→親日国よせ集め(東南アジア地域)
→親日国よせ集め(南アジア地域)
→親日国よせ集め(オセアニア地域)
やっと東アジアです。日本も属するこの地域には、中国から弾圧され続けている地域や民族があります。そこで今回は、一般に広く認知された国家ではなくこれら地域に焦点を絞りました。ただし断らなければいけませんが、これら地域が国家かどうかについては文中では言及していません(台湾・モンゴル国を除く)。それは各々の価値観でご判断ください。それから、理由は最後に述べますが、今回は親日かどうかという線引きを明確に書いていないこともご承知ください。
【モンゴル国】
朝青龍、白鵬、日馬富士と、最近は大相撲のイメージが強いですね。複数のチャンネルで生中継されていて大人気です。2004年のアンケートによれば、モンゴル人が今後、最も親しくすべきと考えている国の1位が日本です。日本が共産主義からの移行期にモンゴルを支援し、その後も多額のODAを続けてきたことを、国民も広く認知してくれているそうです。
資源の大輸出先である中国に対しては、長きに渡る経済支配に対して強い反中感情を持っています。しかし、現実には中国とロシアに国境を挟まれ、いずれかを経由しなければ海へも出られないという国土です。それでも、豊富な資源を協力し開発したいというのは、両国共通の願いのように感じました。極めて政治的に難しいですが、地政学的にも日本にとって非常に重要な地域です。いずれ大統領になるかもしれない朝青龍へのバッシングにも、少し注意が必要かも知れません。
【南モンゴル(中国の内モンゴル自治区)】
元々はひとつのモンゴル帝国であり、同一民族です。モンゴル人が作った元が漢民族の明に滅ぼされた後、権力闘争によって現在のモンゴル国と内モンゴルが分かれました。やがて、日本の関東軍と満州国の支援によって自治政府を一時的に樹立しますが、それも日本敗戦後、ソ連侵攻によって崩壊します。1947年に中国の自治区が成立してからは、その体制が現代まで継続しています。
これら歴史的経緯から日本には非常に好意的な一方、中国共産党には根強い反発があります。また、現ロシアに対しても、当時のソ連に守ってもらえなかったという意識があります。89年の天安門事件以降は徐々に独立運動の機運が高まっており、現在も中国政府による乱開発や民族弾圧に苦しめられています。チャンネル桜で「モンゴル自由連盟党」幹事長のオルホノド・ダイチン氏が述べられている話がわかり易かったので掲載します。
参考:【中華帝国主義】内モンゴル自治区で何が起こっているのか?[桜H23/5/31]
【東トルキスタン(中国の新疆ウイグル自治区)】
歴史的には、モンゴル、清、中国によって、次々と支配されてきましたが、現在は中国の自治区です。ここに住むウイグル族は、本来ほとんどがイスラム教スンナ派です。しかし、中国共産党による宗教弾圧、不当な投獄や死刑が後を絶たず、現在もデモや騒乱が続いています。また、この地域では50回以上も核実験が行われ深刻な被害が指摘され続けていますが、海外の学者やメディアを排除しているために実態すら不明です。
ちなみに、ウイグル人の親日ぶりについてはかなり情報が少なかったのですが、永山英樹さんが日本ウイグル協会のイリハム・マハムティ会長から聞いた話の印象を引用させて頂きました。
(台湾は日本の生命線!より引用)
若者の間でも「留学するなら日本が一番いい」と言う声が多いとか。日本人には何とも嬉しい話だが、それは日本のテレビドラマや映画を見て、日本人が家族愛などの面でウイグル人に似ていることを知り、親近感を抱くためなのだそうだ。
(中略)
そこにはアジアで中国と対峙し得るもう一つの大国日本の擡頭に対する期待感が込められているようだ。
(引用ここまで)
【チベット(中国のチベット自治区)】
同じく中国に侵攻されて以来、民族と宗教を弾圧され続け、また環境破壊をされ続けている地域です。59年チベット動乱によってチベット仏教最高指導者の法王ダライ・ラマ14世は脱出し、現在もインド国内に亡命政府が置かれています。ダライ・ラマ法王は親日家と言われていて、東日本大震災直後には被災地を巡って祈りを行っていますね。また、昨年には参議院議員会館にて講演を行い多数の国会議員も出席するなど、宗教を超えた関係を築いています。ただし、現地へ行った日本人の声としては、チベット族自体は特別親日ではないようですね。非常に寛容な民族ではありますが、親日国とは言えないと思います。
