うちのデイサービスに


お坊ちゃん育ちで有名私大卒で、

予備校で英語を教えていた85歳の

認知症男性が入ってきたの。


気難しくてねえーん


「ここにいるバカ共とは私は違うんです!」とか

平気で言っちゃうから、周りと馴染めなくてね。


苦労したんですわえーん


最初はデイに通ってたんだけど、認知症が酷くなってね。息子さんのお嫁さんに憎まれ口をきくもんだから、毎日バトルが家で繰り広げられて、間に入る奥さんが疲弊しちゃってね。倒れちゃったのよ。


だから一週間のうち土日だけ帰宅するというショートステイを入れることに。


何回「バカモン!ムキー」と介護拒否で怒鳴られたことか。でも暴力は振るわなかったからそこはジェントルマンでしたよ。


いつも日中は陽のあたる場所に座っていてね。レクはすべて拒否よ。しばらく様子見していたの。


暫くして新しく入った小柄の可愛い女性利用者さまがいつも座っている席に先に座って日向ぼっこしていたら、近づいて


「そこは私の席です!プンプン」と言い放ったの。


すぐにスタッフが間に入ったんだけど、


「ごめんなさいね」と謝る女性利用者さまの言葉のイントネーションがどうやら故郷と同じだ!と気づいた男性利用者さま。


その日から、その女性利用者さまと意気投合。


二人とも足をブラブラさせて、とても嬉しそうに会話するのラブ


思わず「カワイイ!」と声が出ちゃうくらい。


「そこに美味しいケーキを出す喫茶店があるんです。美しいあなたにお茶をごちそうさせてください。」とか誘うのよ。自分のこと独身だって思ってるからね。


もちろん近くに喫茶店なんてないよ笑い泣き


奥様も奥様で

「久しぶりに主人の笑顔をみた気がするわ。ありがたいわ。この年になったら嫉妬もクソもないわよ笑い泣き」と笑い飛ばすの。



でね、奥様が迎えに来るときだけ

「あっ、奥さんが迎えに来た!」って言うの。


で、奥さんが送ってくるときは

「お母様、行ってきます!」って挨拶するの。


だから同郷の女性利用者さまも混乱よ笑い泣き


「奥さん、いらしたんですか?」

「本当は、お母さんなんですか?」ってね笑い泣き


不思議だよねニヤリ


ホント、介護って面白い!笑い泣き