調子に乗っての『ふとどき日記』再upシリーズ第2弾です。
今日は2009年の1月11日記事【幸福の黄色い鳥。】と1月12日記事【ピーコ。】を続けてどうぞ。
我が家の中心に居た黄色い鳥さんのお話です。
【幸福の黄色い鳥。】
気が付けば、嫁さんと俺との間にはいつも幸福の黄色い鳥が居た。
ピーコ・・・・・・・・・平成二十一年一月十一日 午後四時、永眠。
嫁さんと俺の手の中で・・・。
6歳と約2ヶ月。
ごめんな、ピーコ。護ってやれなくて。
そして沢山たくさんありがとう。
【ピーコ。】
多分、この『ふとどき日記』を読んで戴いた方には、“ふとどき”こといわもとあきらはとんでもなくポジティヴでプラス思考の男のように思われているのかもしれない。
下手をするとうちの嫁さんまでが「能天気な男」扱いしてくるのだから、無理もないことだろう。
だけど、実際の心根は違う。
マイナス思考の塊。悪い方向に物事を考えることは、誰にも負けないかもしれない。じゃなけりゃ、物書きなんて志望するはずがない。“BAD”な結末や過程を考え始めたらキリがないし、“HAPPY”ばかりのお話なんて、大衆受けしないし・・・でも、だからこそ、“HAPPY END”な物語を志したりもする。
マイナスを突き詰めすぎて、自らの生命すら脅かす状態に何度も陥り、そして、いよいよGIVE UP! ・・・かもって思った時に、たまたまひょんな弾みでマイナスをプラスに転換する術を覚えただけのこと。
本性がそんなんだから・・・今回の嫁さんの妊娠・出産にはとんでもないくらいの不安を押し隠し続けていた。
ごくごく、普通の親ならば誰でも考えるのかもしれないけれど・・・・・・流産したらどうしよう、発育に問題があったらどうしよう、赤ちゃんに障害があったらどうしよう・・・。
出産予定日よりも一週間早く、嫁さんが破水した日。
病院に彼女を連れて行く車の中で、(もうこのまま彼女の笑顔を見ることはないのかもしれない)って覚悟までしていたなんて、きっと誰にもわかりはしない。
さまざまな困難や災厄を想像し尽くすことで、「俺如きが考え付くようなことなんて起こりはしないし、きっと何事もなく地球は回り続けるんだ」って思うようにしている。
そんな不安でいっぱいの嫁さんの妊娠期間を“きっと赤ちゃんは無事に産まれてくれる”って無条件に思い込むようにした時に・・・・・・肝心の我が家の家族たちへの注意力がすっかり衰えてしまっていた。
雪之丞がAGY(メガバク)症を発症した頃の観察力が有れば、絶対にピーコは死んでいなかった。
楽観主義に思考パターンを必死ですり替えてしまったがために、ピーコの異常を感じ取れなくなってしまっていた。
俺がきちんと感じていれば・・・。
ごめんな、ピーコ。
改めて、セキセイインコの医学関連書を引っ張り出して、何がどう、彼女の生命を奪ったのかを考え続けた。
彼女の症状や行動は、いわゆる“腹水”が溜まった時の様々な兆候が当てはまる。
だけど、肝心な“腹部に水が溜まった”状態では無かった。
その外見的な安心感こそが、俺の眼を曇らせた。
そして、生まれて以来、ずっとずっと一緒だった嫁さんが一週間入院してしまったことも、ピーコにとっては異常なほどのストレスとなったに違いない。
護ってやれなくてごめんな。
冬が来て、お前が歳を重ねる度に、“ひょっとしたら”って覚悟はするようになってた。
だけど、それはあくまでも“万が一”、否、“百万が一”のことであって、プライドが高く、俺に対して気性の激しいお前が旅立つなんて信じられるわけもなかった。
ここんとこしばらく、俺の指にはとまりもしてくれなかったくせに、嫁さんが居ない日々・・・面会時間ギリギリまで病院に居て、帰宅して、家事をして、淋しい食事をして、普段なら絶対に寝かせつけてる時間にやっとカゴから出してあげることが出来た、そんな飼い主としてダメダメな俺の肩に、毎晩毎晩、しつこいくらいに、何年かぶりでお前はとまってくれたよな。
