現行会計制度の問題 | この国のタブー

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 以前書いたテーマの補足説明です。本編はこちらをご覧ください。
 →会計制度改革への期待


日本の企業における会計制度は、時価主義・発生主義・複式簿記で行われています。
一方で、政府や行政機関の公会計制度はそれと異なり、原価主義・現金主義・単式簿記という方式で行われています。これは公費の不正や間違いが生じないようチェックするための考え方ですので、主に現金収支を明らかにすることを目的としているものです。

しかしこ現行制度には大きな問題があります。例えば、ある道路を建設した費用(=その時点で計上した予算)は明確ですが、資産価値の損耗という考え方が無いため、作られた道路の現在の資産価値を正しく把握できません。さらに一方で、減価償却や金利も考慮した、真のコストは明らかにできないのです。

 参考1:東京都会計管理局資料「複式簿記・発生主義会計の基礎知識」
 参考2:同資料「主体的な自治体経営のためには複式簿記の導入が必要です!」

現行制度を家計簿に例えるならば、財布や預金の現金残高を把握し、計算ミスが無かったかなどをチェックしているわけです。しかし、この数字だけを見て今月の家計が苦しいかどうかは一概に判断できませんよね。食材や日用品の在庫が少なければ、明日の買い物の出費も考慮しておく必要がありますし、来月支払う予定の税金など、将来の出費も考慮するのが普通です。しかし、現行制度ではそれらを把握することはできないのです。

とてもわかり辛いので、もうひとつ別の例を挙げてみます。
自動車をローンで購入する場合、購入時の価格だけでなく、将来支払う金利まで加算しなければ正確な出費総額はわかりません。また、自動車税や自動車保険、車検費用やメンテナンス修理費などのランニングコストも見越しさなければ、車を維持していけません。さらに将来また乗り換えることを考えて、下取り相場もできれば考慮するべきですよね。
しかし現行制度でわかるのは、購入時の価格だけです。従って、それらの数字を導き出すためには、会計帳簿以外の資料を新たに作成し算出しなければなりません。


こんな会計制度を続けていれば、財政が悪化してしまうのは当然と言えば当然だと思います。会計検査院が形だけの組織になってしまうもの無理ありません。ふと気付けば、日本は諸外国の会計制度改革に取り残されているという状況です。

もちろん、会計制度改革の実現は、政治家にも公務員にも受け入れがたいのは事実と思います。財政の問題点が浮き彫りになりますし、財政悪化の責任者を明らかにすることも容易になりますので。しかし社会保障費の増大で財政が益々苦しくなるのは明らかです。真っ先に取り組むべきは、新規公務員採用の縮小や、国家公務員の削減などという微々たる話ではないと思うのですが。



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