の建物があったのですが、かなり古そう。陸軍とは関係がないのだろうか？
陸軍士官学校遙拝所方位盤
座間谷戸山公園を抜けて、次に富士山公園へ。
再び上り道。え～ん、せっかく下ったというのに、再び上るのか～（(;^_^A)
ひーひー言いながら登って、やっと富士山公園へ。
この公園の頂上に、陸軍士官学校遙拝所方位盤があります。
1940年（昭和15年）の建立。
説明看板によりますと。
昭和12年（1937年）に東京からこの地に移転開校した陸軍士官学校の生徒は、毎朝、点呼後に雄健（おたけび）神社に参拝して、続いて遥拝所に赴き皇居・明治神宮・伊勢神宮、そして各自の原隊や故郷に向かって遥拝するのが日課となっていたそうです。
方位盤ということなのだけど、だいぶ文字がすりきれていて、読めない・・・。
かって、陸軍士官学校のピキピキに張り切った生徒達が、この公園の頂上に登ってきて、毎朝、皇居や故郷の方角に向かって遥拝していたのですねえ。
この地にはかって浅間神社があったそうですが、1909年（明治42年）に座間神社に合祀されたそうです。
せっかく上ったけれど、再び、富士山公園を下ります。かなり急な下り坂。途中でこけそうになりました(^^;)
富士山公園を降りると、アメリカの座間キャンプ。イベントの時以外は入れません・・・。
ここの入り口の所から見えるのですよ、相武台の石碑が。かっての陸軍士官学校の碑が。
ゲートの近くから中を覗いて、お～見える、見えるということで、スマホを向けたら。
「なにしてるんですか～！？」
とゲートを警備していた迷彩服着た自衛隊の方が2名走ってこられまして。
fuyunoA（つまり、私）、捕獲される・・・(*_*)
座間キャンプの中は撮影禁止です。スマホを向けただけでも警戒されます。よい子の皆さんは決して真似しませんように！
「陸軍士官学校の跡地を覗いていただけなんです～、すみません」と、罪のないオタクであることを訴え解放されましたが・・・。
反省(*_*;
教訓。戦跡めぐりは、自衛隊の方々の迷惑にならないよう、ルールを守って行いましょう。
座間公園と座間神社
気を取り直して。
座間キャンプの横にある細長い公園が座間公園。
この座間公園の中に、軍馬功労碑があります。
陸軍士官学校で飼育されていた数百頭にも及ぶ軍馬の功労を讃える慰霊碑ということです。
山室宗武陸軍中将の書。1939年（昭和14年）建立。
陸軍にとってお馬さんはとっても大事な相棒でした。
もちろん陸軍士官にとって馬に乗れることは必須。
最近、河合武郎著『ルソン戦記 若き野戦重砲指揮官の回想』（光人社NF文庫）を読んだのですが。この本を読むと、中国やフィリピンの戦地でお馬さんが重い大砲を引いてすごく頑張ってくれたことがよくわかります。そして、たくさんのお馬さんが兵士同様、空爆によって犠牲になっています。陸軍の将兵達は、お馬さんにありがとうって感謝していたそうです。陸軍関連の墓地に行くと、必ず、軍馬慰霊碑もありますものね。
座間公園の奥には、座間神社があります。
ここに富士山公園の地にかってあった浅間神社が合祀されています。
手水鉢は明治十・・・年（ちょっと読めない・・・）という、古いもの。
歴史ある神社です。が。今は、ペット神社として人気らしく、わんこたちの七五三で賑わっておりました。
かって、この地で、陸軍士官学校に通い、陸軍将校として、兵を率い戦うのだとまなじりを決していた青年達。
戦地で散っていった青年達も多かったでしょう。
そんな時代からは、別世界の光景が広がっています。
袴を身に着けたわんこたちが、飼い主さん達の愛情をたっぷり受けて、神社で七五三の写真撮影に臨む・・・。
そんな平和な光景が、いつまでも続いてほしいものです。