うれしくて、うれしくて、お前と会えずに淋しがる嫁さんに、次の日も、また次の日も自慢げに話してたんだよ。
だけど、ピーちゃんは、本当は甘えてたんじゃないんだよね。
苦しくて、苦しくて、必死で、本当に必死で、俺に訴えていたんだよね。
ごめんね。
赤ちゃんのことですっかり浮かれちゃって、ピーコの痛みに気付いてあげられなくって。
ごめんな。本当にごめんな。
俺がしっかりしてれば、こんなことにならなかったのにな・・・。
年末に年賀状作ってて、ピーコの写真が少ないなって思ったばかりだったのに、もっと撮らなきゃいけないなって思ったばかりだったのに・・・。
10年、15年生き抜いて、うちの子に「生命の大切さ」や「(我が家での)上下関係の厳しさ」を教えてくれるもんって信じてたのに・・・。
なんでもう逝っちゃうんだよ。
ペットロスなんかクソ喰らえ! 虹の橋なんかクソ喰らえ!! って思ってたこの俺が、人様の前で涙なんか流さないって決めたこの俺が、心の底から涙なんか流して堪るかって歯を喰い縛ってきたこの俺が、泣きじゃくる嫁さんに寄り添うくらいしか出来なかったこの俺が、なんでこんなにぐしゃぐしゃに泣いてるんだよ。
助けてあげたかった。
一番の原因は加齢なのかもしれないけれど、それでも、それでも助けたかったし、きちんと知識が役に立っていたら助けられたはずなのに・・・。
ごめんな、ピーコ。
お前には散々耳だの鼻だのかじられて、とっても痛い思いをしたけれど、だけど、それでも、大好きだったんだよ。
とってもとっても大好きだったんだよ。
水盃でもそばに置いてれば、朝が来ればなんともなかったかのように起き出してくれるかもっておもってたけど・・・。
俺たちが人生でもっとも幸福を実感出来ているこのひと時に、まるで「今なら私が飛んで行っても我慢出来るでしょ?」って、そんな気を遣ってくれたんだよね。
だけどね、ピーちゃん、ごめん。我慢出来ないんだ。
黄色い君が居てくれなけりゃ、俺も嫁さんもうれしくないんだ。
ちっとも・・・・・・うれしくないんだよ。
雪之丞と、きぃちゃんと、ちぃちゃんと、イチャついたり、ケンカしたりの毎日・・・楽しかったかい?
いつもおあずけにしている大好物の粟の穂を、お正月におせち代わりにって思ってたのに、それすらも出来なくってごめんな。
もっともっと、好きなだけ指でも唇でもかじらせてやりたかったのにな・・・。
病院に行くことすら出来なかったもんな。
本当に急に容態が悪くなって、移動すら耐えられないような状態になって・・・身体触られるの大嫌いだったもんな。お医者さんにあちこち触られたくなかったんだよな。
尻尾なんか絶対に触らせてくれなかった気高いお前が、そっと尻尾に触れても威嚇もしなかったあの晩に、どうして気付いてあげられなかったんだろうな・・・。
本当にごめんな。
珍しく雪のちらつく福岡だったけど、憧れ続けた大空は寒くないかい?
気持ち良く羽ばたいて飛べてるかい?
寒かったらいつでも戻っておいで。
もうダイエットなんて気にしなくていいから、好きなご飯をたっくさんあげるから、だから、だから、俺のこと嫌いでもいいから、お前の大好きだった嫁さんの元へ、いつでも戻って来ていいからな。
俺はお前のしもべだから。
精一杯、お世話させて戴くから。
だから、きれいなお前の黄色い羽と、ルビーのような赤い眼を、もう一度だけ・・・。
こんなに引き止めてちゃ、せっかくの大空が楽しくないよね。
いい加減、我慢しなきゃね。
ピーコ。
大好きなピーコ。
沢山、たくさん、たっくさん、ありがとう。
俺たちのことなんて待っていなくていいからさ。
早く虹の橋から旅立って、天国を目指しておくれ。
そんなとこにいちゃ寒いだけだよ。
お前がどんなに素敵な鳥さんかちゃんとみんな知ってるから。
きっと天国に行けるから。
今はただ、何も気にせずに・・・。
安らかに、眠っておくれ。