【台湾(中華民国)】
中国からの独立を願い続けている大の親日国家です。国民は自らを台湾人と呼び、遺伝学上も別の民族であると考えられています。日本敗戦後に渡ってきた中国国民党の蒋介石、大陸中国人が行った歴史に対しては強い憤りを持っており、中国とは別の国家、別の民族であると規定するのが自然だと思います。戦争を経験した世代は、極めて親日的です。例えば、NHKが「ジャパンデビュー」という台湾人の反日感情を誇張・捏造した番組では、放送するやいなや大非難を浴び、日台両国の原告から集団訴訟を起こされています。
台湾の人々は、日本統治時代にあらゆるインフラが整備され、国の基礎となったと考える人がほとんどです。歴史的に暗い側面ももちろんありますし、全てが許されたわけではありません。それでも、日本統治時代の良い記憶や、大東亜戦争を共に戦ったことを誇る意識が根強いです。詳しいエピソードは、李登輝元総統の著書や講演によって何度も語られています。
参考:李登輝前台湾総統 日本外国特派員協会での記者会見一部
【香港(中国の香港特別行政区)】
長くイギリス植民地でしたが97年に中国へ返還されました。反日教育を受けていないため、大陸中国人ような反日感情は持っていません。むしろ、イギリス植民地時代の独特な文化が強く定着していて、多くの人は大陸中国人と香港人を区別して考え、差別感情すら抱いています。そうした価値観からなのか、自治独立を望む人も少なくありません。こうした価値観は台湾人と香港人に共通しており、台湾人と香港人もお互いを中国人と思っていません。結局のところ香港は親日ではありませんが、大陸中国人よりは日本人の方がずっと好かれているようです。
【マカオ(中国のマカオ特別行政区)】
ほとんどが広東人ですが、元々の宗主国であるポルトガル語が今でも公用語です。大東亜戦争においてはポルトガルとの協定により、日本軍が攻め込まなかった例外的地域でした。また、中国の反日教育も受けていないため、反日的な人は皆無だそうです。情報が少なく親日かを判断する材料が足りませんでしたが、訪れた日本人の話においては親日的な人がとても多いそうです。
親日さについての補足ですが、これら地域が依然として中国政府の監視下にある以上、外から見えることが全て真実であるとは限りません。他のアジア地域のように、親日国かどうかを明確に判断するのはとても難しいと感じました。実際にはもっと強烈に親日かも知れません。他方では、親日感情には反中感情の裏返しという動機が強く作用していることも事実です。つまり、日本をあまり批判しないことの背景には、日本からの協力を得たいという思惑があることも少しは考慮すべきと感じます。つまり、その国の親日さを考える上では、まず中国をどう思っているかという点に注意が必要です。今回だけ、どの国が親日かというのを明確に線引きしなかった理由もそこにあります。
ただし、モンゴル国と台湾は事情が別ですね。特に台湾は、世界を代表する親日国と言って良いと思います。またモンゴル国は独立国家ですから、国民が中国に配慮している可能性はちょっと考えられません。この両国とは継続して関係を深めていくべきだと強く感じました。
今回も私自身が知らない事が多々あり、非常に勉強になりました。この地域は近年、色々な出来事が起こっているために情報ソースが豊富です。それでも、やはりネットでは中国批判一辺倒のものが多いですね。私の主張自体はそれに近いとは言っても、批判的感情が強く込められた文章を読むのには体力が要ります。そういうわけで、この記事ではあくまでその地域、その民族の当事者の主張に焦点を絞り、中国批判に偏らないよう自分なりに注意したつもりです。それでも読み辛かった方には申し訳ありません。
さて、やや長かったですが最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
まだまだ紹介すべき親日国は世界に沢山あります。キリがないのでこのシリーズはとりあえず終わりますが、次回は自分なりの総括を書きたいと思っています。ご興味あればどうぞまた読んでください。また、いつか気が向いたらアジア以外にも手を出すかもしれませんが、その時もどうぞまたお付き合いいただければありがたいです。
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親日国よせ集め(総括)に続く